著者
西村 公雄 宮本 有香 樋笠 隆彦
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.55, no.8, pp.605-615, 2004-08-15
被引用文献数
6

75℃で真空調理加熱した鶏ささ身は, 100℃で加熱したものより有意に収縮が弱くかつ,やわらかく仕上がった.両試料のヒドロキシプロリン量に,有意な差はなく,走査電子顕微鏡観察においても微細構迫間に顕著な差は観られなかった.ミオシンを両温度で加熱後その凝集状態を透過電子顕微鏡で観察したが,状態に差は認められなかった.しかしながら,接触しているタンパク質同士を結合する試薬1-ethyl-3-carbodiimideを用いて得られたミオシン凝集体の電気泳動パターンは,明らかに100℃加熱した方が75℃加熱したミオシンより重合化が進んでいることを示していた.このことは, 100℃加熱で形成されたミオシン凝集体がよりコンパクトな構造を持っていることを示している.
著者
宮本 有香 宇高 茜
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.30, 2018

【目的】マカロンとは、卵白を泡立てたメレンゲに、アーモンドプードルや粉砂糖を加えて作るフランスの伝統菓子であり、調理工程のマカロナージュ(生地中の気泡量調整)が、パティシエの勘やコツによるため、焼成が難しい。そこで演者らは、マカロンの生地条件を検討し、糖濃度が48%前後の生地は、マカロナージュに関わらず、焼成が可能であることを明らかとした。本研究では、乾燥卵白を使用したマカロン焼成条件を検討し、マカロン焼成に必要なメレンゲ状態について検討を行なった。<br>【方法】10%乾燥卵白液(乾燥卵白)と新鮮卵白を、3~21分まで3分ごとに撹拌時間別メレンゲを調製し、分離液量測定、マイクロスコープによる気泡状態の観察、3h後のメレンゲの状態観察から安定性を比較した。マカロン生地は、全糖割合48%、アーモンドプードル27%、卵白25%(メレンゲ調製時の糖0%)で調製し、メレンゲ撹拌時間ごとにマカロン焼成を行い、焼成状態を比較した。<br>【結果】6分より長い撹拌において、分離液量は、新鮮卵白では増加し、乾燥卵白では減少した。気泡状態は、3分は新鮮卵白よりも乾燥卵白の気泡が小さく、6分は差がなく、9分以降は乾燥卵白にタンパク質の変性部位が認められ、撹拌時間が長くなると増加し、分離液量は減少した。これらのメレンゲを用いたマカロン焼成は、新鮮卵白では全体的に薄く焼成され、メレンゲ調製時の砂糖添加が必要である可能性が示唆された。乾燥卵白は、撹拌時間が長くなるにつれ、ピエが出現し、断面の空洞が大きくなった。すなわち、乾燥卵白メレンゲは新鮮卵白よりも長い撹拌時間を要し、気泡中のたんぱく質変性部位がメレンゲの安定性およびマカロン焼成に関与すると考えられた。
著者
西村 公雄 宮本 有香 樋笠 隆彦
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.55, no.8, pp.605-615, 2004

75℃ で真空調理加熱した鶏ささ身は, 100℃で加熱したものより有意に収縮が弱くかつ, やわらかく仕上がった.両試料のヒドロキシプロリン量に, 有意な差はなく, 走査電子顕微鏡観察においても微細構造間に顕著な差は観られなかった.ミオシンを両温度で加熱後その凝集状態を透過電子顕微鏡で観察したが, 状態に差は認められなかった.しかしながら, 接触しているタンパク質同士を結合する試薬 1-ethyl-3-carbodiimide を用いて得られたミオシン凝集体の電気泳動パターンは, 明らかに 100℃ 加熱した方が75℃加熱したミオシンより重合化が進んでいることを示していた. このことは, 100℃ 加熱で形成されたミオシン凝集体がよりコンパクトな構造を持っていることを示している.