著者
熊丸 めぐみ 下山 伸哉 岡 徳彦 宮本 隆司 小林 富男
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.267-272, 2020-07-01 (Released:2020-07-01)
参考文献数
20

【目的】小児先天性心疾患手術後患者のICU-acquired weakness(ICU-AW)の発症状況とそのリスク因子を調査すること。【方法】小児先天性心疾患手術後患者255例をICU-AW群と非ICU-AW群に分けて比較検討するとともに,多変量解析にてICU-AWのリスク因子を同定した。【結果】IUC-AWと判定されたのは65例(25.5%)で,多変量解析の結果,筋弛緩薬投与日数(OR:2.358,95%CI:1.693〜3.283,P<0.001),Aristotle basic complexity levels(OR:2.997,95%CI:1.383〜6.495,P=0.005)がリスク因子として同定された。【結論】小児先天性心疾患手術後患者の25.5%にICU-AWを認めた。また,ICU-AWのリスク因子については,背景心疾患や手術後管理が関連していた。
著者
大井 龍司 遠藤 尚文 中村 正孝 林 富 仁尾 正記
出版者
東北大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1991

胆道閉鎖症初回根治手術時生検肝組織11例、同じく根治手術時摘出肝外胆管3例、肝十二指腸靭帯内リンパ節3例を対象として用いた。対照として地疾患で開腹生検を施行し肝私見切除を要した患児(神経芽細胞腫、小児肝癌等)の肝組織を用いた。まずレオ3型ビールスを培養し、それよりRNAを抽出し、逆転写酵素を用いてcDNAを合成した。次にレオ3型ビールスに特異的なprimerをcomputer解析により決定した。さらにこのprimerを用いてPCR法にて目的とするDNAを増幅し、その特異性を確認し、感受性について検討した。充分な特異性、感受性が得られたことを確認の後、上記方法を用いて本症患児より採取された対象組織につきレオ3型ビールスの検出を試みた。なお対照例についても上記と同様な操作を行なった。Primer1とPrimer2を用いたrepeated PCR法による胆道閉鎖症患児生検肝組織、肝外胆管ならびに肝十二指腸靭帯内リンパ節よりレオ3型ビールスRNA検出の結果は、Table1のごとく目的とする増幅反応物は検出されなかった。まとめると胆道閉鎖症患児の肝、肝外胆管、肝十二指腸靭帯内リンパ節を対象として、PCR法を用いてレオ3型ビールス核酸の検出を行なったが、上記対象いずれにもそれを検出することはできなかった。従って本症の病因としてレオ3型ビールス感染は否定的と思われる。
著者
小林 敏宏 曽根 克彦 小林 富男 小須田 貴史 田端 裕之 鈴木 隆 小野 真康 田代 雅彦
出版者
The Kitakanto Medical Society
雑誌
北関東医学 (ISSN:00231908)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.335-340, 1991-03-01 (Released:2009-10-21)
参考文献数
8
被引用文献数
1 1

橈骨動脈注入による逆行性大動脈造影は, 侵襲の少ない検査であり, 新生児, 乳児期に左心系造影が必要となる大動脈縮窄症, 大動脈弓離断症などの疾患には有用な検査方法である.また, 最近では肺動脈閉鎖を伴う動脈管依存性先天性心疾患の肺動脈造影にも応用されている. 当院では過去8年間に43例に対し橈骨動脈造影による診断を行なった. 疾患は, 大動脈弓の異常を呈する疾患28例 (大動脈弓離断症12例, 大動脈縮窄症9例, 左心低形成症候群4例, 血管輪3例), 肺動脈閉鎖を伴う動脈管依存性先天性心疾患13例 (Fallot四徴症7例, 三尖弁閉鎖症2例, 純型肺動脈弁閉鎖症1例, 単心室1例, 無脾および多脾症候群2例), 動脈管開存症2例であった.方法は, 22Gまたは24Gのangiocathを橈骨動脈へ経皮的に穿刺し, イオヘキソール1~2ml/kgを機械的に約2秒間で注入した.造影は全例診断可能な所見が得られ, 重篤な副作用もみられなかった.
著者
小林 富雄
出版者
日本農業市場学会
雑誌
農業市場研究 (ISSN:1341934X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.46-51, 2016-03-31 (Released:2018-03-31)
参考文献数
7

