著者
加藤 翔太 佐久間 康富
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
日本都市計画学会関西支部研究発表会講演概要集 (ISSN:1348592X)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.13-16, 2020

近年、民間事業者による都市公園の管理運営が進められてきている。本研究では、天王寺公園エントランスエリア「てんしば」を対象に、大阪市と近鉄不動産の公共性と収益性ならびに事業評価の実態を把握し、公共性と収益性の担保のあり方を目的としている。調査の結果、収益性よりも公共性を重視し、多くの利用者が利用する場所を確保するために芝生広場を維持管理していること、イベントやテナントの選定の際には誰もが利用しやすい環境を担保していることがわかった。公共性に配慮し公園機能を充実させることによって、集客力を向上させる。その結果、持続的な公園運営を可能にし、ひいては賑わいの拠点としてエリアの活性化が期待される。
著者
井本 雅史 岩崎 義一 山口 行一
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
日本都市計画学会関西支部研究発表会講演概要集 (ISSN:1348592X)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.41-44, 2017 (Released:2017-07-30)
参考文献数
3

本稿では、地方鉄道の利用者数減少とそれに伴う地域衰退を背景に、鉄道会社が実施している路線活性化策に着目し、利用者の増加に効果的な要因を明らかにすることを研究目的とする。調査対象路線は特定地方交通線転換鉄道20社とし、利用者数等の統計データの収集と三角グラフ・回帰分析・数量化分析一類を用いて分析した。これらの分析から、利用者の増加には、定期外利用者に視点を置いた、地元食材や地酒を提供するイベント列車の運行が効果的であることが明らかになった。今後の課題として、地元食材の旬・調理方法・組み合わせ等の工夫や多様な情報発信を沿線地域と連携して行っていくことが、継続的な利用や地域の活性化にもつながると考える。
著者
田中 優大 阿部 大輔
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
日本都市計画学会関西支部研究発表会講演概要集 (ISSN:1348592X)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.97-100, 2019 (Released:2019-07-22)
参考文献数
15

1960年代、京都市では高度経済成長による都市問題の解決や行政運営の効率化に向け、総合計画の作成を試みた。本研究は、その総合計画の試行過程における都市像の変遷と経緯を整理・概観し、1960年代の京都市における都市計画の思想の一端を明らかにすることを目的とする。京都市では、1960年代に三度総合計画の作成が試みたが、各総合計画で構想された都市像は、動態著しい社会構造の変化や市政の変化を受け、形を変えた。その過程では、大規模な事業を行い、都市構造を根本から転換させようとする壮大な都市像も構想された。当時構想された都市像は、その後の京都市における都市像に大きく影響を与えている。
著者
加藤 翔太 佐久間 康富
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
日本都市計画学会関西支部研究発表会講演概要集 (ISSN:1348592X)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.13-16, 2020 (Released:2020-07-25)
参考文献数
10

近年、民間事業者による都市公園の管理運営が進められてきている。本研究では、天王寺公園エントランスエリア「てんしば」を対象に、大阪市と近鉄不動産の公共性と収益性ならびに事業評価の実態を把握し、公共性と収益性の担保のあり方を目的としている。調査の結果、収益性よりも公共性を重視し、多くの利用者が利用する場所を確保するために芝生広場を維持管理していること、イベントやテナントの選定の際には誰もが利用しやすい環境を担保していることがわかった。公共性に配慮し公園機能を充実させることによって、集客力を向上させる。その結果、持続的な公園運営を可能にし、ひいては賑わいの拠点としてエリアの活性化が期待される。
著者
筈谷 友紀子 阿部 大輔
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
日本都市計画学会関西支部研究発表会講演概要集 (ISSN:1348592X)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.37-40, 2020 (Released:2020-07-25)
参考文献数
16

