著者
石黒 直隆 本郷 一美 寺井 洋平
出版者
総合研究大学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本研究の目的は、日本の動物史上、最大のミステリーであるシーボルトコレクションの「ヤマイヌ」が、実際にニホンオオカミなのか?あるいはオオカミとイヌの交雑種なのか?を形態的解析と遺伝学的解析により解明することである。これまでの研究で、ニホンオオカミは、大陸のオオカミや家犬とは異なった遺伝子配列を有することをミトコンドリアDNA(mtDNA)上のDループ配列上で明らかにしてきた。本研究では国内外のニホンオオカミとされる骨資料を解析し、ヤマイヌと呼ばれてきた動物の実体を明らかにする。平成29年度は以下の成果をえることができた。1)オランダ・ライデン自然史博物館の協力によりシーボルトコレクションの頭骨3個体(a, b, c)の資料提供を受けてmtDNAゲノム解析を実施した。その結果、資料aからは十分なDNA量が得られずDNA解析ができなかったが、資料bとcからはニホンオオカミ特有の配列が検出された。資料aに関しては、再度、資料提供をお願いする予定である。また、ドイツ・ベルリン自然科学博物館のニホンオオカミの頭骨3点に関しても、資料提供を受けることができた。今後、骨資料からのDNAの分離とmtDNA解析を行う予定である。2)mtDNAゲノム解析を終えたライデン自然史博物館の骨資料bとcに関しては、核ゲノム解析に進む予定であるが、骨からのDNAの回収量が少ないことから困難が予想される。3)国内においても、ニホンオオカミと思われる骨資料(東北地方よりの骨資料3点)の提供をうけており、今後、DNA分離とmtDNA解析を実施する予定である。
著者
寺井 洋平
出版者
総合研究大学院大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2019-04-01

代表的な日本犬種である紀州犬、秋田犬、柴犬、保存状態のよい二ホンオオカミ(3個体)それぞれ3個体ずつ、およびニホンオオカミのタイプ標本とヤマイヌの標本(各1個体)からゲノムDNA配列を決定する。その情報からニホンオオカミ固有の塩基置換を抽出し、日本犬ゲノムにそれら固有の塩基置換が含まれる領域を明らかにする。次いでニホンオオカミ特有の形態に関わる遺伝子とゲノム領域を抽出する。さらに日本犬ゲノム中のニホンオオカミ由来領域と、ニホンオオカミの島嶼適応に関わった可能性のある領域との重なりを抽出する。これにより島嶼適応したニホンオオカミの遺伝情報が日本犬の成立に寄与したことを明らかにする。