- 著者
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大槻 優子
仲根 よし子
中田 久恵
島貫 秀樹
纐纈 祐子
武 敏子
椎名 清和
- 出版者
- 一般社団法人 日本農村医学会
- 雑誌
- 日農医誌 (ISSN:04682513)
- 巻号頁・発行日
- vol.67, no.1, pp.20-27, 2018-06-23
本研究は,農村過疎地域における在宅介護の実態と課題を明らかにし,専門職の役割と具体的な支援方法を検討するための基礎資料を得ることを目的とする。調査方法は,タウンメールにより,65歳以上の方を在宅で介護した経験がある方を対象に無記名式質問紙による調査を行なった。調査内容は,対象者の属性,介護に関する内容(介護保険制度,介護サービス,介護サービスに対する満足度,介護を継続するために必要な支援)である。有効回答数は244名で男性101名,女性143名,介護年数は平均5 年10か月である。要介護認定者は65.6%で,介護サービス利用者は64.3%であった。利用している介護サービスの中で,通所介護(デイサービス),短期入所生活介護(ショートステイ)は半数以上の方が利用していた。また,介護サービスを利用していない方は20.5%で,その理由は,「他人の世話になりたくない」42.0%,「利用するほどではない」40.0%,「家族で介護は十分」26.0%などであった。介護を継続するために必要な介護サービスのなかで「福祉用具貸与」と「通所リハビリテーション」,介護サービス以外の支援では「同居家族」の項目において,女性介護者のほうが有意に高かった。<br> 今後の課題として,農村過疎地域で在宅介護を可能にするためには,必要な介護サービスを有効に活用することが重要であり,専門職として介護保険制度についての知識や利用方法など理解しやすいような情報提供の工夫が必要と考える。