著者
金城 壽子 小西 清美 川満 多枝子 鶴巻 陽子 長嶺 絵里子 鬼澤 宏美 Kinjyo Hisako Konishi Kiyomi Kawamitsu Taeko Tsurumaki Yoko Nagamine Eriko Onizawa Hiromi 名桜大学
出版者
名桜大学
雑誌
名桜大学紀要 (ISSN:18824412)
巻号頁・発行日
no.21, pp.87-95, 2016-03

目的:台湾産後ケア視察から得た産後ケア施設情報をもとに,台湾産後ケア活用状況(出産情報と産後ケア・養生の実状)を調査することで,産後ケアについて示唆を得る。調査方法:台湾国籍,台湾で出産し,宿泊型の産後ケア(護理之家,月子中心),自宅で産後養生をした褥婦の親3名に対し,質問紙による構成的インタビュー調査を実施した。倫理的配慮:対象家族の知人であるインタビュワーの説明のあと,国際電話による調査に応じることで同意を得たとした。インタビュワーが台湾へ一時帰国する際,書面による同意を得た。調査結果:対象は出産年齢が33~35歳,分娩様式は帝王切開であった。入院期間は5~6日で,分娩費用は医療保険の適応(一部負担20%)があり,産後ケアの費用は全額自費である。台湾では妊婦健診を受けた病院で出産し,退院後は産後ケア施設を利用することがわかった。利用日数は10~30日であった。産後ケア施設が予約できなケースは,産後養生食としての月子食宅配が利用されていた。考 察:対象は,出産年齢が高く,施設分娩の入院日数が米国に近い傾向にある。台湾における産後ケアの背景として,産後一ヵ月は育児以外何もしない産後養生の思想「坐月子」が継承され,また,核家族化により褥婦のレスパイトケアが必然であり,育児や家事の負担を支援する宿泊型の産後ケアは自費であっても需要が高い。また,産後養生の特徴である月子食は医食同源の概念(薬膳)が取り入られ,宿泊できない場合,宅配利用で家事軽減を図っていた。