本研究では、被爆遺構でありながら、強制連行された中国人や朝鮮人などを収容していた歴史を持つ長崎刑務所浦上支所を事例に、悲劇の記憶に関する叙述の変化を明らかにすると共に空間の残存が集合的記憶の形成・継承にどのような影響を与えるのか考察を行った。本研究から、1)浦上支所跡地に平和公園が建設されたのちも、浦上支所に関する記憶は当事者らにより鮮明に叙述されていること、2)戦後すぐにおける浦上支所跡地をめぐる叙述は説明的要素が強かったのに対し、近年にかけてはその印象を俯瞰的に叙述したものが多く見られたこと、3)1991年に明らかとなった浦上支所の遺構は、継承すべき記憶とは何かということに大きく揺さぶりをかけたことが明らかとなった。
著者
高田 知紀 桑子 敏雄
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
日本都市計画学会関西支部研究発表会講演概要集 (ISSN:1348592X)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.105-108, 2016 (Released:2017-05-31)
参考文献数
8

本研究は,「ある土地において信仰上の重要な役割をもつ神社は,自然災害発生時においても安全性を担保しうる立地特性を有している」という仮説にもとづいて,和歌山県下の398社の神社を対象に,その自然災害リスクのポテンシャルを検証することを目的としている.GISを用いて,津波,河川氾濫,土砂災害のそれぞれのリスクと神社との立地の関係を分析した結果,和歌山の土地に深いルーツを持つイソタケル系神社,熊野系神社,王子系神社の多くは,自然災害に対してのリスク回避性が高い立地であることを明らかにした.
著者
中江 拓二郎 松本 邦彦 澤木 昌典
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
日本都市計画学会関西支部研究発表会講演概要集 (ISSN:1348592X)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.65-68, 2018 (Released:2018-07-25)
参考文献数
6

近年、各地で路上での喫煙を禁止する取り組みが行われており、路上喫煙禁止地区を指定する自治体が増えている。しかしながら路上喫煙禁止地区内での路上喫煙者は依然として散見される。本研究では路上喫煙禁止地区内の屋外空間を対象に、喫煙者の発生・滞留状況を把握し、喫煙者が滞留する空間の特徴を明らかにすることを目的としている。神戸市三宮・元町地区を対象に行った観察調査から、26か所の喫煙者の滞留空間を確認し、その空間の特徴を分析した。その結果、路上喫煙を禁止する条例の効力が及ばない民有地に多くの喫煙者が滞留すること、裏通りにおいて形成された喫煙空間に喫煙者数が多いこと、また人目につかない空間、他者からの視線を遮ることができる自動販売機や電柱等の構造物がある空間を選好されている傾向が把握できた。
著者
久保山 凌 村上 裕基 山口 行一
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
日本都市計画学会関西支部研究発表会講演概要集 (ISSN:1348592X)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.61-64, 2018

都心部の回遊に関わる既往研究は多いが、休憩の観点から回遊性の向上について検討した研究は十分な蓄積があるとは言い難い。そこで本研究では、神戸三ノ宮地域を訪れる来街者を対象にカフェの利用有無に関する分析、都心部カフェの混雑状況分析、カフェ利用者を対象に利用者特性分析を行い、カフェの利用実態を明らかにすることを目的とする。分析の結果、カフェの利用有無については、滞在時間や同行者数などが影響を与えていた。対象地域でみれば、店舗ごとに差はあるものの、同じ大手カフェチェーンであれば混雑率の推移に大差がないが、同じ大手カフェチェーンであっても店舗によって利用目的が異なることがわかった。
著者
原杏 希子 塩見 康博
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
日本都市計画学会関西支部研究発表会講演概要集 (ISSN:1348592X)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.109-112, 2023-07-29 (Released:2023-07-22)
参考文献数
3

