著者
平田 幸一 鈴木 圭輔 春山 康夫 小橋 元 佐伯 吉規 細井 昌子 福土 審 柳原 万理子 井上 雄一 西原 真理 西須 大徳 森岡 周 西上 智彦 團野 大介 竹島 多賀夫 端詰 勝敬 橋本 和明
出版者
日本神経治療学会
雑誌
神経治療学 (ISSN:09168443)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.166-179, 2020 (Released:2020-08-31)
参考文献数
51
被引用文献数
4

難治性の疾患における持続中枢神経感作と言われる病態の疫学,基礎・臨床的な位置付けさらには患者のケアにむけての研究をまとめた.本総説は厚生労働研究班の各員の研究結果を示したものなので,必ずしもまとまりがない点に限界があるが,今までは疾患縦断的に診断治療がおこなわれてきた難治性疾患における中枢神経感作の役割を横断的にみたという意味でもわれわれの研究の結果は一部ではあるが解明したものといえる.結果として,中枢神経感作は種々の疾患,特に難治性のもので明らかに何らかの役割を呈していることが示せた.さらにその治療法の解明には至らぬまでも,患者ケアに繋がる方略を示せたものと考えられ,今後の研究の基盤となることが望まれる.
著者
高岡 宣子 長尾 匡則 梅澤 光政 西連地 利己 春山 康夫 小橋 元
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.64, no.3, pp.133-142, 2017 (Released:2017-03-30)
参考文献数
45
被引用文献数
2

目的 わが国においては再生産年齢非妊婦および妊婦の血中ビタミン D 濃度の分布はまだ明らかにされておらず,周産期と次世代の影響に配慮した妊婦および再生産年齢女性におけるビタミン D 不足の基準値はまだ設定されていない。そこで,本研究では,再生産年齢女性の血中ビタミン D 基準値設定に向けた研究の基礎資料を得ることを目的として,日本人の再生産年齢女性の血中ビタミン D 濃度の分布に関する研究文献の系統的にレビューを行った。方法 対象文献の収載期間は1963年から2015年までとした。医中誌 Web および PubMed でキーワード「日本」,「ビタミン D」,「女」,「妊婦」を含む対象文献の抽出を行った。対象文献に対して年齢,性別,日本人,データの有無,重複の有無の精査を行った結果,18件が採用された。続いて再生産年齢の非妊婦(13件22グループ)と妊産褥婦(6 件 8 グループ)に分け,年齢,測定時期および測定方法により血中ビタミン D の平均値の分布を検討した。結果 日本人再生産年齢の非妊婦に関する13件22グループのうち,10グループ(45.5%)の血中25(OH)D 濃度の平均値は20 ng/ml 未満,21グループ(95.5%)は30 ng/ml 未満であった。一方,非妊婦に比べて妊産褥婦の血中25(OH)D 濃度が低く,妊産褥婦においては妊娠初期(5-10週)の 1 グループ以外はすべて血中25(OH)D の平均値が20 ng/ml を下回っていた。結論 再生産年齢の日本人女性の血中25(OH)D 濃度が,特に妊産褥婦において低値である可能性が示唆された。再生産年齢女性の血中25(OH)D 濃度についてはまだ研究が少なく,更なる研究が必要である。