This study focused on the problem of food leftover waste. A case study of a South Korean institution was undertaken from the point of view of the food waste reduction capability together with public hygiene and culinary culture. It was shown that South Korean meter-rate based charging system and recycling system are politically unified by the framework of Comprehensive Countermeasures of Food Waste Reduction Institution. Further, it is clear that a positive effect was brought about in the management not only in public recycle facilities but also in private facilities.Moreover, it was shown that the checks and publicity by the NPO organizing the “MATTABI CAMPAIGN” (to eat food thankfully) were also a success factor in this management. South Korea's experience has shown that institutions can promote the integration at a national level by implication.
著者
近藤 敬比古 小林 富雄
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.62, no.12, pp.907-915, 2007-12-05
被引用文献数
2

CERNで建設中のLHC加速器はもうすぐ完成し物理実験が始まる.これにより人類史上で初めて1 TeVのエネルギー領域を探索することが可能になる.素粒子のより基本的な姿を研究する上で,この1 TeV領域を探索することが特別に重要であるとする明確な理由が存在する.標準モデルの中で唯一の未発見の粒子として残っているヒッグス粒子はほとんど確実にLHC実験によって発見される.さらに超対称性粒子の発見など,標準モデルを超える新しい素粒子物理の兆候を捕らえる可能性も非常に高い.暗黒物質の発見もありうる.ここでは小特集のイントロダクションとして,LHC計画の目的や経過を概説した上で,LHC加速器と四つの実験の紹介,および日本によるLHCプロジェクトへの国際協力参加の現状を述べる.
著者
福田 あずさ 荒木 美樹 平田 裕香 福島 富美子 石井 陽一郎 田中 健佑 下山 伸哉 宮本 隆司 小林 富男
出版者
特定非営利活動法人 日本小児循環器学会
雑誌
日本小児循環器学会雑誌 (ISSN:09111794)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.264-270, 2019-11-01 (Released:2020-02-13)
参考文献数
14

背景:出生前に先天性疾患と診断される機会の増加に伴い,診断後の家族支援の重要性が増加している.群馬県立小児医療センターでは,先天性心疾患と診断された家族の支援を行っており,活動の一つとしてPICUの看護師もパンフレットを用いた出生前訪問を行っている.出生前訪問後のアンケートにより,先天性心疾患と診断された家族が,出生前訪問に求めるニーズを明らかにし,その効果と改善点について検討した.方法:先天性心疾患を疑われ群馬県立小児医療センターへ紹介受診となり,児がPICUに入室した母親51名を対象とし調査を行った.結果:対象者のうち23人(45.1%)から研究の同意が得られた.PICU看護師の出生前訪問を記憶していた母親は19人(82.6%)で出生前訪問を全員が「必要」と回答した.その理由は「心配・不安の軽減につながる」「PICUの雰囲気を把握できる」が多かった.しかし現在の出生前訪問では家族が求める情報が網羅できていなかった.結論:現在の出生前訪問により,家族の不安を軽減する可能性が示唆された.出生前訪問の内容の見直しとパンフレットの改訂を行い,家族の思いに沿った看護を提供する必要がある.
著者
小林 富雄
出版者
日本フードシステム学会
雑誌
フードシステム研究 (ISSN:13410296)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.112-123, 2020 (Released:2021-02-06)
参考文献数
16

In this paper, the analysis was conducted on the premise that “Resilience” is a concept to realize “Sustainability” of food systems, which is implemented by minimizing out-of-stock items and food loss and waste by stable and advanced demand forecasting even under difficult circumstances. As the data, the number of customers purchased and the correction rate of the demand forecast during the self-restraint period of the high-low pricing notice of food supermarkets, which is a COVID-19 measure, were used.As a result of the analysis, there was a suggestion that the number of customers was leveled, but no change was found in the accuracy of demand forecast. However, the self-restraint of the High-Low Pricing announcement may have contributed to leveling the number of customers and stabilizing the demand forecast accuracy even during the COVID-19 countermeasure period. Therefore, the resilience of food supermarkets analyzed in this study can be evaluated as high. Keywords: food loss and waste, sustainability, resilience, COVID-19, SDGs, super market
著者
天江 新太郎 林 富
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日本小児外科学会雑誌 (ISSN:0288609X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.23-27, 2006
被引用文献数
2 2

