著者
菊池 直子 佐々木 陽 久慈 るみ子 大野 静枝
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.37, no.10, pp.871-876, 1986-10-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
5

By using the image analyzer, the area, perimeter and shape factor of interthread space of fabrics of used brassieres were investigated. The results were as follows : 1) The correlation between area (A) and perimeter (PE) of matrix was significant. As the sample was worn, the distribution of A-PE extended along the parabolic curve.2) The fluctuation width of shape factor (SF) was in the range from 0.34 to 0.43 for the used sample as well as new ones.3) The fatigue is found frequently on the back center and on the back straps, and little in the both sides.
著者
登倉 尋実 飯塚 幸子 奥窪 朝子 田口 秀子 田村 照子 大野 静枝
出版者
奈良女子大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1989

"健康・快適"をキャッチフレ-ズとして,様々な特殊機能を付記していることを誇大な表示と広告で示した衣料品について,平成元年度に実態調査を行った結果,着用効果が確認されていないものや弊害が考えられるものが含まれていた。広告の実態が,果して表示通りの機能を有しているかどうかを,また人体生理に与える影響について,実験室及びフィ-ルドにおける着用実験で,平成2年度から3年度に調べ,得られた主な実見は女下の通りである。登倉はウォタ-ベットについて,使用時には通常のベット使用時よりも深い睡眼が得られるが水温設定には注意を要することを報告し,飯塚は睡眼実験によって,特殊機能を付記した部位別温度制御可能電気毛布の問題点をあげ,伊藤は拘束衣服の着心他と整容効果は数gf/cm^2の被服圧によって影響を受けることを,大野は女子大生約50名について,サポ-トタイプパンストの使用実態,着用感のアンケ-ト調査結果と,市販のサポ-トタイプパンストを収集分類して10種を選んで行った着用実験の結果を,奥窪は成人女子被験者及び発汗マネキンによるサウナス-ツ着用実験の結果をス-ツ下に着用する肌着素材及び発汗量レべルとの関連について,田村は,パンストによる過度の身体圧迫は血流を抑制することを,出口は健康サンダルには明確な仕様書や品質表示がないこと,またサンダル底面の刺激点と使用者の土踏まずとの適合性は個人差が大きいことを,栃原はー5℃の人工気候室内で一般のスキ-ウエアと,特殊加工し保温性に優れると称しているスキ-ウェア-とを着用した実験結果を,緑川は寒冷環境において特殊下半身加温用足温器を着装時には非着装時よりも作業能率低下が少なくなることを,中谷は衛生加工は洗濯によりその効力が失われることなどを,綿貫はハイサポ-ト型パンテイストッキングを着用すると心臓への静脈還流量が増し血行が改善された可能性があることを報告した。
著者
藤村 淑子 大野 静枝
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.210-215, 1981-04-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
6

衣服のゆとり量を求めるために, 体操によって生じた体表面の最大変化量を, できるだけ正確にかつ迅速に, また被験者に疲労を与えずに測定する方法として, 伸縮性P. S.を全身に着用させ, 動作の変化量をP.S.に縫い込んだ未延伸糸から求める方法を考え, 以下の結果を得た.1) 皮膚の伸びと未延伸糸の伸びとの間には, γ=0.996の有意な相関性があり, 測定法としてきわめて有効であった.2) 体表面の面積変化量は, 部位によって異なり, 大きく変化する部位, 少ない部位, 微小に変化する部位に区分された.体幹前面では胸部より腹部の変化量が大で, 側方に向かうに従ってさらに大きく変化する. 後面は肩甲骨上, 胸囲線付近の変化が大きく, 肩関節の移動が大きく影響していることがわかる. また, 股関節部では臀溝上のみに限られた. 下肢部は膝関節部を除き一般には変化量は少ない.3) Vervaeck Indexと各基準線の変化量との関係は, 指数の大きいものほど大きくなり, 脂肪が沈着する腰部では顕著にあらわれた.4) 本実験から得られた体幹部の平面展開図と静止時体表面展開図との間には, 面積変化がよこ方向よりたて方向に顕著にあらわれた. 両者の面積差は, 363.2cm2であり, この値は体操に必要な最低面積ゆとり量といえる. また, 文化式パターンと比較すると, その差は25.9cm2できわめて少なく, 運動に要する最低ゆとり量の必要量からみて, わずかに7%しか満たしていないことがわかった.以上, ゆとり量を体表面との面積変化量から求め, 着衣実験を通して, 各部位に必要なゆとり量について考察してきたが, その結果から, 被服設計上, 次のようなことがいえる. すなわち, 下着など伸縮性布地に対して動作時に要求される変形量は, 面積変化量の最大値を容易にとりうるような材質であることが望ましく, また織物を素材に設計する場合は, 面積拡大率の大きな部位にゆとりを配置するように工夫する必要があろう. 一般に, 人間の動作から生じる体表面の変化量は, よこ方向よりたて方向に多くあらわれることが確認され, それに追従するためには図6に示すようなたて方向のゆとりが必要になる. このたて方向のゆとりを, よこ方向のゆとりにどこまで置換できるかを問題にするのが被服デザインということになる. この解決法として, 従来から, ゆるみ量がよこ方向にとられているわけである. なお, 本研究は, 皮膚の表面積の変化量そのものに限ったゆとり量として求めたものであり, 実際の着衣時における衣服地と皮膚とのずれがゆとり量の許容を排除することについては考慮しておらず, この点は今後の問題として考えていく予定である.