近年、交通安全施設の整備や維持管理方法を見直すため、必要性の低下した信号機の撤去が検討されている。信号機の中でも、特に一灯点滅式信号機は優先的に全国で撤去が進められている。しかしながら、地域住民にとって交通事故の危険性や運転の不安を与えることにつながるため撤去に対して賛意を示すとは限らない。そこで、適切な合意形成を進めていくためには住民の撤去への賛否要因を明らかにすることが求められる。本研究では、一灯点滅式信号機の撤去に対する住民の賛否意識とその影響要因の把握を試みた。その結果、適切な情報提供や対面で説明会の開催を行うことで撤去への賛成意識を高めることが可能であることを明らかとした。
著者
吉田 智美 阿部 大輔
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
日本都市計画学会関西支部研究発表会講演概要集 (ISSN:1348592X)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.17-20, 2016 (Released:2017-05-31)
参考文献数
9

都市には空間を物理的に分断するものが多く存在する。それは都市空間(もしくは都市空間を構成する要素)が隣接する周辺の地域と、ある存在によって切り離されることであると解釈できる。その中には貧困や差別などといった社会的課題と連動し、地域の人々にとって負の存在になるものもある。本研究ではその一例として大阪市住吉区浅香町1丁目・2丁目を取り上げる。浅香町は地下鉄車庫によって周辺地域と分断されていたが、住民の反対運動によって撤去されたという経緯がある。本稿では浅香町の分断に対する政策的アプローチと空間構造の変化を読み解き、分断の発生・解消・接続のプロセスを明確にし、浅香町の事例を都市空間の分断の一事例としてどう位置づけることができるかについて考察する。
著者
土井 亜香里 瀧澤 重志
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
日本都市計画学会関西支部研究発表会講演概要集 (ISSN:1348592X)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.93-96, 2017 (Released:2017-07-30)
参考文献数
1

大阪環状線は大阪市営地下鉄御堂筋線に比べ,乗車人員も少なく,人々から親しまれていない懸念がある.本研究では大阪環状線19駅の駅名と位置に関する認知度をアンケート調査から分析し,駅それぞれの特徴と環状線の課題点を考察する.また,各駅の認知度を2重の円の大きさとして可視化する手法も提案する.
著者
衣川 雛 瀧澤 重志
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
日本都市計画学会関西支部研究発表会講演概要集 (ISSN:1348592X)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.9-12, 2019 (Released:2019-07-22)
参考文献数
12
被引用文献数
1

本研究では、コンピュータグラフィックスにより作成された深度画像と全方位RGBの各ペアをpix2pixを用いて学習することにより、街路景観の全方位RGB画像から全方位深度画像を生成する方法を開発した。 次に、さまざまな場所や気象条件の下で撮影されたさまざまな一連の画像で学習されたモデルを、Googleのストリートビュー画像に適用して深度画像を生成し、生成された深度画像の妥当性を視覚的に評価した。さらに、複数の参加者を使用してGoogleのストリートビュー画像の評価実験を行った。 DCNN(Deep Convolutional neural network)を用いたランク付け学習法を用いて、深度画像の有る場合と無い場合による画像の評価値を推定するモデルを構築した。 結果は、街路景観評価モデルの性能が深度画像の有無によって変化すことを示している。
著者
大塚 和徳 越山 健治
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
日本都市計画学会関西支部研究発表会講演概要集 (ISSN:1348592X)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.121-124, 2016 (Released:2017-05-31)
参考文献数
15

災害救助法による避難所は原則的に公的施設を用い、それらは無償とされている。しかし、阪神・淡路大震災や東日本大震災では多くの民間施設を含めて避難所として利用され、今後予想される首都直下地震や南海トラフ大地震のような広域災害では帰宅困難者問題も懸念されており、避難者の収容には民間施設の利用も不可欠とされている。民間施設の利用を拡大するためには現状の費用の掛からない避難所という概念では対応ができない。民間施設の所有者にとっては、施設の提供は社会からその社会貢献としての認識が十分になされることが必要な条件であると考え、阪神・淡路大震災を例に神戸市内で利用された避難所のコスト算定を試みた。
著者
山石 季沙 松本 邦彦 澤木 昌典
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
日本都市計画学会関西支部研究発表会講演概要集 (ISSN:1348592X)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.121-124, 2022 (Released:2022-07-25)
参考文献数
4

