著者
山崎 諒介 竹嶋 夏海 岡田 誠司 宮下 剛 宮嵜 靖大 小野 潔
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.10, pp.23-00093, 2023 (Released:2023-10-20)
参考文献数
33

SBHSの中で最も遅くJIS化されたSBHS400および未だ道路橋示方書に規定のないSBHS700の機械的性質や耐荷力に関する情報は,従来鋼やSBHS500に比べ不足している.本研究では,SBHS400とSBHS700の引張試験を実施し,機械的性質に関する情報を収集するとともに,従来鋼やSBHS500との比較をおこなった.続いて幅厚比パラメータの互いに異なる短柱軸圧縮試験を実施し,両縁支持板としての耐荷力特性を詳細に検討した.その後,鋼材の応力-ひずみ関係や残留応力分布の違いが軸力-軸方向変位関係に与える影響を解析的に検討した.最後に,実験結果と解析結果を基に,SBHS400およびSBHS700製両縁支持板の軸圧縮耐荷力評価式を提案した.
著者
徳永 宗正 曽我部 正道 後藤 恵一 山東 徹生 玉井 真一 小野 潔
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A1(構造・地震工学) (ISSN:21854653)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.392-409, 2013 (Released:2013-08-20)
参考文献数
18
被引用文献数
1

近年高速鉄道で採用の多い背の高い防音壁は,固有振動数が低く,従来支配的な設計要因とはならなかった列車風圧との共振による動的増幅が懸念された.本論文では,動的応答増幅を考慮した防音壁の設計法の提案を目的に,測定・数値解析に基づく検討を行った.列車通過時の防音壁の応答において,200km/h以下では列車荷重による応答が支配的となる一方,列車速度200km/h以上では列車風圧による応答が90%以上を占め,設計においては列車風圧のみを考慮すればよいこと,列車風圧による防音壁の応答は,列車風圧パルスと固有振動モードによる共振効果,後尾部パルスの重畳効果により増幅されること等を解明した.さらに,列車通過時の防音壁の動的応答を一般化し,防音壁の設計法として,シミュレーションによる手法と簡易法を提案した.
著者
小野 潔
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
シンポジウム
巻号頁・発行日
no.55, pp.13-22, 2006-03-13

1.日本の金融業ではこの10年間でデータマイニングが広く使われるようになった。金融業がデータマイニングを適用する分野は,与信審査,リスク解析,CRMの3分野である。特にモデル与信の分野ではデータマイニングが不可欠な存在になった。2.日本の中小企業はおよそ500万社存在するが,企業情報ベンダーが提供する格付やスコアは最大120万件,予測倒産率に至っては高々42万件にすぎない。評点は,調査員の主観も部分的に入る相対的な指標であるため,統計に基づく与信やポートフォリオ管理に利用しにくい。3.本研究は,企業情報ベンダーが提供する約42万件の予測倒産率から,倒産モデルを再構築(Re-Construct)することである。企業情報ベンダーの倒産モデルは未公開のため,モデルを再構築し,構造を推定することは中小企業の与信フレームを考えるうえで重要なことである。4.再構築(Re-Construct)アプローチによるモデル開発は,企業情報ベンダーから提供された倒産率を目的変数に,企業情報を説明変数とし,モデル構造を推定する方法である。ターゲットは予測倒産率χ%以上を負事例,χ%未満を正事例にする。再構築モデルを安定化するために,バギング学習により複数の決定木の平均値を予測倒産率とした。5.再構築モデルはCap50値が70%前後,倒産格付とのスピアマン相関が0.70であり,ビジネス利用に可能な精度を有した。この再構築モデルに企業情報を当てはめることで,中小企業約120万社の予測倒産率が得られた。今後は,中小企業の信用リスクの統計的コントロールへの応用が期待できる。