- 著者
-
小松 誠和
- 出版者
- 久留米大学
- 雑誌
- 若手研究(A)
- 巻号頁・発行日
- 2006
本研究は花粉症のアレルゲンに対する生体の免疫応答を解析し、病態の予後予測可能な診断系を確立するとともに、ペプチドによる減感作療法への応用可能性について検討することを目的とした。平成18年度より引き続きSBP, Cry j1およびCry j2に対するIgG, IgE,IgM,IgAについて患者を追加しその血液を用いて抗体を検討した。その結果、患者の症状の度合いに伴って抗体比のパターンが得られることが確認された。同様にCry j1およびCry j2に由来する少なくとも84種類のペプチドを用いた抗体測定において、5種類のペプチドについて健常者(非花粉症患者)と花粉症患者との間に統計学的有意差を認めた。花粉症患者及び健常者(非花粉症患者)より末梢血を採血し、そのPBMCを分離し上記ペプチドの存在下で一定期間培養を行い、その培地中に産生されるサイトカインについて検討したが、変化は認められなかった。また、抗原+アジュバントにより一定期間ラットを免疫したが抗原特異的IgE抗体の産生を認めず、ペプチド投与における変化は陰性を示した。上記結果より、SBP,Cry j1およびCry j2、並びに健常者(非花粉症患者)を花粉症患者に抗体価の統計学的有意差を認めたペプチドに対する抗体を末梢血より測定することにより、花粉症の予後予測可能な診断系が確立できた。ペプチドによる減感作療法の可能性については、選択したペプチドでは低いと考えられた。