著者
小島 茂明 太田 秀
出版者
日本貝類学会
雑誌
貝類学雑誌Venus : the Japanese journal of malacology (ISSN:00423580)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.189-195, 1997-10-31
被引用文献数
12

Shell morphology of Calyptogena soyoae-complex (Bivalvia : Vesicomyidae) was compared between the two mitochondrial haplotypes that had been revealed by the previous genetic study. Significant morphological differences between the two haplotypes were detected by an analysis of covariance of shell length-height relationship and by t-test of the average value of length-height ratio. On the basis of the molecular and morphological differences between two haplotypes, Calyptogena okutanii n. sp., a sibling species of Calyptogena soyoae, is established from the seep area off Hatsushima Island, Sagami Bay, central Honshu, Japan.
著者
太田 秀樹 齋藤 邦夫
出版者
中央大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

降雨後の駿河湾地震 (2009年8月) で崩壊した東名高速道路牧の原盛土の盛土材料を実験に供したうえで現場データと比較照合したところ、現場で崩壊せずに残った盛土がおおむね1200kPa程度の定体積せん断強度を持っていたと判断された。崩壊した盛土の強度が120kPa程度であったことが分かっているから、崩壊した盛土は水がしみ込んで泥濘上になり強度が120kPa程度にまで低下していたと推定できる。永年の浸水による盛土の劣化・強度喪失のメカニズムを一連の実験によって推定したところ、崩壊前後の現場状況と定量的に整合し力学的に妥当と思われる結果がえられ、水による盛土の経年劣化機構が明らかになった。
著者
太田 秀樹 桑野 二郎 竹村 治朗 日下部 治 小林 一三 飯塚 敦
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

平成11年度はジオシンセティックスで補強された土構造物の力学的挙動を合理的に説明することを目的とし,ジオシンセティックスと締固め土の力学的相互作用と補強効果の関連に着目し,締固め土のせん断特性を考慮したモデル化を行った.すなわち締固め土と等価と考えられるような過圧密粘土を想定し,締固め試験に対する一連の等体積一面せん断試験結果に基づき,計算に必要なパラメータの決定方法を提案し,2つの実物大現場試験を有限要素解析によりシミュレートした.その結果,・ジオシンセティックスの敷設が,せん断による土の体積膨張を拘束すると,その補強効果は土の違い(締固め度合いの違い)によってどのように現れるかを解析的に調べ,関口・太田モデルを用いた場合には,強く締め固めすぎるとジオシンセティックスの拘束効果をかえって減ずる場合があることを示した.・締固め土を対象として,解析に必要な入力パラメータの決定法を提案した.締固め管理図を描くことにより,締固め土を過圧密粘土の概念を用いて置き換え,締固め度合いを過圧密比で表すことができた.・実物大現場試験を有限要素解析にてシミュレートし,実測された変形挙動,特にせん断ひずみの集中を説明を説明することができた.
著者
横川 京児 河村 正敏 新井 一成 塩川 章 太田 秀一
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和医学会雑誌 (ISSN:00374342)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.419-428, 1991-08-28 (Released:2010-09-09)
参考文献数
28
被引用文献数
1

大腸癌の予後を左右する重要な因子に血行性転移があげられる.特に肝転移は予後に大きく関与しており, 静脈侵襲の程度を観察することにより, 肝転移の危険性を予測することが十分可能であると考えられる.今回著者らは, 進行大腸癌治癒切除症例における静脈侵襲状況をVictria blue-H・E染色を用い観察し, 静脈侵襲の有無, 侵襲程度, 侵襲部位および侵襲静脈径を検索し, これらの肝転移への関与, ならびにその臨床病理学的意義を検討した.対象は, 教室における過去8年間 (1981.1~1988.12) の初発大腸進行癌切除症例378例中単発大腸癌治癒切除症例220例である.静脈侵襲陽性は141例 (64.1%) であり, これらの静脈侵襲頻度をv1; 1~2個, v2; 3~6個, v3; 7個以上, に分け, また, 侵襲静脈径を各症例の最も太い静脈径によりS・M・L群に分類し検討した.侵襲頻度別にみるとv1: 80例 (56.7%) , v2: 48例 (34.0%) , v3: 13例 (9.3%) , 侵襲径ではS群: 18例 (12.8%) , M群: 95例 (67.4%) , L群: 28例 (19.9%) であり, 両者の問に相関関係がみられ, 侵襲頻度が多いものほど, 侵襲径の大きい群に属した.v (+) 例では中分化癌, a2+Sが有意に高率であった.静脈侵襲頻度, 侵襲静脈径と占居部位, 組織型, 深達度およびリンパ節転移との問に相関をみられなかったが, リンパ管侵襲のうち1y3とに相関関係を認めた.予後の検討では, v (-) , v (+) 症例の5生率はそれぞれ84.2%, 58.6%と有意差がみられ, 静脈侵襲頻度が高い症例ほど, また静脈侵襲径が太いほど予後不良であった.肝再発は17例 (7.7%) にみられ, うち16例がv (+) であった.静脈侵襲頻度別にみると, v0: 1.2%, v1: 5.0%, v2: 12.5%, v3: 46.2%, 侵襲静脈径別では, S群: 5.6%, M群: 7.4%, L群: 28.6%, また, 漿膜下層静脈侵襲の有無で比較すると, ssv (+) : 16.3%, ssv (-) : 3.6%であり, 静脈侵襲頻度の高いもの, 侵襲静脈径の太いもの, ssv (+) で有意に肝再発がみられた (p<0.05) .また, 占居部位, 組織型, リンパ管侵襲およびリンパ節転移では相関関係がみられず, 深達度のみに肝再発との相関関係を認めた.以上, 大腸癌における静脈侵襲状況は術後肝再発を予測するうえできわめて重要であり, これらの危険因子の大きい症例では治癒切除症例であっても厳重な経過観察が必要であると考えられた.