著者
小関 俊祐 小関 真実 中村 元美 大谷 哲弘 国里 愛彦
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
認知行動療法研究 (ISSN:24339075)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.29-39, 2018-01-31 (Released:2018-06-18)
参考文献数
21
被引用文献数
3

本研究は、児童の行動抑制および行動賦活の傾向を把握する自己記入式尺度のBehavioral Inhibition System and Behavioral Activation System Scale(児童用BIS/BAS尺度)日本語版を作成し、信頼性と妥当性の検討を行うことを目的とした。本研究では、小学3年生から6年生1,624名を対象に調査を行った。確認的因子分析の結果、児童用BIS/BAS尺度は原版と同様の4因子構造を示した。信頼性において、児童用BIS/BAS尺度はBAS-刺激追求のα係数は低かったが、全体としては十分な内的整合性と再検査信頼性を示した。また、BISは、抑うつと正の相関を示し、外向性および情緒安定性と負の相関を示した。BASは、攻撃行動および外向性と正の相関を示し、抑うつおよび情緒安定性と負の相関を示した。以上より、児童用BIS/BAS尺度の構成概念妥当性が確認された。
著者
杉山 智風 髙田 久美子 伊藤 大輔 大谷 哲弘 高橋 史 石川 利江 小関 俊祐
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
認知行動療法研究 (ISSN:24339075)
巻号頁・発行日
pp.20-047, (Released:2022-09-06)
参考文献数
22

本研究の目的は、高校生を対象に問題解決訓練を実施し、抑うつ、活性化、回避に及ぼす介入効果を明らかにすることであった。あわせて、問題解決訓練の実施前後にかけての活性化/回避の変化によって、抑うつに対する介入効果に差異がみられるか、検討を行った。本研究では、高校生1年生253名を対象として、1回50分の問題解決訓練を実施した。その結果、対象者全体において抑うつ得点、活性化得点、回避得点の有意な変化は示されなかったが、活性化/回避の機能的変容が生じた可能性のある群において、抑うつ得点の有意な低下が示された。このことから、抑うつ低減において、問題解決訓練による問題解決スキルの習得だけではなく、対処行動の促進と強化子の随伴の重要性が示唆された。
著者
金野 浩二 山本 奬 大谷 哲弘 KINNO Koji YAMAMOTO Susumu OHTANI Tetsuhiro
出版者
岩手大学大学院教育学研究科
雑誌
岩手大学大学院教育学研究科研究年報 = Research Journal of the Iwate University Professional School for Teacher Education (ISSN:2432924X)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.147-156, 2019-03-29

本研究の目的は,教師からのほめを認知しにくい子供のほめの受け取り方について検討し,どのような言葉がけをすることがほめを認知するのに効果的であるのかを明らかにすることであった。そこで,小学校4~6年生に対して質問紙調査を行い,ほめを認知しにくい子供を抽出した。そして,抽出した子供への聞き取り調査を行うことで効果的な支援方法について検討するとともに,担任による実践によって支援方法の効果を検証した。これにより,ほめを認知しにくい子供は「具体的なことや場面についてほめられると認知する」「努力したことなど本人が自覚していることをほめられると認知する」ということが明らかになった。そして,この2点を踏まえ,教師が「子供の自覚と教師の評価を一致させてほめる」ことが支援として効果的であることがわかった。
著者
大谷 哲弘 木村 諭史 藤生 英行
出版者
日本カウンセリング学会
雑誌
カウンセリング研究 (ISSN:09148337)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.127-137, 2013 (Released:2016-03-12)
参考文献数
42
被引用文献数
1

