著者
守屋 誠司 長田 紀美 丹 洋一 詫摩 京未
出版者
一般社団法人 数学教育学会
雑誌
数学教育学会誌 (ISSN:13497332)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1-2, pp.49-60, 2017 (Released:2020-04-21)

教科書に掲載された通りに「数の分解と合成」,ブロック操作を行いながらの1 位数同士による繰り上りや繰り下がりの無い足し算・引き算,20 までの数が指導され,実態として指を使って計算する児童も多く存在するクラスを対象に,「繰り下がりのある引き算」の指導改善を目指して,「繰り上がりのある足し算」から次の方針で連続した指導を試みた。方針Ⅰ:事前調査を丁寧に行い,児童の実態を明らかにする。その上で,指導方略を検討し授業実践する。方針Ⅱ:既習の1位同士の加法と減法の計算技能習得をまず徹底させる。方針Ⅲ:ブロック操作は採り入れず,具体物で導入して,それを図で表現させながら考えさせる。最後に図と具体物を対応させて振り返らせる。これは,具体と抽象との行き来を確実にさせる意味がある。方針Ⅳ:教師が,個人学習での様々な結果をi-Pad で撮り込み,全体解決の一斉授業では児童が電子黒板上でその画像を使って発表・説明し,皆で確認する授業形態を採る。これは,ICT 利用の効果的成果を確認するためである。 ブロック操作を行わず図表現のみで通した場合,集中して思考でき,多様な方法を考えだす機会になっていることが確認できた。ブロック操作は,むしろ思考を中断させてしまう可能性が示唆された。
著者
守屋 誠司 植村 友紀
出版者
京都教育大学附属教育実践センター機構教育支援センター
雑誌
教育実践研究紀要 = Journal of educational research (ISSN:13464604)
巻号頁・発行日
no.11, pp.31-40, 2011-03

本稿ではドイツ・バイエルン州の基幹学校(Hauptschule)の教育制度と教育内容に注目して,そこではどのように学力を保証しているのかを学習指導要領と卒業国家試験をもとに調べた。学習指導要領の教育目標は生徒らの卒業後の進路を考えて作られており,生徒らの学力を考慮した内容である。さらに,卒業国家試験は,それらの内容が理解されているかを測り,基幹学校の卒業生としての学力を保証する教育制度の一つであった。
著者
守屋 誠司 加藤 卓 進藤 聡彦
出版者
一般社団法人 数学教育学会
雑誌
数学教育学会誌 (ISSN:13497332)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3-4, pp.211-219, 2016 (Released:2020-04-21)

割合問題解法のツールとしてのボックス図(乗除数量関係図)の効果を調査した。これは従来の2本数直線表現に比べて,「基になる割合である1」,「基になる量」,「比べられる量」,「比べられる量の割合」の4つの関係が,視覚的に明示できる特徴をもつ。このボックス図を用いて,割合を未習の5年生2名に対して5時間の教授介入を行った。その結果,ボックス図自体の使用は比較的容易であり,それを用いることで割合の文章題にも正しく立式できるようになることが示唆された。さらに,全国学力・学習状況調査問題の算数B問題として出題された正答率が著しく低い問題にも,正答することができた。
著者
守屋 誠司 寺本 京未 岡部 恭幸 大黒 孝文 Noppawon Theerapuncharoen
出版者
一般社団法人 数学教育学会
雑誌
数学教育学会誌 (ISSN:13497332)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.15-26, 2007
被引用文献数
2

創造性の育成を目的とした日本とタイの中学生の遠隔協同総合学習の実際について報告する。2004年11月から2005年1月にかけ,タイ国ラジャパッド地域総合大学アュタヤ校附属中学校と神戸大学発達科学部附属住吉中学校の第3学年生どうしで環境問題を採り上げて,遠隔協同総合学習の教育実験を行った。日本側は「イボニシガイヘの環境ホルモンの影響」を,タイ側は「水の汚染」をお互いに学習・調査し,その結果について交流した。環境問題が遠隔協同総合学習に適切な教材であること,また,聞く立場と発表する立場では,育成される創造性の因子が異なることが示唆された。
著者
河崎 哲嗣 守屋 誠司 岡部 恭幸 垣東 弘一 小田桐 良一
出版者
岐阜大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究は、算数・数学の苦手な学生を多く抱えた小学校教員養成課程を有する大学における数学的モデリングの授業体系の提案とその有用性を示そうとした。そこで、1.授業の教材づくりとカリキュラム構成のための調査・文献、2.算数的活動を学ばせるための基礎研究、3.算数・数学的活動を計画・授業・改良させるための実践を目的とした。小学校で行う数学的モデリングのような数学的活動は「①どんな数学を使うのかを課題内容に明確に組み込む②数学の体系化を意識する③オープンエンドである」の要素を含んだ課題を設定するとともに、学生の数学の学力向上が重要となった。その結果を踏まえ、数学的モデリングの講義案を示すことができた。
著者
野川 裕記 足立 史宜 辻野 泰充 守屋 誠司 齋藤 和典
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IA, インターネットアーキテクチャ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.85, pp.7-12, 2009-06-11
被引用文献数
3

シェルコードは、遠隔からの攻撃に使用される小さな機械語のプログラムである。シェルコード分析およびシェルコード検知に関する研究は行われているが、十分な正確性とスループットを備えたシェルコード検知システムは報告されていない。本論文において、我々は、ネットワーク上を流れるシェルコードを分析し、検知する手法を提案する。まず最初に、シェルコードについて説明し、遠隔からの攻撃を判別するときのシェルコード検知の重要性について述べる。次に、従来研究について簡単に述べ、シェルコードの構造分析を用いた我々の手法を示す。最後に、本手法をC言語で実装し評価した結果について述べ、我々の手法で検知した興味深い例を報告する。