著者
家根 旦有
出版者
特定非営利活動法人 日本頭頸部外科学会
雑誌
頭頸部外科 (ISSN:1349581X)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.9-14, 2018 (Released:2018-07-31)
参考文献数
8
被引用文献数
2 1

2017年にTNM分類は改定され(UICC第8版),HPV関連中咽頭癌は独立した項目として分類されることになった。HPV感染の診断にはp16免疫染色が用いられ,中咽頭癌はp16陽性中咽頭癌とp16陰性中咽頭癌に分けられた。p16陽性中咽頭癌において,T分類はT4aとT4bがT4に集約され,N分類はN1からN2bまでがN1に集約された。病理学的N分類はリンパ節転移の個数で分類されることになり,pN1は1〜4個,pN2は5個以上のリンパ節転移と分類された。また原発不明頸部リンパ転移がp16陽性の場合,p16陽性中咽頭癌T0とみなすことになった。p16陰性中咽頭癌ではリンパ節転移に節外浸潤の概念が導入され,それ以外は第7版と大きな変更はない。
著者
横田 雅子 家根 旦有 宮原 裕 松永 喬
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.34, no.6, pp.653-658, 1991-12-15 (Released:2011-08-10)
参考文献数
13

我々は1985年1月より1989年12月までに当科で診療した味覚障害患者, 男性55例, 女性56例, 計111例について統計的観察を試みた。重症度や治療は原因と関係が深く, その原因は口腔内病変, 頭部外傷, 感冒罹患後, 伝導路障害, 全身性, 嗅覚性, 薬剤性, 心因性, 脳血管障害, 原因不明である。この中で, 伝導路障害が最も多く (27%), 口腔内病変, 原因不明と続く。原因別の電気味覚閾値は, 頭部外傷と薬剤性で高く, 全身疾患や心因性では低い。電気味覚閾値と濾紙味覚閾値は比較的良好な正の相関を示し, 特に鼓索神経支配領域で相関性が高い。また亜鉛欠乏が検査し得た症例の60%以上で見られた。ZnSO4で治療した9例中8例で改善した。
著者
家根 旦有
出版者
耳鼻咽喉科臨床学会
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 (ISSN:00326313)
巻号頁・発行日
vol.96, no.6, pp.486-487, 2003-06-01 (Released:2011-10-07)
参考文献数
2
著者
清水 直樹 家根 旦有 岡本 英之 細井 裕司
出版者
日本小児耳鼻咽喉科学会
雑誌
小児耳鼻咽喉科 (ISSN:09195858)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.29-32, 2008 (Released:2012-09-24)
参考文献数
11
被引用文献数
1 2

奈良県立医科大学耳鼻咽喉科では1990年から2006年の過去17年間に7例の小児甲状腺癌を経験した.これは当科で手術を施行した甲状腺悪性腫瘍全体の1.6%に相当する.性別は男性3例,女性4例で,年齢は8~16歳,平均年齢は11.6歳であった.病理組織型は,乳頭癌6例,濾胞癌1例と,成人同様乳頭癌が多く認められた.乳頭癌のうち,びまん性硬化型乳頭癌と診断した症例が1例,充実濾胞型の増殖を示した症例が1例あった.また全例に頸部リンパ節転移を認めた.甲状腺全摘術を施行した2症例は,術後一時的に気管切開を要した進行例であった.肺転移が認められた症例が3例あり,そのうち2例に衛後アイソトープ治療を施行した.小児甲状腺癌の予後は成人と比較し良好であると報告されているが,初診時から周囲組織への高度浸潤を認める症例や,遠隔転移をきたすなど進行癌である場合も多く,治療方針の選択には十分注意する必要であると考えられた.
著者
三上 慎司 上條 朋之 小泉 敏三 福田 多介彦 家根 旦有 細井 裕司
出版者
耳鼻咽喉科臨床学会
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 (ISSN:00326313)
巻号頁・発行日
vol.101, no.2, pp.147-151, 2008-02-01 (Released:2011-10-07)
参考文献数
16

White lesions in the larynx, pharynx, and oral regions, which are called leukoplakias clinically, show a variety of histopathological features, including hyperplasia, dysplasia and cancer. Therefore, they should be treated carefully as precancerous lesions. Eighty-one patients with leukoplakia of the larynx, pharynx and oral tissue were treated between 1996 and 2005.The majority of these patients with leukoplakia in the larynx were heavy smokers.In the 11 cases of leukoplakia in the larynx, the white lesions were resolved by conservative treatment. Based on the findings above, it is important for heavy smokers to stop smoking completely. In leukoplakia of the larynx, squamous cell carcinoma was detected in 15 cases (26.8%).In leukoplakia of the oral tissue and pharynx, squamous cell carcinoma was detected in 2 (8.0%).Among the 81 cases in this series, squamous cell carcinoma was detected in 6 laryngeal lesions and 1 oral and pharyngeal lesions. Histological findings of these lesions were all dysplasia, initially. Therefore, long term follow-up is recommended if the histologoical findings of leukoplakia initially demonstrate dysplasia.