著者
崎山 幸雄 小宮山 淳 白木 和夫 谷口 昂 鳥居 新平 馬場 駿吉 矢田 純一 松本 脩三
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.70-79, 1998-04-30 (Released:2009-02-13)
参考文献数
11
被引用文献数
1 2 3

急性中耳炎,急性下気道炎を反復するIgG2欠乏症の乳幼児を対象に静注用免疫グロブリン製剤(IVIG; GB-0998)による感染予防効果を多施設共同研究で検討した.初回300mg/kg体重, 2回目以降は200mg/kg体重, 4週毎, 6回投与のIVIG療法はIgG2欠乏,抗肺炎球菌特異IgG2抗体欠乏を呈して急性中耳炎,気管支炎もしくは肺炎を反復する乳幼児の感染予防に有用であることが示された.
著者
小宮山 淳 上松 一永 小池 健一
出版者
信州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1996

NK細胞異常症の病態と障害部位を解明するとともに、殺細胞障害の原因遺伝子の解析を進めてきた。1.家族性NK細胞異常症(1)詳細な表面マーカー検索によって、CD56^+細胞はすべてCD3^+CD56^+であり、T細胞系に属する細胞であった。したがって、この疾患は、本質的にNK細胞欠損症であることが判明した。(2)NK細胞の数的減少の原因解明を目的に、NK細胞の分化成熟能を検索した。骨髄細胞をstromal layerとIL-2、またはstem cell factor、IL-7、TNF-α、IL-1βの存在下で培養し、培養細胞についてflow cytometryを行った。その結果、CD3^-CD56^+は検出できず、さらに詳細な検討が必要となった。(3)キラーT細胞ではパ-フォリンmRNA発現機構は正常であった。2.チェディアク-東症候群(1)NK細胞活性はK562細胞に対しては著減していたが、Jurkat細胞に対しては認められた。Jurkat細胞に対する殺細胞機能はTNF-αに基づくものではなかった。(2)パ-フォリンmRNA発現機構は正常であり、蛋白レベルでも正常に存在した。(3)Fas-Fasリガンドを介するアポトーシス系の殺細胞機構を検索した。その結果、Fas mRNA発現は正常であり、機能も正常に発揮された。3.血球貧食症候群、全身性エリテマトーデス、チェルノブイリ原発事故汚染によるNK細胞不全などでも同様に検討した。
著者
小池 健一 小宮山 淳
出版者
日本リンパ網内系学会
雑誌
日本網内系学会会誌 (ISSN:03869725)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4-5, pp.229-234, 1993 (Released:2009-06-04)
参考文献数
8

乳児期より難治性口腔内カンジダ症を反復した姉弟の単球は走化能,カンジダ貪食殺菌能,IL-1産生能に異常を示したが,好中球機能やTおよびBリンパ球機能は正常であった。これらのことから真菌に対する感染防御の上で単球は重要な役割を果たしていると思われる。血球貪食症候群患児の血中サイトカイン濃度を測定し,臨床症状,検査所見の推移と比較した。2例とも増悪期においてIFN-γは著明な高値を示したが,TNF-αは全経過を通して正常範囲内であり,IL-1β, GM-CSFも正常もしくは軽度の上昇にとどまった。これらの結果はHPSでみられる組織球の活性化にIFN-γが最も重要な役割を演じていることを示している。JCMLのGM造血前駆細胞は種々のサイトカインの単独あるいは組み合わせに反応して正常骨髄よりも多数の,より大きなコロニーを形成し,増殖した細胞の大部分はマクロファージであった。また,JCMLのGM前駆細胞は正常対照と比較してtyrosine kinase inhibitorに抵抗性を示したことから,本症ではサイトカインによるparacrine増殖だけでなく造血幹細胞自体にも異常があることが示唆された。単球,マクロファージは貪食殺菌能に加えて,抗原提示能,サイトカイン分泌能を有し,リンパ球との間で巧妙な免疫機構を構築している。マクロファージを活性化するサイトカインにはinterleukin-1 (IL-1), tumor necrosis factor (TNF), interferon-γ (IFN-γ), granulocyte-macrophage colony-stimulating factor (GM-CSF), macrophage colony-stimulating factor (M-CSF)などがある。単球,マクロファージの機能異常をきたす疾患の臨床像,病態についてはいまだ不明な点が多い。本稿では,単球,マクロファージの機能異常を機能低下と機能亢進に分け,サイトカインとの関連を中心にわれわれの成績を述べ,これらの病態について検討した。