著者
林 政彦 安藤 康行 安井 万奈 山崎 淳司
出版者
宝石学会(日本)
雑誌
宝石学会(日本)講演会要旨 平成24年度 宝石学会(日本)講演論文要旨
巻号頁・発行日
pp.6, 2012 (Released:2012-09-30)

ブルー・オパールは大変綺麗な色調であり,人気のある宝石の一つである。その中に変色するものがあったので、その原因について報告する。 この変色は、標本ケースに入れた状態で生じており、ケース内部が青色になってしまっていることから、オパールから染み出てきたことによることは明らかである。そこで、変色した標本について、X線粉末回析実験とエルギー分散型EPMA により化学組成の分析を試みたので、それらの結果を報告する。 (1)X線粉末回折実験 装 置 ・リガク製X線ディフラクトメータ RINT ULTIMA3 条 件 ・X線源:Cu Kα ・電圧/電流:40kV / 20mA 結 果 非晶質のシリカの回折パターンを示す。いわゆるOpal-CTである. (2)エルギー分散型EPMA 装 置 ・日本電子製JSM-6360 + OXFORD製INCA EDS 条 件 ・加速電圧:15 kV ・測定範囲:20 mm ・積算時間:60 sec 結 果 銅と塩素が検出された. 以上の結果から,青緑色を呈する塩化銅(Ⅱ)のニ水和物によって着色されたオパールと思われる。 なお、無水の塩化銅(Ⅱ)は黄褐色である。 流通しているブルー・オパールのネックレスで、身に着けている間に黄色に変色した報告もある。これは,塩化銅(Ⅱ)のニ水和物が脱水して無水になったためと考えられる。塩化銅が人為的に含浸させたものかどうかは不明であるが、流通しているブルー・オパールの取扱いには注意が必要である。
著者
林 政彦 酒見 昌伸 安井 万奈 山﨑 淳司 堤 貞夫
出版者
宝石学会(日本)
雑誌
宝石学会誌 (ISSN:03855090)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.3-16, 2016

縄文時代の6千年前頃から首飾り等に使われていたヒスイ(翡翠,ヒスイ輝石(Jadeite))は,主に新潟県糸魚川市~富山県朝日町周辺で産出したとされている.わが国では,新潟県以外にも鳥取県若桜町,岡山県新見市,兵庫県養父市あるいは長崎県長崎市などからも産することが報告されている。さらに外国では,ミャンマー,アメリカ,グアテマラ,ロシアなどが知られている。今回入手した各地の試料を調べた結果,輝石族の鉱物名分類(Morimotoら,1988)1)に従うと,ほとんどのものはヒスイ輝石であったが,いくつかの産地のものはオンファス輝石(Omphacite)と呼んだ方がよいものであった。
著者
安井 万奈 森田 直樹 今関 沙和 伊野 航 吉村 風 萩谷 宏
雑誌
JpGU-AGU Joint Meeting 2020
巻号頁・発行日
2020-03-13

NPO法人Science and Artは、設立から4年が経過した今、法人の活動として毎週12クラス、幼稚園児・小学生を対象とした自然科学教室を運営している。これらの活動を通じて、地球惑星科学を小さい子どもたちに教えることは生物・化学・物理といった他の教科に比べ非常に難しいと実感している。カリキュラムのうち地球惑星科学に関するテーマは全体の1/4を占めており、教室としては安定した人気を保っている。教室に通う子ども達の中には3~4年と通う子どもも出てきており、子どもへの長期にわたる教育効果も徐々に明らかとなってきた。当初の教室の目標として「自然科学入門のために子どもに興味を持たせること」に重点を置いてきていたが、楽しく自然科学に親しむプログラムを提供する事によってこの目標は達成でき、理想通りの充実した教室運営ができていると自負している。しかし子ども達が年齢を重ねるほどに彼らを楽しませるだけの教室を超えて、今度は考えさせる教育を提供する必要に迫られていると感じている。地球惑星科学のテーマで幼児や小学校低学年生にどこまで疑問・質問・解決・工夫を考えさせることができるか、その試行錯誤とともに、これまでの教育効果、見えてきた課題を報告する。
著者
林 政彦 安藤 康行 安井 万奈 山崎 淳司
出版者
宝石学会(日本)
雑誌
宝石学会(日本)講演会要旨
巻号頁・発行日
vol.34, 2012