【はじめに】本邦における小児期を過ぎた先天性食道閉鎖症(以下, 本症)症例の追跡調査に関する報告は少ない.本研究では術後16年以上経過した症例について追跡調査を行い, 消化器症状, 呼吸器症状, 社会的状況について検討した.【対象と方法】対象は1967年〜1989年に当科で根治術を行い, 生存し得た42例(男児26例, 女児16例)とした.本研究では郵送による調査と外来診療録から得られた16例(男性9例, 女性7例)についての情報を検討した.【結果】調査時年齢は平均22.9歳(16歳から31歳)であった.体格は男性症例の平均BMIは21.7であり1例以外は標準であった.女性症例の平均BMIは19.4であり痩せが3例で認められた.この3例では食事に伴う症状が認められた.消化器症状は「つかえ」など食事に関しての症状が6例(男性1例, 女性5例)で認められた.GERDは確診が3例, 疑診が2例であった.呼吸器症状は4例で認められた.うち2例は気管気管支軟化症例であり治療を継続中である.就学・就職状況については16例中7例が就学しており, 8例が就職していた.結婚については3例が既婚者であった.子供の有無については3例とも子供をもうけており, 子供たちは全て健常であった.【結語】本研究の結果からは小児期を過ぎた先天性食道閉鎖症症例の社会的な予後は, 就業・就職・結婚といった観点からは良好であると考えられた.しかし, 症例によっては本症に起因する消化器症状や呼吸器症状が小児期を過ぎても継続しており, 適切な経過観察と治療が必要であると考えられた.
著者
宮崎 慎一 野田 裕之 森田 照美 甲斐 弦 大廻 あゆみ 小林 富成 長嶋 茂雄 高橋 雅春 水尾 仁志 岡本 宏明
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.57, no.11, pp.606-613, 2016-11-20 (Released:2016-11-29)
参考文献数
26
被引用文献数
3

鳥取県の山間部に居住する92歳の一人暮らしの男性が急性E型肝炎を発症した.患者には海外渡航歴や輸血歴はなく,発症前3カ月以内の豚レバーやホルモン,猪や鹿などの動物の肉や内臓の喫食歴,魚介類の生食の既往も無かった.しかし,7~8年前から猪胆(乾燥した猪の胆囊)を猟師より入手し,胆囊粉末を冷水に溶き,その胆汁液を生薬として飲用していたことが判明した.飲み残しの胆汁液はなかったが,保管されていた猪胆18個中7個からHEV RNAが検出され,患者から分離された3a型HEVと塩基配列が99.8%一致するHEVが同定された.加えて,リン酸緩衝液で溶出した10%胆汁液のHEV RNAタイターが4.6×105 copies/mlに達するものもあり,猪胆からの感染が強く疑われた.猪の肉やレバーの喫食後のE型肝炎症例はこれまでに多く報告されているが,猪胆が感染源と考えられる症例の報告は今回が初めてである.
著者
小林 富美惠 井上 信一
出版者
日本原生生物学会
雑誌
原生動物学雑誌 (ISSN:03883752)
巻号頁・発行日
pp.JJP17-01, (Released:2017-12-01)
参考文献数
62

Malaria remains one of the most serious infectious diseases with the high morbidity and mortality among children in the world. Malaria is caused by protozoan parasites of genus Plasmodium.An efficient vaccine for malaria has not successfully developed for the eradication yet. Thus, to support malaria vaccine development, we have to uncover the mechanisms for protective immunity against Plasmodium infection. We have clarified γδ T cell-related protective immunity against erythrocytic stages of malaria parasites by using low virulent Plasmodium berghei-infected mice. Here we summarize recent advances, including our studies, in understanding mechanisms of immune response to erythrocytic stages of Plasmodium infection.

1 0 0 0 十七文字

著者
Yamamoto Hisae 小林 富久子
出版者
みすず書房
雑誌
みすず
巻号頁・発行日
vol.41, no.12, pp.2-14, 1999-12
著者
小林 富雄 野見山 敏雄 波夛野 豪 種市 豊 相原 延英
出版者
愛知工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究の目的は、食品ロスの発生やその処理過程における多様性を説明するモデルの提示である。但し、まだ食べられるのに廃棄されるということは、使用価値があるのに交換価値だけが失われている状態であることから、非市場での贈与交換についても包含するモデルでなければならない。研究の結果、フードバンク活動を含む食品ロス発生抑制を伴う食料需給調整システムは、国際的には大きな多様性が認められ、それらを説明するモデルを構築することができた。
著者
林 孝文 伊藤 寿介 中山 均 小林 富貴子 中村 太保 小宮 隆瑞 鈴木 誠 福島 祥紘 高木 律男 大橋 靖
出版者
特定非営利活動法人 日本歯科放射線学会
雑誌
歯科放射線 (ISSN:03899705)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.74-80, 1993-06-30 (Released:2011-09-05)
参考文献数
20

