著者
中川 裕 佐野 洋 鈴木 玲子 降幡 正志 上田 広美 匹田 剛 望月 源 田原 洋樹 原 真由子
出版者
東京外国語大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

聴覚・音響音声学的な事実と音韻論的構造との相互関係を理解するために、広範囲の言語事例を使い、言語横断的比較の手法を用いながら、聴覚実験や音響分析によって新知見をもたらした。さらにその新知見を音韻構造との関連で解釈した。解釈の過程で、音韻素性理論に聴覚・音響的特性をどう位置づけるかという理論的問題を探求するための、多くの具体的手がかりを得ることができた。それと同時に、このプロジェクトで蓄積した、聴覚音声学的な新手法と新知見を用いて、言語学習の過程における第2言語(L2)の発音の諸問題に取り組み、実り多い議論を発展させることができた。
著者
木下 里美 大塚 眞理子 朝日 雅也 小田 心火 水野 智子 井上 和久 田口 孝行 加藤 朋子 井口 佳晴 鈴木 玲子 小川 恵子
出版者
埼玉県立大学
雑誌
埼玉県立大学紀要 (ISSN:13458582)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.35-42, 2002

Relationship between the effect of field practicum in freshman year and the category of practicum facilities was analyzed based on the results questionnaire survey of the freshmen who had participated in the field practicum during a period from 2000 to 2002. The facilities where the practicum was performed were categorized to be "hospitals", "health and welfare facilities for the elderly "and "welfare facilities for adults and children with disabilities". Answers to the questionnaires concerning "communication with colleague students in the same group", "learning opportunities in the field" and "the report session in the university after the practicum" were analyzed. Many students responded affirmatively to these questionnaires and the effects of field practicum could be recognized. On the other hand, the following was also suggested as the further tasks to be solved for improving the practicum: 1. Opportunity to communicate with students from other departments are limited during the practicum term, and continuous efforts for realizing further communications after the practicum are required. 2. Learning opportunities and the achievement of learning objectives differed in some learning items due to the feature of facilities, and compensative efforts should be discussed in the report session after the practicum.
著者
上田 広美 三上 直光 岡田 知子 鈴木 玲子
出版者
東京外国語大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2001

研究代表者及び分担者は、定期的な研究会を開き、言語調査票作成のための基礎資料を選定した。調査地の公用語であるタイ、ラオス、カンボジア、ベトナムの4言語の基礎語彙に関して、意味的な差異の重要性についても検討し、また調査票の作成・公開方法についても協議した。その成果は、『東南アジア大陸部言語調査票』として平成15年3月に公開した。この調査票をもとに、3か所において危機に瀕した言語の調査を実施した。まず、2001年12月に、カンボジア、コンポンサオム州ヴィアルレニュ郡にて、サオチ(自称チュウン)語の基礎語彙の調査を行った。サオチ語はモン・クメール語族ペアル語派に属し、話者は統計では総数70名以下とされていたが、調査時にはサオチ語話者を含む世帯はわずか26世帯であり、その26世帯においても、家庭内の日常言語はクメール語であった。次に、2002年8・9月に、ラオス、ルアンナムター県ルアンナムター郡ルアン村において赤タイ語(タイ・カダイ諸語南西タイ語群)の基礎語彙を調査した。同村で赤タイ語を日常話す話者は約200名で、その数は減少の一途をたどっている。また赤タイ文字を書ける者は68歳の男性1名のみである。現在、ラオスの公用語であるラオ語の影響を強く受けてラオ語化が進んでいる。次に、2002年9月、ベトナム、ソンラー省にてカン語(1989年センサスによる話者数は3,921人)の調査を行った。カン語は系統上、モン・クメール諸語に属するが、タイ系言語(特に黒タイ語)の影響を強く受けており、基礎的語彙もその多くをタイ系言語から借用している。調査をもとに作成した基礎語彙表では、借用の可能性のある語彙については、できるだけそのことを明記するよう努めた。また、カン語の音韻分析も行った。以上の3言語の調査結果は、平成15年3月に『東南アジア大陸部諸言語に関する調査研究』として公開予定である(印刷中)。
著者
常盤 文枝 鈴木 玲子
出版者
埼玉県立大学
雑誌
埼玉県立大学紀要 (ISSN:13458582)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.137-142, 2010
被引用文献数
1

チーム基盤型学習法(TBL)とは、Michelesenによって発想、確立された学習方法である。米国では、医学、看護学、運動学、獣医学などの多くの医療専門職の教育プログラムに活用されている。TBLの基本は、学習者の「責任性」と「判断力」にあり、少人数グループで作業をすすめる過程で、学習集団をグループからチームへと進化させる方法である。TBLは協同学習の1つと考えられるが、その持ち味は、大人数の授業で、一人の教員が、1つのセッションを舵取りし、授業中に学生を能動化させることができる点にある。TBLは、予習、準備確認、応用問題の3つのフェーズごとに進められ、その過程で学生が取り組むやすいように様々な仕掛けが施されている。今回、TBLを活用した授業を試みた。その結果、学生の受け止めは肯定的で、主体的に授業に取り組む様子が伺えた。今後も、より能動的な授業展開ができるよう教育プログラムを検討したい。
著者
井ノ口 馨 岡田 大助 大川 宜昭 鈴木 章円 Shehata Mohammad 鈴木 玲子 西園 啓文 野本 真順 横瀬 淳 村山 絵美 趙 埼 北村 貴司
出版者
富山大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2011-04-01

「記憶のアップデート機構」は知識の形成を通じて精神活動の基盤となる。記憶のアップデートは記憶同士の連合により行われるが、そのセルアセンブリレベルのメカニズムは不明であった。本研究では、二つの記憶情報が連合する回路レベルのメカニズムを明らかにするために、(1)CS-US連合(2)行動タグ(3)高次の連合のそれぞれについて、記憶が連合(相互作用)するセルアセンブリレベルのメカニズムを解析した。その結果、記憶が連合(相互作用)する際には、それぞれの記憶の対応する神経細胞集団の同期活動によるオーバーラップが重要な役割を担っていることが示され、記憶がアップデートされる脳内メカニズムが明らかとなった。
著者
鈴木 玲子 常盤 文枝 山口 乃生子 大場 良子 横井 郁子 高橋 博美
出版者
埼玉県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、批判的思考力の育成が養われるWeb 版でのPBL 教育プログラムを開発・実践し、開発したプログラムの有用性を批判的思考力などから検証することである。研究Iは、看護教育独自な批判的思考を支えるCT 尺度の信頼性と妥当性を検討し、5 つの下位尺度、15 項目からなる看護版の「批判的思考態度尺度」を開発した。下位尺度は、「懐疑的態度」「協同的態度」「根気強さ」「探究心」「論理的思考への自信」と命名し、Cronbach'α係数は全体で0.79、外的基準尺度と看護基礎教育用批判的思考態度尺度との間には有意な正の相関が得られ、この尺度をWeb 版でのPBL 教育プログラムの検証に使用した。研究IIでは、看護診断学習に対して、Web を活用した場合のPBL 学習とPBL テュートリアル学習の教育前後での批判的思考力評価を比較し、Web 版PBL 教育の効果を検証した。その結果、批判的思考態度や対人技能態度評価の比較では、二つの教育方法による有意な差はみられず、同等の教育効果を示す傾向が得られた。しかしながら、対象者数が少ないこともあり、さらなる検証を必要する課題が残る。また、ICT の教育への運用面についても検討が必要である。