著者
林 賢紀 阪口 哲男 Hayashi Takanori Sakaguchi Tetsuo
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.238-252, 2012-11
被引用文献数
1

文献データベースと電子ジャーナルをリンクするシステムとして,リンクリゾルバが利用されている.本論文では,文献データベース,電子ジャーナル,リンクリゾルバそれぞれのアクセスログを解析することにより,リンクリゾルバの影響の分析を試みた.この結果,データベースの検索結果からリンクリゾルバを経由して幅広い分野の雑誌タイトルに利用者を誘導できる効果が確認できた.このとき,リンクリゾルバは,PNASやScience,Natureなどの総合科学雑誌と比較して分野に特化した雑誌へ多くの利用者を誘導している.特に,Web of Scienceのような収録範囲の広いデータベースの利用においてこの効果は顕著であり, リンクリゾルバの導入は特定分野の雑誌論文の可視性を高め,利用に結びつける効果があることを明らかにした.The link resolvers provide links between articles published in electronic journals and bibliographic databases. We report on analysis of the log files of a link resolver, bibliographic databases and electronic journals. We have found that the link resolver can lead users from bibliographic databases to electronic journals in a wide range of research fields. In addition, we found that the resolver would lead users more often to journals of specialized subjects than to those of wide subject coverarge like PNAS, Science and Nature. This effect is remarkable in use of generic database like Web of Science. The former are usually accessed to e-journals websites whereas the latter are more frequently accessed more than before as a result of references from the link resolver.
著者
林 賢紀 瀬尾 崇一郎 阪口 哲男
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.11-28, 2016-02-25 (Released:2016-04-15)
参考文献数
21

Web技術によるデータ公開の方法としてLinked Open Data(LOD)が注目されている.しかし,既存のWeb上の情報資源の多くは人が読む利用形態に適したデータ構造のままであるなど,構造化が不十分であることが指摘されている.本研究においては,異なる性質の要素を持つ複合的な情報資源に対し,相互運用性を持ちかつ情報損失を起さずにLODを適用する方法について検討を行った.この結果,対象となる情報資源に記載されている情報を元にして,文書の構造や使用されている語彙などを分析することにより,LODへの再構成を効率的に行うことが可能であることを明らかにした.また,関連付けが可能な他の情報資源を用いて不足している情報を補うことを前提とした構造化により,人が読む利用形態に適したデータ構造に基づいていても適切なLOD の適用を可能とし利活用しやすくするための一手法を示した.
著者
宇陀 則彦 松村 敦 阪口 哲男 三森 弘 水嶋 英治 逸村 裕
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告情報基礎とアクセス技術(IFAT)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.6, pp.1-8, 2013-09-19

本稿は、筑波大学図書館情報メディア系のプロジェクト研究 「図書館情報専門職の歴史的資料の保存と利用に関する総合的研究:図書館情報学アーカイブの構築に向けて」 を進めるにあたり、デジタルアーカイブの意味を再考した。その結果、アーカイブズ学におけるデジタルアーカイブとは、原本が基本であること、したがって、「出所原則」 「原秩序尊重原則」 「原形保存原則」 がデジタルアーカイブ上でも容易に理解可能であること、また、永久保存を意識したマイグレーションが行われていることが条件であるとした。さらに、今後、アーカイブズ学におけるデジタルアーカイブを構築するためには、情報アーキテクチャの方法論を用いて設計することが重要であることを指摘した。This paper reconsidered "digital archives" to progress the project "Study on archives and use of historical records of library and information professionals: construction of library and information science archives". As a result, digital archives are defined as mapping of original archives, which have principle of provenance, respect for original order, preservation of original shape, and permanent preservation. The real digital archive must be constructed based on methodology of information architecture.
著者
柊 和佑 阪口 哲男 杉本 重雄
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.58, no.8, pp.389-393, 2008-08-01 (Released:2017-04-28)
参考文献数
22