Carcinomas arising in jaw cysts are a very rare lesion. There was only one case report which was thought to be of origin from an inscisive canal cyst.The authors present a case of squamous cell carcinoma probably arising from an incisive canal cyst.The patient was a 60-year-old female with complaints of swelling and tenderness of the hard palate. Overlying mucosa of the lesion was normal except for an opening of fistula.An occlusal X-ray film and bone images of X-ray computed tomography (X-CT) showed a radiolucent lesion on the midline of the palate with well-defined margin and they also revealed an irregular resorption of the alveolar process of the maxilla.Soft tissue images of post contrast X-CT showed a heterogenously enhanced area in the anterior part of the lesion extending to the left upper lip.Pathological examination revealed a squamous cell carcinoma and suggested that the tumor derived probably from an incisive canal cyst.
著者
天江 新太郎 林 富
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日本小児外科学会雑誌 (ISSN:0288609X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.23-27, 2006-02-20 (Released:2017-01-01)
参考文献数
5
被引用文献数
1

【はじめに】本邦における小児期を過ぎた先天性食道閉鎖症(以下, 本症)症例の追跡調査に関する報告は少ない.本研究では術後16年以上経過した症例について追跡調査を行い, 消化器症状, 呼吸器症状, 社会的状況について検討した.【対象と方法】対象は1967年〜1989年に当科で根治術を行い, 生存し得た42例(男児26例, 女児16例)とした.本研究では郵送による調査と外来診療録から得られた16例(男性9例, 女性7例)についての情報を検討した.【結果】調査時年齢は平均22.9歳(16歳から31歳)であった.体格は男性症例の平均BMIは21.7であり1例以外は標準であった.女性症例の平均BMIは19.4であり痩せが3例で認められた.この3例では食事に伴う症状が認められた.消化器症状は「つかえ」など食事に関しての症状が6例(男性1例, 女性5例)で認められた.GERDは確診が3例, 疑診が2例であった.呼吸器症状は4例で認められた.うち2例は気管気管支軟化症例であり治療を継続中である.就学・就職状況については16例中7例が就学しており, 8例が就職していた.結婚については3例が既婚者であった.子供の有無については3例とも子供をもうけており, 子供たちは全て健常であった.【結語】本研究の結果からは小児期を過ぎた先天性食道閉鎖症症例の社会的な予後は, 就業・就職・結婚といった観点からは良好であると考えられた.しかし, 症例によっては本症に起因する消化器症状や呼吸器症状が小児期を過ぎても継続しており, 適切な経過観察と治療が必要であると考えられた.
著者
名倉 秀子 山﨑 芳江 栗﨑 純一 志村 二三夫 橋本 真 八巻 公紀 尾崎 健市 白砂 正明 大村 相哲 松村 千香 堀江 寿美 中林 富嗣 河西 康太 岩下 隆
出版者
一般社団法人 日本食育学会
雑誌
日本食育学会誌 (ISSN:18824773)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.25-34, 2017-01-25 (Released:2017-10-17)
参考文献数
16

We conducted an examination of quality control for five school lunch meals offered in June and November. The differences in weight and nutrient content between the time of menu planning and the time the meals were served were measured as yield and nutrient retention factors, respectively. The yield factor was derived from the ratio of the weight of the total ingredients at the time of menu planning to the weight of the school lunch meal served. The yield factors for the five school lunch meals ranged between 87% and 94%, revealing a loss during the preparation process. Furthermore, seasonal ingredients were found to affect the yield factor of dishes using such ingredients. The nutrient retention factor was obtained by measuring the ratio of the nutrient content value of total ingredients at the time of menu planning to the value of the content analysis of school lunch at the time of serving. In all five school lunch meals, a significant decline in the nutrient retention factors was observed for energy content, calcium, magnesium and zinc. Furthermore, significant increases in vitamin A and dietary fiber were observed. However, no differences were observed for protein, fat, carbohydrates, sodium, iron, vitamin B1, vitamin B2, and vitamin C. as the intake amounted to 95% of the weight of the food served and the nutrient intake exceeded 95% for most nutrients except vitamins A and C, the school meals were found to be of high quality,. The quality evaluation of school lunch based upon the yield and nutrient retention factors revealed the need for identifying and investigating the causes of loss or gain during the preparation process to achieve quality improvements.