著者
水野 敏子 高崎 絹子
出版者
日本老年看護学会
雑誌
老年看護学 : 日本老年看護学会誌 : journal of Japan Academy of Gerontological Nursing (ISSN:13469665)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.79-88, 1998-11-15

子供の近くに転入し,現在,公的サービスを受けているいわゆる「呼び寄せ老人」とその介護者98組に面接し,生活実態調査を行うとともに,介護者の呼び寄せに対する認識に影響する要因を分析した.その結果「呼び寄せ老人」は近県移動が主であり,痴呆が中等以上になってからの移動が多く,移動能力もつかまり歩行以下になってからの移動が多かった.呼び寄せに対する介護者の認識,すなわち呼び寄せて良かったか否かという認識に影響する要因を推測するために,数量化II類の分析を行った.その結果,「良かった」とする因子は,呼び寄せ前準備期間が3ヶ月以上あり,人間関係がよく,呼び寄せ前の移動能力に介助が必要で,痴呆症状よりも寝たきりへの介助が必要な人であった.今回の結果から,呼び寄せ老人への直接的支援よりも,介護者への支援が優先されるべきであることが示唆された.
著者
千田 睦美 水野 敏子
出版者
岩手県立大学
雑誌
岩手県立大学看護学部紀要 (ISSN:13449745)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.11-17, 2014-03

目的:本研究の目的は,認知症高齢者の看護を実践する場面における困難について明らかにすることである.方法:認知症高齢者の看護を行っている看護師26 名に半構成的面接を行い,得られたデータを質的帰納的に分析した.結果:認知症高齢者を看護する看護師の困難は,29 のサブカテゴリーから,【認知症の症状への対応】【認知・コミュニケーション障害】【患者の自律性と看護の両立】【患者同士の関係性】【患者の症状・状態の理解】【看護方針と看護の継続】の6 カテゴリーとして表された.特に,BPSD に関連した困難の内容が目立った.結論:認知症の症状に関連する困難,患者と看護師のかかわりに関連する困難,認知症患者への看護に関連する困難という,認知症看護に特有の困難が抽出された.今後は早急に認知症の理解と看護方法の模索,看護態勢の充実など,困難を乗り越える取り組みを検討する必要性が示唆された.
著者
原 三紀子 小長谷 百絵 海老澤 睦 寺町 優子 水野 敏子
出版者
東京女子医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

【目的】神経難病患者の心のケアについて、看護師がどのように思い、取り組んでいるかの実態を明らかにし、より良いケアのあり方を検討していくこと。【方法】対象:神経難病患者への看護経験のある看護師20名。調査期間:2004年5月〜2005年3月。調査方法:半構成的面接によるインタビューを行い、質的帰納的に分析した。【結果・考察】対象者は女性19名、男性1名で、平均年齢29.5歳(SD6.03)、臨床平均年数7.5年(SD6.25)であった。大カテゴリー20、中カテゴリー65、小カテゴリー146が抽出された。大カテゴリーは「看護師が思う心のケア」「看護師の心を支えるもの」「心のケアの取り組みを阻むもの」の3つに分類された。「看護師が思う心のケア」は【病気をもちながらも本来の人生の意味を再確認できるような働きかけ】で、【患者がリフレッシュできるような働きかけ】【苦悩の軽減】【告知後の患者の心理状態のフォロー】などに努めることが重要と考えていた。また、【心と体は関連がある】と心身をトータルに捉えることや、【患者の気持ちを察知できるようアンテナを張る】感覚を持つことなどが重要と考えていた。「看護師の心を支えるもの」は【ケアの方法に患者固有の工夫を見つけ出すことが難病看護の醍醐味】と感じたり、【退院に向けて患者・家族と協働する】ことなどであった。また、【難病患者への思い込みが覆されたことによる驚き】によって神経難病患者へのステレオタイプ化した見方が除かれ、患者の理解を深めていた。「心のケアの取り組みを阻むもの」は【身の回りの世話に追われている】【独特なコミュニケーション方法が存在する】【難病看護は期待通りの成果が得られない】など看護体制や神経難病の病態の特性などが抽出された。また、【心のケアに対する苦手意識】【患者の気持ちに触れることが不安なので関わらない】【信頼関係は心のケアの基盤という思い込み】などの看護師自身の思いや、患者の話を【聴きだす技術の不足】が心のケアの取り組みを困難にしていると捉えていた。したがって、心のケアを行うためには神経難病の疾患特性の理解、看護体制の整備に加え、看護師が抱える問題の解決を考慮に入れた看護教育プログラムの開発の必要性が示唆された。
著者
柳井 晴夫 亀井 智子 中山 和弘 松谷 美和子 岩本 幹子 佐伯 圭一郎 副島 和彦 中野 正孝 中山 洋子 西田 みゆき 藤本 栄子 安ヶ平 伸枝 井上 智子 麻原 きよみ 井部 俊子 及川 郁子 大久保 暢子 小口 江美子 片岡 弥恵子 萱間 真美 鶴若 麻理 林 直子 廣瀬 清人 森 明子 奥 裕美 外崎 明子 伊藤 圭 荘島 宏二郎 植田 喜久子 太田 喜久子 中村 洋一 菅田 勝也 島津 明人 金城 芳秀 小林 康江 小山 眞理子 鶴田 恵子 佐藤 千史 志自岐 康子 鈴木 美和 高木 廣文 西川 浩昭 西山 悦子 野嶋 佐由美 水野 敏子 山本 武志 大熊 恵子 留目 宏美 石井 秀宗 大久保 智也 加納 尚美 工藤 真由美 佐々木 幾美 本田 彰子 隆 朋也 中村 知靖 吉田 千史 西出 りつ子 宮武 陽子 西崎 祐史 山野 泰彦 牛山 杏子 小泉 麗 大西 淳子 松本 文奈 鶴見 紘子
出版者
聖路加看護大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

近年、看護系大学の急増と医療の高度化に伴い、卒業までに取得すべき看護実践能力の評価の重要性が増加している。その一環として、臨地実習に入る直前の段階までに看護学生が取得すべき知識・能力を正しく評価しておくことは看護実習の適正化のための急務の課題である。このような状況に鑑み、申請者は、2008~2010年に科学研究費補助金を受け、看護系大学の学生が臨地実習以前に必要とされる知識・能力の有無を検証することを目的として、看護学18領域から約1500の多肢選択式形式の設問を作成し、730名の学生に紙筆形式のモニター試験、および、220名の学生に対するコンピュータ試験(CBT:Computer Based Testing)を実施し、その結果を比較し、全国看護系大学共用のコンピュータ試験の有用性を確認した。