著者
河口 てる子 安酸 史子 林 優子 大池 美也子 近藤 ふさえ 小林 貴子 岡 美智代 小長谷 百絵 小平 京子 下村 裕子 横山 悦子
出版者
日本赤十字北海道看護大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009

「看護の教育的関わりモデル」を用いたアクション・リサーチとモデルの療養支援を介入内容とした無作為化比較試験を行った。アクションリサーチでは、東京(A病院)・名古屋(B病院)・福岡(C病院)の3施設で実施した。アクション・リサーチの結果では、参加者の教育に対する認識が「知識を伝えることが教育」から「日常の会話から教育につながることが大切であり、患者教育は患者の言動や関わりから生まれる反応に合わせて進めるもの」へと変化した。「看護の教育的関わりモデル」を介入内容とする無作為化比較臨床研究に関しては、介入群45名と対照群43名が完了した。「食事療法のつらさ」「食事・運動等の療養行動」「糖尿病コントロール状況:HbA1c」への介入効果に関して分析した結果、「食事・運動等の療養行動」の一部に関して介入群と対照群に有意な差がみられ、介入群の行動の方がよかったが、「食事療法のつらさ」「糖尿病コントロール状況:HbA1c」に関しては、有意差は認められなかった。
著者
原 三紀子 小長谷 百絵 海老澤 睦 寺町 優子 水野 敏子
出版者
東京女子医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

【目的】神経難病患者の心のケアについて、看護師がどのように思い、取り組んでいるかの実態を明らかにし、より良いケアのあり方を検討していくこと。【方法】対象:神経難病患者への看護経験のある看護師20名。調査期間:2004年5月〜2005年3月。調査方法:半構成的面接によるインタビューを行い、質的帰納的に分析した。【結果・考察】対象者は女性19名、男性1名で、平均年齢29.5歳(SD6.03)、臨床平均年数7.5年(SD6.25)であった。大カテゴリー20、中カテゴリー65、小カテゴリー146が抽出された。大カテゴリーは「看護師が思う心のケア」「看護師の心を支えるもの」「心のケアの取り組みを阻むもの」の3つに分類された。「看護師が思う心のケア」は【病気をもちながらも本来の人生の意味を再確認できるような働きかけ】で、【患者がリフレッシュできるような働きかけ】【苦悩の軽減】【告知後の患者の心理状態のフォロー】などに努めることが重要と考えていた。また、【心と体は関連がある】と心身をトータルに捉えることや、【患者の気持ちを察知できるようアンテナを張る】感覚を持つことなどが重要と考えていた。「看護師の心を支えるもの」は【ケアの方法に患者固有の工夫を見つけ出すことが難病看護の醍醐味】と感じたり、【退院に向けて患者・家族と協働する】ことなどであった。また、【難病患者への思い込みが覆されたことによる驚き】によって神経難病患者へのステレオタイプ化した見方が除かれ、患者の理解を深めていた。「心のケアの取り組みを阻むもの」は【身の回りの世話に追われている】【独特なコミュニケーション方法が存在する】【難病看護は期待通りの成果が得られない】など看護体制や神経難病の病態の特性などが抽出された。また、【心のケアに対する苦手意識】【患者の気持ちに触れることが不安なので関わらない】【信頼関係は心のケアの基盤という思い込み】などの看護師自身の思いや、患者の話を【聴きだす技術の不足】が心のケアの取り組みを困難にしていると捉えていた。したがって、心のケアを行うためには神経難病の疾患特性の理解、看護体制の整備に加え、看護師が抱える問題の解決を考慮に入れた看護教育プログラムの開発の必要性が示唆された。