著者
堀江 正信 森田 直樹 井原 遊 三目 直登
出版者
一般社団法人 日本計算工学会
雑誌
日本計算工学会論文集 (ISSN:13478826)
巻号頁・発行日
vol.2020, no.1, pp.20201005, 2020-11-13 (Released:2020-11-13)
参考文献数
26

メッシュは有限要素法や有限体積法で用いられる重要なデータ構造である.メッシュデータ構造はグラフと呼ばれるデータ構造の一種であるとみなせるため,メッシュを学習するために graph neural network (GNN) が広く用いられてきた.本研究では,GNN が有限要素解析の学習に有用なモデルであることを示す.提案手法では,メッシュの回転や並進に対して不変となるような形状の特徴量を入力として用いることによって学習をより効率的にしている.さらに,提案手法は学習データセットに含まれていない 100 万節点もの大きなメッシュに対しても精度を有意に落とすことなく推論ができることがわかった.
著者
菱沼 利彰 五十嵐 亮 寺村 俊紀 森田 直樹 井原 遊
雑誌
研究報告ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC) (ISSN:21888841)
巻号頁・発行日
vol.2021-HPC-180, no.3, pp.1-11, 2021-07-13

近年,プロセッサアーキテクチャの多様化が進んでいる.数値シミュレーションを様々なアーキテクチャで行うことを考えたとき,CPU では BLAS や LAPACK を用いれば密行列に対する演算が統一された API で利用できるが,アクセラレータでは多くの場合データ通信の制御や API の変更が必要になる.疎行列に対する演算は,一部のハードウェアベンダ製ライブラリが疎行列に対する演算を備えているが,全てのアーキテクチャで動作はせず,統一された API は定義されていない.著者らは,真に有用な線形代数ライブラリは実用されているすべてのアーキテクチャで動く必要があるとの考えから,各ベンダやライブラリのデータ型,行列格納形式,データ通信 API などを扱うための統一された API を定義し,すべてのアーキテクチャで動作する可搬性の高いオープンソースライブラリ monolish を提案する.本研究ではこの第一段階として,シングルノード,シングルデバイス向けに開発した提案ライブラリの性能を評価した.行列行列積,LU 分解,共役勾配法のプログラムを 8 つの環境で実行し,提案したライブラリを用いることですべての環境でプログラムを変更せずに動作する高性能かつ可搬性の高いプログラムを実現できることを示した.
著者
森田 直樹 堀江 正信 須藤 海
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.86, no.882, pp.19-00337, 2020 (Released:2020-02-25)
参考文献数
22

In numerical analyses based on unstructured meshes represented by the finite element method, quadrilateral and hexa-hedral meshes are used for a two-dimensional and a three-dimensional analyses, respectively, from the viewpoint of calculation accuracy and computation time. However, a method for automatically generating quadrilateral and hexahedral meshes has not been established thus far; in addition, a considerable amount of effort is required to perform manual mesh modifications. Mesh generation based on the frame field method is an effective technique to extract high quality quadrilateral and hexahedral meshes through the optimization of the posture of a frame with rotational symmetry. This method needs to solve a mixed-integer programming (MIP) problem while extracting the quadrilateral and hexahedral mesh using integer grid maps. When solving an MIP using a greedy method, solving a simultaneous equation is required approximately O(M) times, where M is the number of integer constraints. In this study, we propose a method to obtain a quadrilateral mesh by solving a simultaneous equation approximately O(1) times. In this method, the frame field is calculated using finite element discretization, and the finite element mesh is appropriately remeshed to be aligned with the integer grid resulting from the frame field optimization. The proposed method can reduce the amount of computation required to obtain integer grid maps for mesh extraction, without impairing the mesh quality. The proposed method is evaluated with respect to by mesh quality using the aspect ratio and the scaled Jacobian. Numerical examples demonstrate that the mesh quality is comparable to or better than that produced by conventional methods and manual procedures.
著者
安井 万奈 森田 直樹 今関 沙和 伊野 航 吉村 風 萩谷 宏
雑誌
JpGU-AGU Joint Meeting 2020
巻号頁・発行日
2020-03-13

