著者
山田 敬太郎 垂水 浩幸 大黒 孝文 楠 房子 稲垣 成哲 竹中 真希子 林 敏浩 矢野 雅彦
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.372-382, 2009-01-15
被引用文献数
4

歴史学習を対象としたフィールドワークをGPS携帯電話を用いて支援するシステムの開発と,これを用いた実践授業を行った.学習者は,三次元モデルを元に携帯電話の画面上に再現された過去の世界を訪れ,現在の様子との違いを認識することから学ぶ.昭和13年の阪神大水害の様子を三次元モデルで作成し,中学3年生に対して実践授業を行いその教育効果を検証した.その結果,生徒全員から本システムへの肯定的な反応があり,過去と現在を結び付けながら学んでいる様子が分かった.三次元モデルにより,自由な視点での過去の様子を知ることができる点への評価が高かった.また,携帯電話を用いることにより機器に親しみやすく,生徒の関心を高めることに効果的であることが分かった.これらのことから,本研究のアプローチが有効であることを実証できた.We have developed a system using mobile phones with attached GPS to learn history. This system enables students to do fieldwork with a visit to a virtual world from the corresponding location in the present world. The virtual world designed a 3D model of a past world of 1938, when a landslide occurred. The 14-15-years-old students visited the past world and learned much about it. We have found that the system helped students learn about their local area's history by enabling them to compare the past and the present and to observe the past world from arbitrary viewpoints. Because mobile phones are familiar and portable, students' motivation was enhanced.
著者
大黒 孝文 稲垣 成哲
出版者
日本理科教育学会
雑誌
理科教育学研究 (ISSN:13452614)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.1-12, 2006-11-30
参考文献数
18
被引用文献数
6

近年,理科教育において,生徒の学びの場に生じる対話が注目されており,そこで生起する相互作用や概念の変容を協同学習の中で実現しようとする研究がなされている。しかし学習効果としての生徒たちの実験技能の習熟や理解度に関する研究は,ほとんどなされていない。そこで本研究では,ジョンソンら(1998)の提唱する協同学習の基本的構成要素を取り入れた実験授業を計画し,その学習効果を検討することにした。実験授業は,中学校2年生を対象にして,化学分野と気象分野の2つの単元において,協同学習の基本的構成要素を導入した実験群とそれを導大していない対照群を設定して実施した。その結果,実験群においては,対照群に比べて,次のような学習効果を確認することができた。(1)実験操作上の誤操作や器具の破損が減った。(2)学習内容の単元直後の理解度は対照群と変わらなかったが,1ヵ月後の定着が高まった。(3)実験に取り組む姿勢として,対話やアドバイスが重要であると認めるなどの変容が見られた。以上の結果から,ジョンソンら(1998)の提唱する協同学習の基本的構成要素を取り入れた授業の有効性が示唆された。
著者
守屋 誠司 寺本 京未 岡部 恭幸 大黒 孝文 Noppawon Theerapuncharoen
出版者
一般社団法人 数学教育学会
雑誌
数学教育学会誌 (ISSN:13497332)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.15-26, 2007
被引用文献数
2

創造性の育成を目的とした日本とタイの中学生の遠隔協同総合学習の実際について報告する。2004年11月から2005年1月にかけ,タイ国ラジャパッド地域総合大学アュタヤ校附属中学校と神戸大学発達科学部附属住吉中学校の第3学年生どうしで環境問題を採り上げて,遠隔協同総合学習の教育実験を行った。日本側は「イボニシガイヘの環境ホルモンの影響」を,タイ側は「水の汚染」をお互いに学習・調査し,その結果について交流した。環境問題が遠隔協同総合学習に適切な教材であること,また,聞く立場と発表する立場では,育成される創造性の因子が異なることが示唆された。
著者
大黒 孝文 山本 智一 出口 明子 竹中 真希子 黒田 秀子 舟生 日出男
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.33, no.7, pp.29-32, 2019-06-01 (Released:2019-05-29)
参考文献数
13

本研究では,教員に協同学習の指導力を付けることを目的に,教員研修及び教員養成課程において使用するマンガケースメソッド学習プログラム:ジグソー編を開発し評価を行った.学習プログラムは,現在マンガケースメソッド教材とテキストが完成している.兵庫県内の国立大学法人に通う中学校高校理科教員志望大学生43名を対象に3時間の授業において実験研究を行った.評価の内容は,学習プログラムの使用感や有効性とジグソー学習に対する関心・意欲に関する質問紙調査であった.評価の結果,すべての項目において有意に肯定的な評価を得た.以上から本プログラムの有効性が示唆された.