著者
野々山 忠芳 重見 博子 成瀬 廣亮 重見 研司 松峯 昭彦 石塚 全
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.350-354, 2022-09-30 (Released:2022-09-30)
参考文献数
18

症例は59歳男性.出血性ショック,敗血症となりICU入室し,人工呼吸器,PCPS,CHDF管理となった.第4病日よりリハビリテーション開始となったが,平均MRC sum scoreは1.8点であり,ICU-AWと考えられた.同日より両下肢に対する神経筋電気刺激療法を開始した.ICU退室後は離床を開始するとともに,①神経筋電気刺激療法を併用した運動療法,②タンパク質摂取量の 1.3-1.5 g/kg/dayへの設定,③HMBの摂取を開始した.その結果,MRC sum scoreの改善,四肢の骨格筋量の増加を認めた.杖歩行が可能となり第257病日に転院となった.ICU入室中は著明な筋力低下や安静度制限により積極的な運動が困難であったが,神経筋電気刺激療法により早期から筋収縮を促すことが可能であった.また,ICU退室後より運動療法と栄養療法を併用し,筋力,骨格筋量の改善が得られた.
著者
久保田 雅史 山村 修 神澤 朋子 五十嵐 千秋 松尾 英明 成瀬 廣亮 嶋田 誠一郎 加藤 龍 横井 浩史 内田 研造 馬場 久敏
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.13-20, 2014-02-20 (Released:2017-06-28)

【目的】本研究の目的は,急性期脳梗塞患者に対する歩行中の機能的電気刺激(functional electrical Stimulation:FES)が運動学的・運動力学的歩行パラメータおよび内側感覚運動皮質(medial sensorimotor cortices:mSMC)のヘモグロビン濃度に及ぼす即時的影響を検証することである。【方法】対象は発症後14日以内の脳梗塞患者8名とし,FESは遊脚期に前脛骨筋を,立脚後期に腓腹筋を刺激した。歩行パターンの変化は三次元動作解析システムを用い,mSMCのヘモグロビン濃度変化は近赤外線分光法を用いて計測した。【結果】FES実施前と比較してFES実施中に,歩行速度や,麻痺側立脚期の股関節屈曲モーメント,膝関節伸展モーメントおよび足関節底屈モーメントが有意に上昇し,FES終了後にも持続した。また,FES実施中の非損傷側mSMCの酸素化ヘモグロビン濃度は,FES非実施時と比較して加速期・定速期とも有意に低下していた。【結論】FESは麻痺側立脚期の支持性向上や麻痺側立脚後期のroll-off機能向上といった歩行パターンを変化させ,さらに非損傷側mSMCの過剰な脳活動を抑制している可能性が示された。
著者
久保田 雅史 小久保 安朗 佐々木 伸一 嶋田 誠一郎 北出 一平 松村 真裕美 亀井 健太 北野 真弓 野々山 忠芳 鯉江 祐介 松尾 英明 成瀬 廣亮 小林 茂 馬場 久敏
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.24, no.6, pp.873-878, 2009 (Released:2010-01-28)
参考文献数
37

〔目的〕本研究の目的は,術後早期から股関節内外転筋力強化運動を重点的に行うことで,退院時の歩容に影響があるかを明らかにすることとした。〔方法〕対象は2005年1月から2007年12月までの期間で骨盤骨折を受傷し,当院にて骨接合術を施行した12例とした。術後2週目より骨折側の筋力強化を開始した6例を標準リハ群,術後2-3日後より筋力強化を開始した6例を早期リハ群とした。全荷重可能となった退院時に三次元動作解析装置を用いて歩行解析を行い,群間における歩行速度,歩幅,ケイデンス,股関節外転モーメントを比較した。〔結果〕歩行速度,歩幅,ケイデンスは群間に有意差は見られなかったが,早期リハ群の立脚期股関節外転モーメントは標準リハ群と比較して有意に高値を示していた。〔結語〕本研究の結果より,術後早期からの股関節内外転筋力強化運動によって退院時の歩行能力が改善される可能性が示された。
著者
成瀬 廣亮
出版者
福井大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

注意欠陥多動性障害(以下、ADHD)を持つ児童を対象に、運動機能の特性を同年代の定型発達児(以下、TD)と比較検討した。対象は、7歳から12歳までの通常学級に通う児童を対象とし、解析には、ADHD男児19名(平均年齢9.7歳)、TD男児21名(平均年齢10.7歳)の測定データを使用した。ADHD児ではTD児と比べ、運動機能検査が有意に低値であり、特に巧緻動作やボールスキルで有意に低値であった。歩行解析では、ADHD児ではTD児と比べ、1分間に出す歩数、骨盤前傾角度、股関節角度が有意に高値であった。追加解析にて、骨盤前傾角度が、ADHD症状と有意に相関し、ADHD特異的であることが示唆された。