本研究では、歴史的町並みを有する観光地において、域外資本店舗が画一的な印象を与えるファサード構成要素の状 態を明らかにすることを目的とした。評価構造を把握するため、評価グリッド法を用いた印象評価実験を行った。実験の結果、被験者は観光地景観に「特別感」と「安心感」が感じられたときに景観を「好ましい」と評価することが明らかになった。域外資本店舗による、地区のイメージと合致しない商品の取扱、写真やキャラクターを使用した過剰に内容を演出した広告とその過剰な掲示が、「宣伝が誇大だ」「工夫が感じられない」「安っぽい」と感じられ、これらの評価項目が「特別感」に反する「どこにでもある」という印象形成に寄与していることが明らかになった。
著者
内海 ありさ 阿部 大輔
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
日本都市計画学会関西支部研究発表会講演概要集 (ISSN:1348592X)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.61-64, 2021 (Released:2021-07-24)
参考文献数
10

本稿では、京都市の市営住宅の縮小再編について立地の変容に着目して考察した。立地の変容に関しては、①戸 数にあまり変化が見られない区、②総住戸数の半数が減少する区、③総戸数が 3/4 となるが市内に 1 団地しか立地 しておらず、今後住戸数が増加する可能性のある区という 3 つの特徴に分類できる。これを踏まえ、京都市におけ る市営住宅の縮小再編によって、①郊外部と都心部で市営住宅の立地の二極化が起こること、②主に都心部では、 団地数の減少により、区内での住宅確保要配慮者の集住を促す可能性があることが明らかとなった。市営住宅の縮 小再編により、今後、更に住宅確保要配慮者の住宅の選択肢がより一層限定され、集住が加速し、住み分けが発生 する可能性がある。
著者
石黒 壮真 阿部 大輔
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
日本都市計画学会関西支部研究発表会講演概要集 (ISSN:1348592X)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.65-68, 2023-07-29 (Released:2023-07-22)
参考文献数
38

本研究では、京都市の高野川寮と城陽市の城南農工場を対象に、引揚者寮の運営実態と廃止をめぐる議論を明らかにした。高野川寮では、住民によって組織された自治会によって運営されていた。廃止をめぐる議論では、早期の廃止を求める土地所有者側と京都府との間と議論となった。所有側は、団地の建設や寮の一部を改修するといった譲歩を行い、土地の返還を求めた。城南農工場は、農地等の共同運営によって、農業コミュニティが結成された。廃止をめぐる議論では、農地の払い下げをめぐり、京都府と一部の住民が対立した。住民にとって農地は今までの生活基盤であり、廃止後の生活に大きく関わるものだった。それが取り上げられることになり大きな反発を招いた。
著者
水島 あかね 玉田 浩之
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
日本都市計画学会関西支部研究発表会講演概要集 (ISSN:1348592X)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.1-4, 2018 (Released:2018-07-25)
参考文献数
9

神戸市垂水区の塩屋には、1933年より、神戸在住英国人実業家アーネスト・ウィリアム・ジェームスが開発された通称ジェームス山と呼ばれる外国人居住地がある。本研究はジェームスが構想していたジェームス山の拡張計画の一端を明らかにすることを目的としている。 ジェームスの構想は高丸全てを開発するという壮大なものだった。その背景には、ジェームスがかねてから述べていた「外遊客誘致のための裏山の開発」の実現という強い思いがあったと考えられる。残念ながら、志半ばでジェームスはこの世を去るが、生きていたら更に私財を投げ打って土地を購入していたことが想像できる。その後、ジェームスの構想を引き継いだ井植によって、新たな住宅地が開発されることになった。