本研究では,就職を希望する高校3年生(N=1,064)を対象に,進路意思決定の際の進路選択におけるソーシャルサポートに対する知覚(以下,進路選択サポート知覚)の影響について検討を行った。重回帰分析を行った結果,「親のサポート」「先生のサポート」から進路意思決定への正の有意なパスがみられた。次に,進路選択サポート知覚の組み合わせと進路意思決定に及ぼす影響について検討を行った。その結果,進路選択サポート知覚の組み合わせとして「友人・教員知覚型」「友人・親知覚型」「全般的知覚型」「友人未知覚型」「平均的未知覚型」の5つの解釈可能な型が抽出された。さらに,進路意思決定を従属変数とした1要因分散分析を行った結果,「全般的知覚型」の者は,他のどの型の者より進路意思決定得点が有意に高かった。以上のことから,進路意思決定に対して,進路選択サポート知覚を促進することの重要性が示唆された。
著者
大谷 哲弘 山本 奬 OHTANI Tetsuhiro YAMAMOTO Susumu
出版者
岩手大学大学院教育学研究科
雑誌
岩手大学大学院教育学研究科研究年報 = Research Journal of the Iwate University Professional School for Teacher Education (ISSN:2432924X)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.85-94, 2018-03-30

本研究は,いじめ発見に資する観点に裏づけされた具体的ないじめの予兆を収集することを目的に行われた。大学生62人に対して,自由記述により,教師には見えにくい,わかりにくいいじめ発見のポイントについて回答を求めた。その結果,325項目が収集された。重複する項目を整理したところ128項目になった。内容分析を行い,いじめの態様として「能動的攻撃」「使役」「忌避」「受動的攻撃」「ストレス反応や失敗している対処およびその結果」にまとめることができた。次にこれらの態様の軸に発見の機会となる場面や学校生活上の注目すべき要点の軸を加えて2 軸でとらえ分類した。収集した項目は,従来の視点では見られなかった具体的な項目が収集できた。
著者
大谷 哲弘 山本 奬 OHTANI Tetsuhiro YAMAMOTO Susumu
出版者
岩手大学大学院教育学研究科
雑誌
岩手大学大学院教育学研究科研究年報 = Research Journal of the Iwate University Professional School for Teacher Education (ISSN:2432924X)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.85-94, 2018-03-30

本研究は,いじめ発見に資する観点に裏づけされた具体的ないじめの予兆を収集することを目的に行われた。大学生62人に対して,自由記述により,教師には見えにくい,わかりにくいいじめ発見のポイントについて回答を求めた。その結果,325項目が収集された。重複する項目を整理したところ128項目になった。内容分析を行い,いじめの態様として「能動的攻撃」「使役」「忌避」「受動的攻撃」「ストレス反応や失敗している対処およびその結果」にまとめることができた。次にこれらの態様の軸に発見の機会となる場面や学校生活上の注目すべき要点の軸を加えて2 軸でとらえ分類した。収集した項目は,従来の視点では見られなかった具体的な項目が収集できた。
著者
仲座 舞姫 伊藤 大輔 小関 俊祐 大谷 哲弘 鈴木 伸一
出版者
公益財団法人 パブリックヘルスリサーチセンター
雑誌
ストレス科学研究
巻号頁・発行日
vol.32, pp.41-49, 2017
被引用文献数
2

<p>The purpose of the present study was to examine depression and social disability among Japanese high school students who experienced the Great East Japan Earthquake and tested if cognitive behavioral factors were related to depression and social disability. Two hundred and five students (160 female, <i>M age</i> = <i>16.2 years</i>, <i>SD</i> = <i>0.4</i>) who experienced the Great East Japan Earthquake were administered the Impact of Event Scale–Revised, Center for Epidemiologic Studies Depression scale, Sheehan Disability Scale, Automatic Thoughts Questionnaire–Revised, Behavioral Activation for Depression Scale, and Environmental Reward Observation Scale(EROS). More participants had depression than post-traumatic stress disorder(PTSD) symptoms. Partial correlation analysis found that depression was positively correlated with social disability. Multiple regression analysis found that, regarding cognitive factors, "negative evaluation of the future" was positively correlated with depression and social disability, whereas "positive thinking" was negatively correlated with depression. Regarding behavioral factors, "avoidance/rumination" and "social impairment" were positively correlated with depression, "school impairment" was positively correlated with social disability, whereas EROS was negatively correlated with depression and social disability. These findings suggest that interventions to reduce depression are necessary after natural disasters. Specifically, interventions should target cognitive behavioral factors to reduce depression and improvement of social disability.</p>