著者
初宿 成彦 安井 通宏 市川 顕彦 桂 孝次郎 河合 正人 中谷 憲一 山崎 一夫 大阪市立自然史博物館「都市の自然」調査グループ甲虫班
出版者
大阪市立自然史博物館
雑誌
自然史研究 = SHIZENSHI-KENKYU, Occasional Papers from the Osaka Museum of Natural History (ISSN:00786683)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.41-104, 2020-02-28

大阪市内の甲虫類 867 種を、市民による野外調査、標本検視、文献引用により記録した。そのう ちの 195 種がレッドリスト掲載に相当すると考えられた。これらには 1950 年代および 80 年代に消滅し たものが多い。現在、甲虫の種数は2つの大河川周辺で最も多く、ここに限定して存続しているもの、ま たかつて市街地周辺にも見られたものもある。また外来種のように新しく分布するようになったものもあ る。このような変遷の記録と概観は、稀少種のみならず、普通種を含めた多数の標本が保管されること により可能である。
著者
石田 惣 木邑 聡美 唐澤 恒夫 岡崎 一成 星野 利浩 長安 菜穂子 So Ishida Satomi Kimura Tsuneo Karasawa Kazunari Okazaki Toshihiro Hoshino Nahoko Nagayasu 大阪市立自然史博物館 いであ株式会社大阪支社 イシガイ研究会 イシガイ研究会 イシガイ研究会 イシガイ研究会 Osaka Museum of Natural History IDEA Consultants Unionids Research Group Unionids Research Group Unionids Research Group Unionids Research Group
雑誌
大阪市立自然史博物館研究報告 = Bulletin of the Osaka Museum of Natural History (ISSN:00786675)
巻号頁・発行日
vol.69, 2015-03-31

淀川(大阪府)では,2010年頃からヌートリアがイシガイ科貝類を捕食している.2012年9月〜2013年8月にかけて,八雲ワンド(守口市)でイシガイ類(イシガイNodularia douglasiaenipponensis,トンガリササノハガイLanceolaria grayana,ドブガイ属Sinanodonta spp.)の生貝及び合弁死殻を月ごとに採集し,捕食サイズや捕食率等の推定を試みた.採集されたイシガイの死殻の約70〜90%近くに捕食によるものと推定しうる傷があり,傷有り死殻の殻長の平均はすべての月において生貝の殻長平均よりも大きかった.これらの傾向はトンガリササノハガイの通年合計でも同様だった.生貝に傷が見られた例数はいずれの種でも0–3%未満だった.正確な比率の推定は難しいものの,調査地付近のイシガイとトンガリササノハガイの死亡要因の多くをヌートリアの捕食が占めている可能性は否定できない.また,ヌートリアは比較的大型のイシガイ類を好む傾向があると考えられる.イシガイ,トンガリササノハガイともに死殻の傷は左殻側よりも右殻側に多かったことから,調査地付近のヌートリアはイシガイ類を捕食する際に右殻側を手前にして開殻することが多いのかもしれない.ヌートリアによるイシガイ類の捕食は河川生態系への悪影響が懸念されることから,早急な対策が求められる.
著者
奥村 潔 石田 克 樽野 博幸 河村 善也 Kiyoshi Okumura Shinogu Ishida Hiroyuki Taruno Yoshinari Kawamura 岐阜県博物館 大阪市立自然史博物館 愛知教育大学 Gifu Prefecture Museum Osaka Museum of Natural History Aichi University of Education
雑誌
大阪市立自然史博物館研究報告 = Bulletin of the Osaka Museum of Natural History (ISSN:00786675)
巻号頁・発行日
vol.70, 2016-03-31

熊石洞は日本の代表的な後期更新世の哺乳類化石産地の一つである.この洞窟の化石堆積物の発掘調査は主に1965年から1981年まで行われ,保存のよい大型シカ化石を含む多数の哺乳類化石を産出した.本報告では,大型シカ化石の詳細な記載を行うが,これによりほぼ同じ大きさのヤベオオツノジカ(Sinomegaceros yabei)とヘラジカ(Alces alces)という2種の大型シカの区別を明確にする.日本においてこの大型シカ2種はしばしば混同されてきたが,骨および歯の特徴からこの2種の識別を行う.また,主に角の形態的特徴に基づき,ヤベオオツノジカが中国産Sinomegacerosの種とは別個の日本固有の種であることを確認する.さらに,歯の萌出と咬耗の程度に基づいて2種の大型シカの年齢構成も明らかにする.