NPO法人Science and Artは、設立から4年が経過した今、法人の活動として毎週12クラス、幼稚園児・小学生を対象とした自然科学教室を運営している。これらの活動を通じて、地球惑星科学を小さい子どもたちに教えることは生物・化学・物理といった他の教科に比べ非常に難しいと実感している。カリキュラムのうち地球惑星科学に関するテーマは全体の1/4を占めており、教室としては安定した人気を保っている。教室に通う子ども達の中には3~4年と通う子どもも出てきており、子どもへの長期にわたる教育効果も徐々に明らかとなってきた。当初の教室の目標として「自然科学入門のために子どもに興味を持たせること」に重点を置いてきていたが、楽しく自然科学に親しむプログラムを提供する事によってこの目標は達成でき、理想通りの充実した教室運営ができていると自負している。しかし子ども達が年齢を重ねるほどに彼らを楽しませるだけの教室を超えて、今度は考えさせる教育を提供する必要に迫られていると感じている。地球惑星科学のテーマで幼児や小学校低学年生にどこまで疑問・質問・解決・工夫を考えさせることができるか、その試行錯誤とともに、これまでの教育効果、見えてきた課題を報告する。
著者
森田 賢太 高瀬 治彦 川中 普晴 森田 直樹
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.592-596, 2019

<p>本稿は与えられた系列データから頻出な部分列を抽出することを目的とした.特に,抽出に際して(1)オンライン学習,(2)複数部分列の抽出, (3)さまざまな長さの部分列の抽出, (4)頻出とするしきい値の調節の4つすべて可能にすることをめざした.提案手法は,スパイキングニューロンを用いた2ブロックからなるニューラルネットワークである.LIFモデルに基づくユニットにより構成し,STDP学習則に基づいた結合荷重の更新を行うことで,自己組織的に部分列を抽出するネットワークを構築する.この結果,1つのSTDPのパラメータを調整するだけで,同じ系列から頻出として抽出する部分列を変化させることができた.具体的には,3,000シンボル長の系列から3シンボル長の部分列(出現頻度は0.4%, 3%, 5%)を抽出した際,3%以上出現する部分列の抽出と5%以上出現する部分列の抽出の切り替えに成功した.</p>
著者
森田 直樹 安井 万奈 萩谷 宏
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2019年大会
巻号頁・発行日
2019-03-14

NPO法人Science and Artでは幼児期からの理科離れ対策として、2016年以来幼稚園における自然科学教育を展開し、年少児から小学校2年生まで毎週9クラス(幼児60名・小学生8名)の自然科学教室を展開している。本研究発表では以下の3つのプログラムとその教育効果について紹介する。1・化石発掘体験2・鉱物万華鏡3・恐竜カルタ化石発掘体験では実物のアンモナイトを石膏と砂を混ぜた土台に埋め込み、子供達に割り箸とゴムハンマーで発掘の感覚を味わってもらう。この際、子供のレベルに応じて土台の硬さを調節することにより醍醐味が変わってくる。模擬的に発掘された化石にはラベルをつけて自分の標本として自分で管理させる。鉱物万華鏡では水晶(石英・紫・ピンク)やカンラン石のなどの色石のさざれ石を利用して万華鏡を作る。石の観察を行いながら、その起源や産地の話題へと話を発展させる。恐竜カルタでは通常のカルタ遊びを行いながら、カルタに出てきた恐竜や海棲爬虫類の標本(レプリカ・実物化石)を見せたり触ったりさせる。図鑑も多用してカルタに書いてある文字以上の情報を図鑑から得る方法を教える。本プログラムのフィードバックを紹介することで、いずれも幼児期から楽しみながら地学に触れることができるだけでなく、その後の興味を伸ばす要素も含んでおり、幼児期からの地学教育において画期的なプログラムであると提案したい。