現在,膨大な数のWebページが日々作成され,更新されている。一方,それに伴って消えるWeb情報資源の存在が問題となっている。そのため,様々な国の図書館が中心となり,Web情報資源を収集し保存するWebアーカイブの構築と運用に取り組んでいる。2003年より,Webアーカイブに取り組む組織が協調してInternational Internet Preservation Consortium (IIPC)を作り,共通の規格とツールの研究開発を行っている。本稿では,先進各国のWebアーカイブの現状について,IIPCを中心とした視点から解説する。
著者
林 賢紀 阪口 哲男
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.238-252, 2012-10-10
参考文献数
10
被引用文献数
1

文献データベースと電子ジャーナルをリンクするシステムとして,リンクリゾルバが利用されている.本論文では,文献データベース,電子ジャーナル,リンクリゾルバそれぞれのアクセスログを解析することにより,リンクリゾルバの影響の分析を試みた.この結果,データベースの検索結果からリンクリゾルバを経由して幅広い分野の雑誌タイトルに利用者を誘導できる効果が確認できた.このとき,リンクリゾルバは,PNAS やScience,Nature などの総合科学雑誌と比較して分野に特化した雑誌へ多くの利用者を誘導している.特に,Web of Science のような収録範囲の広いデータベースの利用においてこの効果は顕著であり, リンクリゾルバの導入は特定分野の雑誌論文の可視性を高め,利用に結びつける効果があることを明らかにした.
著者
阪口 哲男 于 家富
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.53-56, 2005
参考文献数
4

The growth of unsolicited bulk e-mails (spams) is a crucial problem on e-mails of the Internet. There are many anti-spam tools based on automatic classification by learning, such as Bayesian filters. They are dependent on language of e-mails because they have lexical analyzer to get words from e-mails. However, spams are written in various languages, such as English, Japanese, Chinese, and so on. This paper proposes a language independent method for filtering spams. By the method, e-mails are classified into spams and no-spams by SVM which uses frequencies of sub-strings extracted from e-mails. This paper also describes a result of test of the method with sample e-mails written in English, Japanese, Chinese, and some other languages, and discusses about the result and future works.
著者
長谷部 紀元 阪口 哲男 山本 毅雄
雑誌
情報処理学会研究報告情報システムと社会環境(IS)
巻号頁・発行日
vol.1994, no.89(1994-IS-051), pp.1-6, 1994-10-18

図書館情報大学は、JUNETの初期ノードの一つであり、インターネット上のニュース機能(大学内ローカル・ニュースグループ)の利用が約9年あまり、メール機能の利用は学内で約13年、学外に対しても約11年の緒験がある。最近はこれらの機能の利用者が広がり、業務にも使われるようになってきた。最近のニュース機能・メール機能の利用統計と、ニュース機能による電子会議の状況の一部を紹介し、これらの新しいコミュニケーションチャネルの参入による大学内各層(卒業生を含む)間の情報流通の変化を論ずる。電子会議での議論は、反応が早いこと、議論がオープンであること、年齢差にこだわりが少ないこと等が特徴である。これが業務上の会議に受け継がれることにより、業務上の会議の進行にも影響を与えている。
著者
長谷部 紀元 阪口 哲男 山本 毅雄
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. 情報システム研究会報告
巻号頁・発行日
vol.94, no.89, pp.1-6, 1994-10-18

図書館情報大学は,JUNEtの初期ノードの一つであり,インターネット上のニュース機能(大学内ロ-カル・ニュースグループ)の利用が約9年あまり,メール機能の利用は学内で約13年,学外に対しても約11年の経験がある.最近はこれらの機能の利用者が広がり,業務にも使われるようになってきた.最近のニュース機能・メール機能の利用統計と,ニュース機能による電子会議の状況の一部を紹介し,これらの新しいコミュニケーションチャネルの参入による大学内各層(卒業生を含む)間の情報流通の変化を論ずる.電子会議での議論は,反応が早いこと,議論がオープンであること,年齢差にこだわりが少ないこと等が特徴である.これが業務上の会議に受け継がれることにより,業務上の会議の進行にも影響を与えている.
著者
すぎ本 重雄 藤田 岳久 阪口 哲男 武者小路 澄子 田畑 孝一
出版者
図書館情報大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1996

