著者
小川 真寛 澤田 辰徳 三木 有香里 林 依子 真下 高明
出版者
日本作業療法士協会
巻号頁・発行日
pp.149-158, 2016-04-15

要旨:本研究の目的は回復期リハビリテーション病棟入院中の患者の能力から退院後の公共交通機関利用の可否を予測することにある.退院後の電車およびバス利用の有無を調べ,その有無で分けた2群間で入退院時の能力を比較した.ロジスティック回帰分析の結果,電車利用の予測に選択された入院時の因子は年齢とFIMの運動項目の合計スコアであった.バス利用の予測に選択された入院時の因子は年齢とFunctional Balance Scale(以下,FBS)であった.退院時の能力は電車およびバス両方でFBSのみが選択された.この知見を利用し公共交通機関の利用可能性がある対象者を早期より見定め,適切な外出手段が獲得されるようにアプローチする必要がある.
著者
澤田 辰徳 建木 健 藤田 さより 小川 真寛
出版者
日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.167-178, 2011-04-15

要旨:本研究は,「作業療法」と「リハビリテーション」に対する一般市民の認知度を調査することを目的とした.2つの言葉に対する街頭アンケートを4都道府県で行った結果,542人からのデータが得られた.得られたデータはテキストマイニング手法により分析し,クラスター解析を行った.2つの言葉は各11のカテゴリーに分類された.「リハビリテーション」の構成要素は機能回復に関連しているものが多かった.「作業療法」は抽象的な内容やわからないというものが混在していた.これらのことから,一般市民にリハビリテーションという言葉は認識されつつあるが,作業療法という言葉そのものや,作業療法の内容に関する認識は低いことが示唆された.
著者
小川 真寛
出版者
京都大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2014-08-29

高齢者施設においてレクリエーションや体操といった様々な活動が提供されている。しかし、認知症高齢者のような自らの活動を選ぶことや、その意義について表現できない対象者にとって、それらの活動が効果的であるかどうかは検証するすべがない。そこで、本研究では本人にとって活動を行った際の効果に関して観察から評価する項目が何かを調べることを目的に実施した。熟練作業療法士へのインタビューや郵送調査から、活動への取り組み方、感情表出、言語表出、社会交流や活動を通して得られたものといった観察項目が得られた。これらの視点は認知症高齢者のように自分の意思の主張ができない対象者の活動の選択や効果検討に有用と考える。