- 著者
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天江 新太郎
林 富
- 出版者
- 特定非営利活動法人 日本小児外科学会
- 雑誌
- 日本小児外科学会雑誌 (ISSN:0288609X)
- 巻号頁・発行日
- vol.42, no.1, pp.23-27, 2006-02-20 (Released:2017-01-01)
- 参考文献数
- 5
- 被引用文献数
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1
【はじめに】本邦における小児期を過ぎた先天性食道閉鎖症(以下, 本症)症例の追跡調査に関する報告は少ない.本研究では術後16年以上経過した症例について追跡調査を行い, 消化器症状, 呼吸器症状, 社会的状況について検討した.【対象と方法】対象は1967年〜1989年に当科で根治術を行い, 生存し得た42例(男児26例, 女児16例)とした.本研究では郵送による調査と外来診療録から得られた16例(男性9例, 女性7例)についての情報を検討した.【結果】調査時年齢は平均22.9歳(16歳から31歳)であった.体格は男性症例の平均BMIは21.7であり1例以外は標準であった.女性症例の平均BMIは19.4であり痩せが3例で認められた.この3例では食事に伴う症状が認められた.消化器症状は「つかえ」など食事に関しての症状が6例(男性1例, 女性5例)で認められた.GERDは確診が3例, 疑診が2例であった.呼吸器症状は4例で認められた.うち2例は気管気管支軟化症例であり治療を継続中である.就学・就職状況については16例中7例が就学しており, 8例が就職していた.結婚については3例が既婚者であった.子供の有無については3例とも子供をもうけており, 子供たちは全て健常であった.【結語】本研究の結果からは小児期を過ぎた先天性食道閉鎖症症例の社会的な予後は, 就業・就職・結婚といった観点からは良好であると考えられた.しかし, 症例によっては本症に起因する消化器症状や呼吸器症状が小児期を過ぎても継続しており, 適切な経過観察と治療が必要であると考えられた.