ブルー・オパールは大変綺麗な色調であり,人気のある宝石の一つである。その中に変色するものがあったので、その原因について報告する。<br>この変色は、標本ケースに入れた状態で生じており、ケース内部が青色になってしまっていることから、オパールから染み出てきたことによることは明らかである。そこで、変色した標本について、X線粉末回析実験とエルギー分散型EPMA により化学組成の分析を試みたので、それらの結果を報告する。<br>(1)X線粉末回折実験<br>装 置<br>・リガク製X線ディフラクトメータ RINT ULTIMA3<br>条 件<br>・X線源:Cu Kα<br>・電圧/電流:40kV / 20mA<br>結 果<br>非晶質のシリカの回折パターンを示す。いわゆるOpal-CTである.<br>(2)エルギー分散型EPMA<br>装 置<br>・日本電子製JSM-6360 + OXFORD製INCA EDS<br>条 件<br>・加速電圧:15 kV<br>・測定範囲:20 mm<br>・積算時間:60 sec<br>結 果<br>銅と塩素が検出された.<br>以上の結果から,青緑色を呈する塩化銅(Ⅱ)のニ水和物によって着色されたオパールと思われる。 なお、無水の塩化銅(Ⅱ)は黄褐色である。<bR>流通しているブルー・オパールのネックレスで、身に着けている間に黄色に変色した報告もある。これは,塩化銅(Ⅱ)のニ水和物が脱水して無水になったためと考えられる。塩化銅が人為的に含浸させたものかどうかは不明であるが、流通しているブルー・オパールの取扱いには注意が必要である。
著者
林 政彦 酒見 昌伸 安井 万奈 山﨑 淳司 堤 貞夫
出版者
宝石学会(日本)
雑誌
宝石学会誌 (ISSN:03855090)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1-4, pp.3-16, 2016-04-30 (Released:2017-01-16)

縄文時代の6千年前頃から首飾り等に使われていたヒスイ(翡翠,ヒスイ輝石(Jadeite))は,主に新潟県糸魚川市~富山県朝日町周辺で産出したとされている.わが国では,新潟県以外にも鳥取県若桜町,岡山県新見市,兵庫県養父市あるいは長崎県長崎市などからも産することが報告されている。さらに外国では,ミャンマー,アメリカ,グアテマラ,ロシアなどが知られている。今回入手した各地の試料を調べた結果,輝石族の鉱物名分類(Morimotoら,1988)1)に従うと,ほとんどのものはヒスイ輝石であったが,いくつかの産地のものはオンファス輝石(Omphacite)と呼んだ方がよいものであった。
著者
森田 直樹 安井 万奈 萩谷 宏
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2019年大会
巻号頁・発行日
2019-03-14

NPO法人Science and Artでは幼児期からの理科離れ対策として、2016年以来幼稚園における自然科学教育を展開し、年少児から小学校2年生まで毎週9クラス(幼児60名・小学生8名)の自然科学教室を展開している。本研究発表では以下の3つのプログラムとその教育効果について紹介する。1・化石発掘体験2・鉱物万華鏡3・恐竜カルタ化石発掘体験では実物のアンモナイトを石膏と砂を混ぜた土台に埋め込み、子供達に割り箸とゴムハンマーで発掘の感覚を味わってもらう。この際、子供のレベルに応じて土台の硬さを調節することにより醍醐味が変わってくる。模擬的に発掘された化石にはラベルをつけて自分の標本として自分で管理させる。鉱物万華鏡では水晶(石英・紫・ピンク)やカンラン石のなどの色石のさざれ石を利用して万華鏡を作る。石の観察を行いながら、その起源や産地の話題へと話を発展させる。恐竜カルタでは通常のカルタ遊びを行いながら、カルタに出てきた恐竜や海棲爬虫類の標本(レプリカ・実物化石)を見せたり触ったりさせる。図鑑も多用してカルタに書いてある文字以上の情報を図鑑から得る方法を教える。本プログラムのフィードバックを紹介することで、いずれも幼児期から楽しみながら地学に触れることができるだけでなく、その後の興味を伸ばす要素も含んでおり、幼児期からの地学教育において画期的なプログラムであると提案したい。
著者
林 政彦 高木 秀雄 安井 万奈 山崎 淳司
出版者
宝石学会(日本)
雑誌
宝石学会(日本)講演会要旨 平成29年度 宝石学会(日本)講演論文要旨
巻号頁・発行日
pp.10, 2017 (Released:2017-06-30)

はじめに 1962 年に, 東京芝浦電気株式会社 中央研究所(現東芝研究開発センター)で合成ダイヤモンドが製造さ れた.これはスウェーデンのASEAで 1953 年に,米国のGEでは 1954 年に製造されてから僅か数年後の事である.この頃に東芝で造られたとされる合成ダイヤモンドが,早稲田大学の鉱物標本室に収蔵されていたので,その特徴について報告する.特 徴 この標本は,ほぼ無色の色調を呈し,表面に見られる成長模様から{100}で囲まれた結晶と見られる(Fig.1).その外観は,コンゴ産の天然ダイヤモンドに似ている.この標本の成長の様子を調べるために RELION Industries 製 RELIOTRON を使いてカソ―ドルミネッセンス(CL)像を観察したところ, 小さなセクターに分かれた組織が認められた(Fig.2).