著者
松本 吏樹郎 河合 正人 冨永 修 市川 顕彦
出版者
大阪市立自然史博物館
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

移入種であるアカハネオンブバッタの分布が、阪神地域から周辺地域へ拡大する様子が市民調査(738件の分布情報)を通して詳細に記録された。本種の自然分布域である中国、台湾、南西諸島と、移入したことが知られているハワイ諸島のサンプルとの、ミトコンドリアおよび核遺伝子の部分配列の比較により、移入した個体群の一部は少なくとも中国からのものと推定された。オンブバッタとの交尾実験では交雑個体の発生は見られなかったが、それぞれのオスの異種メスへのマウント行動は普通に見られ、アカハネオンブバッタの存在はオンブバッタの繁殖干渉を通して、正常な交尾を妨げる負の影響を与えている可能性が推測された。
著者
日浦 勇 宮武 頼夫 冨永 修 西川 喜朗 桂 孝次郎
出版者
日本鱗翅学会
雑誌
蝶と蛾 (ISSN:00240974)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.97-110, 1978-06-01

日本列島の生物地理を考えるにあたって,アジア大陸との中間に位置する対馬が重要な鍵をにぎるのはいうまでもない.われわれはこの島の昆虫・クモ相に興味をもち,1968年から計10回にわたって調査を行い,いくらかの新しい知見をえた.また,1973年には朝鮮半島南部で採集し,比較標本の入手につとめた.そのひとつとして,タイワンモンシロチョウPieris canidiaについて判明したことを報告したい.