著者
松田 南 小谷 通泰 松中 亮治
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.43.3, pp.799-804, 2008-10-25 (Released:2017-01-01)
参考文献数
5

本研究では、わが国で初めての本格的な導入事例である富山市のLRTを対象に、利用者へのアンケート調査を実施し、交通行動への影響やまちづくりへの効果に対する利用者の評価意識を明らかにすることを試みた。この結果、LRTの利用者は、旧富山港線等からの移行者が最も多かったが車からの転換者もみられ、その選択理由として、待ち時間の短さ、駅へのアクセスのしやすさ、運行時間帯の長さ、乗降のしやすさ、乗り心地のよさなどが評価されていた。開業後、外出頻度を増加させた利用者がみられ、車を使えない利用者でその割合が大きく、また車の利用頻度を減らして、外出頻度を増やした利用者もみられた。こうした交通行動の変化は、高齢者、自由目的の外出で顕著であり、LRTの利便性、快適性の高さがその要因として寄与していた。さらに導入後のまちの変化としては、まちのシンボル化・バリアフリーの改善などの点で満足度が高く、大半が全体としてまちが良くなったと答えており、まちづくりへの効果を高く評価していた。さらにCVMにより、LRTの運行を維持・継続するための寄付への支払い意思額を尋ねた結果、運賃に加えて、一定金額の支払いに対し肯定的な意向が示された。
著者
小谷 通泰
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.361-366, 1993-10-25 (Released:2019-09-01)
参考文献数
13

THIS STUDY AIMS TO REVEAL PUBLIC ATTITUDE TO THE INTRODUCTION OF “ROAD PRICING SYSTEM” TO RESTRAIN CAR TRAFFIC IN CBD AREA, ON THE BASIS OF QUESTIONNAIRE SURVEY TO COMPANIES IN KOBE CITY. FIRST, THEIR OPINIONS TO THE INTRODUCTION OF ROAD PRICING SYSTEM AND REASONS FOR OPPOSITION ARE SHOWN. USAGE OF REVENUE FROM THE PRICING SYSTEM ARE ALSO DISSCUSSED. NEXT, THE FACTORS WHICH AFFECT THEIR ATTITUDE TO THE PRICING SYSTEM ARE ANALYZED. FINALLY, THE POSSIBILITIES OF IT'S INTRODUCTION ARE EXAMINED.
著者
田中 康仁 小谷 通泰 寺山 一輝
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.659-665, 2020-10-25 (Released:2020-10-25)
参考文献数
16
被引用文献数
1

本研究は、神戸市の都心商業地域において、自動車による来街者を対象に実施された駐車場の利用実態調査の結果を用いて、駐車場の選択行動に影響を及ぼす要因を分析することを目的としている。この結果、まず、提携駐車場の利用者は非利用者に比べて、滞在時間、移動距離、訪問先など、都心での活動が制約されていることがわかった。非利用者については、駐車場所と駐車時間の選択行動を離散-連続選択モデルであるTobit Model(TypeⅡ)により記述し、両者の選択行動の相互依存関係とともに駐車料金、目的地への歩行距離などの選択要因を明らかにした。また、駐車時間別に駐車場所の選択行動モデルを多項ロジットモデルにより推定し、駐車時間が長くなるほど、目的地までの距離よりも駐車料金に対するウェイトが高まることを示した。
著者
小谷 通泰 山中 英生 秋田 直也
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画. 別冊, 都市計画論文集 = City planning review. Special issue, Papers on city planning (ISSN:09131280)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.109-114, 2006-10-25
参考文献数
8
被引用文献数
1

