著者
妹尾 裕彦
出版者
千葉大学教育学部
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要 (ISSN:13482084)
巻号頁・発行日
vol.63, pp.317-332, 2015-03

「近未来石油枯渇論」は石油および石油開発に関する基本的知識を欠いた誤謬であり,「人類にとって利用可能と見込みうる石油の総量」は非常に多い。また,石油採掘量の増加に貢献しているイノベーションを概観すれば,「人類にとって利用可能と見込みうる石油の総量」がさらに伸びる余地が十二分にあることがわかる。「近未来石油枯渇論」に基づいた文明縮小という選択は,単に不要なだけでなく,未来人に対して不遜であり,しかも倫理的にも大きな問題を孕んでいる。化石燃料に依存した現代文明は今後も長らく存続し続けられるが,そのためにはイノベーションが肝要である。
著者
妹尾 裕彦
出版者
千葉大学教育学部
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要 (ISSN:13482084)
巻号頁・発行日
vol.57, pp.203-228, 2009-03

国際コーヒー価格は1989年以降,二度の大暴落・低迷期を経験した。いわゆる「コーヒー危機」である。この危機の要因としては,国際コーヒー協定(ICA)の経済条項の停止や,コーヒーの大幅な供給増が指摘されるが,問題はなぜ経済条項が停止し,またなぜ大幅な供給増が可能になったのかである。本稿は,これらの点も含めてコーヒー危機の要因を多角的に考察する。さらに,コーヒー収入の安定・向上のためには,国際コーヒー協定の経済条項を改訂した上で復活させるのが望ましいことを指摘し,そのための条件を示す。
著者
妹尾 裕彦
出版者
千葉大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2007

極度の貧困を抱えているのみならず、ときに内戦下にある破綻国家(脆弱国家)の発生を如何に防ぐべきか。またこうした国々で進められている平和構築が後戻りせず持続可能となるためには、どのような条件が必要なのか。本研究では、破綻国家とは「開発の失敗」であり、またこの開発の失敗の一因が、熱帯産一次産品の価格低迷にあるという観点から、こうした価格低迷による国家の破綻の実態、ならびにこの国家の破綻を防ぎうる諸方策の可能性と射程について検討した。