著者
小倉 義光 奥山 和彦 田口 晶彦
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.49, no.7, pp.541-553, 2002-07-31
参考文献数
35
被引用文献数
11

これは,関東地方で1995〜97年の梅雨明け以降の7月と8月,日本気象協会のSAFIRが観測した日々の発電状況の多様性を,大気環境を表すパラメータの組合せの違いに起因するとという見地から理解しようとする試みの第1部である.序論的性格を持つ.まず,関東地方の夏期における発雷の地理的時間的平均分布などを概観する.次に,1日当たり雲放電数が100以上であった65日を選んで,発雷域の地理的分布およびその時間的変化から,発雷パターンを山岳型・山岳から平野型・平野型・広域型の4種に分類する.さらにそれを地上・高層天気図やアメダスデータなどと対比して,各日の主要な雷雨(発雷域)を発生させたトリガーを推定する.その結果によると,気団雷が26日,総観スケールとメソスケールの前線による界雷が31日,上層の擾乱や台風による渦雷が8日であった.気団雷の中で可能な形態の1つ,すなわち平野域での水平或いは鉛直対流による雷雨と思われる例は認められなかった.
著者
大野 久雄 鈴木 修 韮澤 浩 吉崎 正憲 長谷川 直之 田中 芳男 村松 良夫 小倉 義光
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
気象集誌 (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.197-222, 1994-04-25
被引用文献数
13

太平洋高気圧の北辺に位置する岡山地方で1991年6月27日午後発生した雷雨嵐は同地方に激しい雨や雷および強い突風をもたらせた。中でも岡山市の北東部で発生した突風は特に強く、単体では51m/sの風に耐えられるコンクリート製電柱18本を倒壊させた。この研究は、電柱の倒壊をもたらせた突風の原因を調べるために始められた。利用可能なすべてのデータが集められ、解析された。データ源は、通常レーダー、気象庁のシステム、密に展開された自治体の大気汚染監視用風向風速計、民間航空機、テレビ局のビデオ画像、被害調査結果等と多岐にわたった。これらを複合利用してメソ解析を行った結果、少なくとも4つのダウンバースト(マイクロバーストとマクロバーストの両方)の発生が明らかになった。電柱を倒壊させたのはそのうちの1つで、雷を伴っていた。当時大気成層は、湿マイクロバーストを発生させるのに適したもので、Atkins and Wakimoto(1991)が報告した米国北アラバマの事例と類似していた。また、ダウンバースト発生の潜在的危険性が太平洋高気圧の北辺にあるとの指摘がなされた。
著者
小倉 義光
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.42, no.6, pp.393-396, 1995-06-30
被引用文献数
6
著者
小倉 義光 浅井 冨雄 土肥 啓介
出版者
Meteorological Society of Japan
雑誌
気象集誌. 第2輯 (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.63, no.5, pp.883-900, 1985 (Released:2007-10-19)
参考文献数
44
被引用文献数
39 55

1982年7月23日,長崎市を中心とする北九州地域をおそった集中豪雨の解析を行った。この豪雨は梅雨前線に沿って発達した中間規模低気圧に伴ったもので,長崎市における5時間の降雨量は412mm に達した。豪雨が発達する前の大気は,対流圏のほぼ全層にわたって非常に湿潤であり,また条件付不安定な成層をしていた。しかしその不安定度は春季米国中西部における巨大雷雨発生前のそれよりはずっと弱く,むしろ熱帯大気の状況に近い。長崎に豪雨が始まる前には,強い降雨バンドが毎時40km の速さで九州北西部を東南東の方向に進行していた。このバンドはそり進行前面にはっきりした先端部を持たず,最も強い降雨域はバンドの中央部にあったという点で,典型的な熱帯性スコールラインとは異った構造をもっていた。このバンドの南西の端が長崎地域に達した頃,バンドに顕著な変化が起った。すなわち,バンドは進行をやめ,長崎地域にその後約5時間停滞し,その結果として豪雨をもたらした。線状をしていた構造も団塊状の構造に変化した。また豪雨が発達した時刻は,南西風の下層ジェット気流に伴って非常に湿潤な空気が流入してきた時刻に一致する。もう一つ重要な事実としては,長崎地域が豪雨におそわれている間に,長崎の西方約300km の海上に新たに雲のクラスターが発生した。このクラスターは発達しながら毎時60km の速さで東方に進行し,やがて長崎地域に豪雨を降らせているクラスターと合併する。これらの事実は長崎地域の豪雨が地形の影響で,ほぼ同じ場所に停滞していたことを示唆する。同じように,梅雨前線に沿って発達した中間規模低気圧に伴って,下層ジェット気流の風上側の沿岸地域で豪雨が起った過去の三,四の例を示した。
著者
田口 晶彦 奥山 和彦 小倉 義光
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.49, no.8, pp.649-659, 2002-08-31
参考文献数
17
被引用文献数
11

第1部に引き続き,1995〜97年の梅雨明け以降の7月と8月の期間,SAFIRが測定した関東地方の雲放電数並びに落雷数と,館野の09時の高層データに代表される大気環境との関係を調べた.特に1日あたりの雲放電数が1000以上の大発雷日を無発雷日と比較すると,下層から中層にかけて,温度・露点温度・相対湿度・風の高度分布に顕著な差が認められた.いろいろな安定度指数についてスキル・スコアを計算し,発雷の有無を判別する能力を調べた結果によると,Showalter Stability IndexとK-Indexはほぼ同じ程度によく,Total Totals Indexが少し劣り,CAPEが最も成績が悪かった.安定度指数に中層の風向や相対湿度の影響を加味した発雷予測の方式を提案した.最後に,館野の高層ゾンデ観測に見られる混合比の日変化についても述べた.
著者
小倉 義光
出版者
日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.52, no.9, pp.691-696, 2005-09
著者
小倉 義光 加藤 輝之 高野 功
出版者
日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.52, no.11, pp.869-876, 2005-11-30
参考文献数
4
被引用文献数
1
著者
小倉 義光
出版者
日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.37, no.7, pp.p439-465, 1990-07
被引用文献数
3