- 著者
-
鈴木 圭輔
春山 康夫
- 出版者
- 日本健康教育学会
- 雑誌
- 日本健康教育学会誌 (ISSN:13402560)
- 巻号頁・発行日
- vol.31, no.1, pp.14-20, 2023-02-28 (Released:2023-03-12)
- 参考文献数
- 27
近年,国内外では慢性疼痛および付随する原因不明の様々な症状は,中枢神経感作(以下,CS, central sensitization)に関する多くの研究が注目されている.CSとは身体から脊髄,脳幹部,視床,大脳(一次体性感覚野)に至る痛みの伝達経路の異常により,通常では痛くないはずの軽い刺激が疼痛として認識され,とても痛く感じたり,痛みが広がって感じたりする状態である.中枢神経感作に関連した痛みは,明るい光,触覚,騒音や温度(低・高い)に過敏性を示し,疲労,睡眠障害や集中力低下などを伴うことも少なくない.中枢神経感作には線維筋痛症,慢性疲労症候群,過敏性腸症候群,顎関節症のほか,レストレスレッグス症候群や頭痛などの疾患が関係している.一方,わが国においてはCSに関する知識はまだ普及されていないのは現状である.本稿では,1)慢性疼痛患者および神経疾患であるレストレスレッグス症候群や片頭痛とCSの関わりについて解説する.2)一般住民を対象にした疫学研究結果をもとにCSの保有率および影響因子を報告することを目的とする.