本研究は、神戸市内の有料道路で現在実施中であるオフピーク時の料金割引制度を対象として、ドライバーへの事後調査結果をもとに、導入による利用者の交通行動への影響を把握することを試みる。具体的には、利用者への意識調査結果をもとに割引制度の認知度やその要因を明らかにする。次いで、割引制度実施後の通行時間帯の変更実態を示しその変更要因を分析する。さらに、導入後の通行頻度の変化により利用者グループをセグメント化し、各グループの特性を明らかにする。また、交通量の観測結果から割引制度の実施前後における時間帯別通行台数の変化を示す。そして観測された通行台数の変化と意識調査結果より推定した交通量変化を比較し、両者の関連を考察する。
著者
田中 康仁 小谷 通泰 中村 賢一郎
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
no.22, pp.715-722, 2005

環境悪化や交通混雑などの貨物車に起因する問題を緩和するための一方策として、配車・配送計画の最適化による貨物車交通の削減が挙げられる。そこで本研究は、運転者の作業状況とリンクした貨物車両のプローブデータを用いて、配車・配送計画作成のために必要となる、貨物車の配送活動に関する基礎的な特性を詳細に把握した。具体的には、中長距離による2地点間輸送と短距離による多地点配送を行う事業形態の異なる2事業者にわけて、運行パターンや走行経路、配送箇所数といった基本特性を把握するとともに、配車・配送計画を構築する上で重要となる、(1) 走行速度の変動、(2) 目的施設への到着時刻の分布、(3) 荷捌き所要時間の分布、(4) 目的施設到着の定時陸確保のための行動特性、を明らかにした。
著者
浦中 邦彰 小谷 通泰 三鈷 孝政
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.849-858, 2001-09-30 (Released:2010-06-04)
参考文献数
10
被引用文献数
1 1

阪神・淡路大震災では、都市間ならびに都市内幹線道路が大きな被害を受けただけでなく、地区内道路でも家屋の倒壊や火災等により、道路の損傷や閉塞が数多く生じた。その結果、通行可能な限られた道路区間に大量の自動車交通が集中したため大渋滞が発生し、緊急・救援車両の通行に支障が生じたのをはじめ、発災直後の市民生活に多大な影響を及ぼした。そこで本研究では、特に被害の大きかった神戸市臨海部の既成市街地を対象に、発災当日と翌日に撮影された航空写真を用いて、道路機能障害や自動車交通の分布実態を明らかにし、地区道路や幹線道路における機能障害が自動車交通に及ぼす影響を分析する。
著者
小谷 通泰 山中 英生 秋田 直也 田中 康仁
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

本研究は、貨物車に搭載したプローブ機器(GPSとデータ記録用のロガー)から得られたデータをもとに、貨物車の基礎的な運行挙動を把握するとともに、これらの運行挙動を組み込んだ環境制約下における配送計画モデルを定式化する。そして、複数の運行形態の貨物車を対象として最適配送計画を提案し運行コストの削減と都市環境の改善の両面からその効果を評価することを目的としている。得られた主たる成果は以下の通りである。まず、貨物車の運行挙動については、取得したプローブデータにもとづき、貨物車の走行時間や荷さばき時間にみられる不確実性を考慮し、指定時間がある配送地点への出発時刻の決定行動や複数の配送先への巡回経路の選択行動をモデル化した。また同様にプローブデータをもとに、高速道路と一般道との間における大型貨物車(海上コンテナ輸送トラック)による走行経路の選択要因を抽出した上で、経路選択モデル(非集計行動モデル)の構築を行った。さらに明らかになった運行挙動を踏まえて、一般の貨物車(宅配貨物輸送トラック)と大型貨物車(海上コンテナ輸送トラック)の2通りを取り上げて、環境制約下における配送計画を作成した。宅配トラックについては、貨物輸送需要を与件としてデポ、集配拠点の最適配置計画を提案し、貨物車の運行効率の向上と環境改善効果の視点からそれらを評価した。また海上コンテナ輸送トラックについては、構築した貨物車の経路選択行動モデルを用いて、市街地の環境改善を図るため通行料金格差の導入や賦課金徴収を行った場合の、貨物車の市街地から湾岸部の高速道路への迂回誘導効果を評価した。