著者
大森 翔太朗 金子 知適
雑誌
ゲームプログラミングワークショップ2015論文集
巻号頁・発行日
vol.2015, pp.32-39, 2015-10-30

近年プレイヤの個性に関する研究が人工知能の分野で取り組まれ始めている. 本研究では, 将棋の指し手の選択に注目し, コンピュータプログラムで棋風を実現する方法について提案する. 棋風としては, プレイヤが攻めや受けなど特徴を持つ指し手を選ぶ傾向についてに着目する. 棋風を統計的に分析した過去の研究を参考に攻めの特徴と受けの特徴を決め, 攻めと受けの棋風について, それぞれの特徴の現れているプレイヤの棋譜を選別する. そしてそれらの棋譜を教師に評価関数の機械学習を行う. 攻めの棋譜と受けの棋譜と分類して, 今回学習に使用する棋譜のパラメータへの影響を盤面図に色の濃度で表し, 攻めの棋譜と受けの棋譜で学習の際に影響が大きそうなところを確認した. また提案手法で学習したプログラムと学習前のプログラムで対戦実験を行い, 学習がうまくできているかどうかを確認した. さらに学習に使用した攻めの棋譜と受けの棋譜の一致率を攻めの棋譜を学習させたプログラムと受けの棋譜を学習させたプログラムで測り, それぞれのプログラムに違いを確かめた. 棋風の検証では, 受けに関する次の一手問題を題材に学習前のプログラムと比べてどういった違いがあったのかを確認した.
著者
大森 翔子 平野 浩
出版者
日本選挙学会
雑誌
選挙研究 (ISSN:09123512)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.73-87, 2017 (Released:2020-03-01)
参考文献数
39

近年,マスメディア報道の多様化を受けて,娯楽化したニュースが有権者の政治意識・投票行動に与える影響についての研究が進められている。本稿は,そうしたニューススタイルの中でも「戦略型フレーム」とされる報道への接触と,有権者の外的及び内的有効性感覚との関連について,受け手の政治知識レベルとの交互作用を含めて検討を加えるものである。JESⅢ2003年衆院選データを用いた分析の結果,戦略型フレーム報道への接触は,政治知識レベルの高い受け手については外的,内的いずれの有効性感覚ともネガティブな関連が見られることが示されたが,政治知識レベルの低い受け手においては外的有効性感覚との関連は殆ど無く,内的有効性感覚についてはむしろポジティブな関連があることが示された。この結果について,それを生じさせる心理学的メカニズム及びその民主政治に及ぼす影響が考察された。
著者
大森 翔太朗 金子 知適
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.57, no.11, pp.2374-2381, 2016-11-15

近年プレイヤの個性に関する研究が人工知能の分野で取り組まれ始めている.本研究では,将棋の指し手の選択に注目し,コンピュータプログラムで個性を実現する一手法を提案する.人間における指し手の選択による個性は通常棋風と呼ばれるが,客観的な基準で判定可能なプログラムの棋風について本稿では議論する.提案手法では,指し手の客観的な分類基準を実現したい棋風となるべく関連付けて定め,それに基づいて棋譜を分類し,選別された棋譜で評価関数の学習を行う.これにより,棋風を反映した評価関数が得られることを示す.主要な題材として将棋の攻めと受けという概念について,棋譜の分類と評価関数の学習を行い,得られた評価関数の性質を報告し議論する.対局実験により,攻めと受けの好みについて,意図どおりの変化が指し手に現れたことを確認した.また,提案手法で学習したプログラムと学習前のプログラムとの対戦実験から,棋力の低下は勝率40%程度に抑えられていることを確認した.There are several researches on playing styles of computer players in Artificial Intelligence research in recent years. This study proposes a method to give a computer player an intended playing style in shogi. We focus on playing styles that can be identified in an automated manner. We select a set of game records played by players having the intended playing style, based on statistical analysis proposed in existing researches. Then, we conduct a supervised learning of an evaluation function by using the selected records. The preference on attack or defense moves is used as an example of a playing style, because many moves in shogi are categorized in attack or defense. We implemented our method in shogi and evaluated the playing strength as well as how well an intended style is reproduced in self-play experiments. It is shown that learned evaluation functions have an intended playing style and that the playing strength is about 40% against original program.
著者
谷口 将紀 大森 翔子
出版者
公益財団法人 NIRA総合研究開発機構
雑誌
NIRAワーキングペーパー (ISSN:27582183)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.1-17, 2022-06-07 (Released:2022-10-21)