Netscape等のWWWブラウザが広く利用され、ディジタル図書館プロジェクトの多くもこれらを利用している。しかしながら、現在のWWWが提供する多言語環境は十分ではないため、非英語情報の流通は十分ではない。一方、図書館は多様な言語の情報を所蔵するため、最も基本的なサービスであるOPACでさえも多言語環境を必要とするため、現在のWWWをそのまま利用することは困難である。そのため、本研究では、多言語文書を読む機能を中心課題として以下の研究を進めた。1.多言語文書の検索と閲読(ブラウジング)のためのソフトウェアツールセットの開発2.利用者の環境に合わせて多言語文書の利用環境を構築するツールの開発本研究ではは多言語文書ブラウザ(MHTMLサーバおよびそのクライアント)を開発し、それを用いたゲートウェイサービスを行ない、サーバを数ヶ所のサイト(海外)に移植してきた。さらに、ゲートウェイサービス用に開発したソフトウェアを多言語文書の提供に利用できるよう拡張し、日仏英3ヶ国語で書いた日本昔話(10編)からなる多言語電子テキストコレクションの提供に適用した。このほか、本学のOPACデータをSGML化して作成した目録データベースの検索ユーザインタフェースにMHTMLを利用した海外利用者向けのOPACやMHTMLを利用した遠隔地からの日本語入力ソフトウェアの試作を行なった。研究成果については、国際会議、学術雑誌等に発表した。開発したソフトウエアは我々のWWWサイトを通じて公開し、自由にダウンロード・移植できるようにしている。また、昔話のコレクションに関して、コレクションの拡大のための協力者を募集した結果、何人かの応募があり、かつ応募者は国内だけではなく世界的に広がっている。
著者
杉本 重雄 阪口 哲男 田畑 孝一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.33, no.5, pp.671-680, 1992-05-15

プログラミング対象の多様化とソフトウェア技術の進化に伴って多様なバラダイムに基づくプログラミングの重要性が認識されるようになってきたそのため 1980年代には多様パラダイム指向言鰭が発展した多様なパラダイムでのプログラミングを柔軟に行うためには 特定のパラダイムを対象とする環境を用意するだけでは十分ではなく 対象に応じて必要なバラダイムの言語を利用できる開放性を持つ環境を用意することが必要である本論文では 逐次処理プログラムの範囲において 多様なパラダイムのプログラミング言語を要素とするプログラミング言語複合体(Programming Language Complex)の構成手法を提案するプログラミング言語複合体は複数の要素言語からなる統合された環境を利用者に提供するものであるので 本論文ではこれを複言語と呼ぶ複言語を構成するために要素言語を言語固有の要素と言語間に共通な要素に明確に分離し それらを階后的にとらえ言語固有要素を上位言語間共通要素を下位に定義するこうすることで要素言語処理系を言語間共通要素に基づいて構築することができるので 要素言語間のコミュニケーションに制約を設けることや 言語間コミュニケーションのためのad hocな記述形式を設けることの必要がなくなる 本論文では 階層の定義とそれに基づく複言語の構成方式を示すまた LISP Prolog Smalltalk-80に基づく要素言語を持つ複言語システムの例を示す
著者
林 賢紀 瀬尾 崇一郎 阪口 哲男
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.11-28, 2016