社会調査の手法は、人々の生活様式、社会情勢の変化に合わせて多様化してきた。特にインターネット上で回答を行うインターネット調査の登場は、その利便さによって社会調査のスタンダードな方法を変えつつある。本稿では、社会調査における投票率(投票したかどうか)を取り上げ、インターネット調査において投票率を測定するときにどのようなバイアスが考えられるのかを考察した後に、2021年衆院選時に実施したインターネット調査データを用いて、サンプリングバイアス、省力回答者バイアス、社会的望ましさバイアスの補正を試みた。分析の結果、インターネット調査で計測した投票率は、社会的属性によるバイアスよりも社会的望ましさバイアスによって大きく歪められていることが分かった。3種類のバイアスを補正した場合でも測定誤差の4割が埋めきれておらず、非回答バイアスを含む未計測のバイアスの存在が示唆される。
著者
大森 翔子
出版者
公益財団法人 NIRA総合研究開発機構
雑誌
NIRAワーキングペーパー (ISSN:27582183)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.1-29, 2021-11-12 (Released:2022-10-19)

21世紀に入り、社会調査においてはインターネット調査が普及し、一般的な調査法の一つとなった。しかし、インターネット調査には「バイアス」があり、目標母集団との乖離が問題となる。こうした実態を明らかにするため、本プロジェクトでは、同一の質問項目によって構成される、無作為抽出に基づく面接調査と性別・年齢層で回収目標数を割り付けたインターネット調査を同時に実施し、国勢調査との共通項目と合わせて比較した。分析の結果、インターネット調査の回答者には一定の省力回答者が含まれ、国勢調査と比べて大都市居住者が多く、学歴も高いという特徴のほか、面接調査回答者と比べて外向性・協調性が低く、神経症的傾向が高いというパーソナリティの特性が分かった。一方、面接調査にも、国勢調査よりも「持ち家率」が高いといったバイアスがあり、無作為抽出に基づく調査結果を「正解」とするインターネット調査の補正には注意が必要なことが示唆される。
著者
大森 翔太朗 金子 知適
雑誌
研究報告ゲーム情報学(GI) (ISSN:21888736)
巻号頁・発行日
vol.2015-GI-34, no.6, pp.1-7, 2015-06-27

近年プレイヤの個性に関する研究が人工知能の分野で取り組まれ始めている.本研究では,将棋の指し手の選択に注目し,コンピュータプログラムで棋風を実現する方法について提案する.棋風としては,プレイヤが攻めや受けなど特徴を持つ指し手を選ぶ傾向についてに着目する.棋風を統計的に分析した過去の研究を参考に攻めの特徴と受けの特徴を決め,攻めと受けの棋風について,それぞれの特徴の現れているプレイヤの棋譜を選別する.そしてそれらの棋譜を教師に評価関数の機械学習を行う.提案手法で学習したプログラムと,一般の棋譜で学習したプログラムの差を,攻めと受けに関する次の一手問題を題材に評価する予定である.
著者
武村 泰範 大森 翔 下坂 亮
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集 第28回ファジィシステムシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.21-24, 2012 (Released:2013-07-25)

スポーツの団体競技において個々のポジションや役割の適性がチーム状態に影響を与えている事は,明らかであり身体的な特徴や心理的な特徴といった見地から非常に多くの研究が多くなされている.しかし,双方を考慮した団体競技におけるチーム内での個人の役割や関係性を示す研究は,非常に稀であり,身体的特徴量と心理的特徴量に関する関連性は,未だに明らかではない. そこで,本研究では,身体的特徴量及び心理的特徴量双方を考慮した団体スポーツにおける個々の役割適性を判断し,チームの関係性を示すクラスタリング器の開発を目指す.本稿では,自己組織化マップを用いたアルゴリズムのコンセプトを述べ,データの解析を行ったので報告する.