Web技術によるデータ公開の方法としてLinked Open Data(LOD)が注目されている.しかし,既存のWeb上の情報資源の多くは人が読む利用形態に適したデータ構造のままであるなど,構造化が不十分であることが指摘されている.本研究においては,異なる性質の要素を持つ複合的な情報資源に対し,相互運用性を持ちかつ情報損失を起さずにLODを適用する方法について検討を行った.この結果,対象となる情報資源に記載されている情報を元にして,文書の構造や使用されている語彙などを分析することにより,LODへの再構成を効率的に行うことが可能であることを明らかにした.また,関連付けが可能な他の情報資源を用いて不足している情報を補うことを前提とした構造化により,人が読む利用形態に適したデータ構造に基づいていても適切なLOD の適用を可能とし利活用しやすくするための一手法を示した.
著者
水嶋 英治 吉田 右子 宇陀 則彦 白井 哲哉 逸村 裕 大庭 一郎 阪口 哲男 原 淳之 平久江 祐司 松村 敦
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究はアーカイブ技術を導入し「21世紀図書館情報専門職養成研究基盤アーカイブ」を構築するとともに日本の図書館専門職養成史を再検討することを目的とする。筑波大学図書館情報メディア系の前身組織関係資料の解明に向け、図書館情報専門職教育関係史料に関して包括的研究を実施した。本研究で遂行した研究課題は(1)文献資料・実物資料の精査と電子化のための選別・整理および文献資料補足のための聞き取り調査(2)現物資料の整理・展示および組織化、文献資料の部分的電子化、多言語インタフェース設計(3)図書館職養成史に関わる現物資料群の同定とアーカイブ活用可能性の検討(4)図書館情報学教育史の批判的再検討である。
著者
阪口 哲男 田畑 孝一 杉本 重雄
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.40, pp.168-169, 1990-03-14

オブジェクトベース述語論理(Predicate logic based on objects)は記号やイメージ等を含む知識を表現するための知識表現方法である。オブジェクトベース述語論理においては、定義域上のすべての個体をオブジェクトと見なし、それらの関係を第一階述語論理によって表現する。我々はオブジェクトベース述語論理の定義を行い、その処理系であるオブジェクトベース述語論理システム(Predicate Logic system based on OBjects:PLOB)の開発を行った。
著者
高井 正成 阪口 哲男
雑誌
研究報告情報基礎とアクセス技術(IFAT)
巻号頁・発行日
vol.2012, no.1, pp.1-8, 2012-09-18

近年, Web アプリケーションの提供者はその機能を他のアプリケーションから利用してもらうため, Web API を提供する事例が増加している. Web API では HTTP などの通信プロトコルによるリクエスト・レスポンスにより通信を行うという大きな枠組みは共通しているものの,細かな仕様は各 Web API 提供者によって定められる.そのため各 Web API に互換性がなく, Web アプリケーション開発者は Web API を利用する場合,仕様を確認しそれぞれの Web API の仕様に沿ったプログラムライブラリを作成する必要がある.そこで本研究では開発者がプログラムライブラリを自分で作成する手間を省くため, Web API の仕様文書から情報を抽出し,プログラムライブラリを自動生成する手法を提案する.The case is increasing that Web Application providers publish Web APIs which are used by other applications with Web protocol. They are designed based on common simple protocol but detail specification of each of them is decided by its provider. So Web APIs don't have compatibility with each other. Web application developers have to read documents of Web APIs and make program libraries for them if they use Web APIs. This paper proposes a method to make program libraries automatically by means of information extraction from Web API documents in order to developers avoids the trouble of making program libraries.
著者
柊 和佑 阪口 哲男 杉本 重雄
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.47-57, 2008-02-19 (Released:2008-02-28)
参考文献数
14

毎日、膨大な数のWebページが発信者によって作成・更新され、それに伴って消えるWebページも多く、近年は様々な組織がWeb ページのアーカイブに取り組んでいる。既存のWeb アーカイブは独自に収集と提供を行うことが多く、発信者の意向を考慮した運用は困難である。そこで、先に我々は、発信者がWeb アーカイブと連携することで、収集と提供を効率よく行う組織内Web アーカイブを提案した。この組織内Webアーカイブの研究では、アーカイブの運営組織に改組が起きた場合の対応については未検討であった。そこで、本論文では改組の際に、複数のWebアーカイブが協調的に動作し、Web アーカイブを維持する方法を提案する。改組を分割、合併、消滅に分類、それらに共通した他のWeb アーカイブのデータを取り込む方法を確立し、これを統合と呼ぶ。統合では、各Web アーカイブで使われているメタデータのスキーマ変換と、データの分割を行う。本論文では統合を自動化するために、一連の処理を整理し、変換規則と分割条件を表現する記述を定義している。