著者
岡田 真奈 小高 直樹 阪田 真己子
出版者
日本感性工学会
雑誌
日本感性工学会論文誌 (ISSN:18845258)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.207-213, 2020 (Released:2020-04-30)
参考文献数
14

We discussed how people behave on seeing kawaii animal toys. Many studies have indicated the effects of kawaii emotions. However, few have described how they are expressed behaviorally. Therefore, this paper reports observable behavioral indicators. Specifically, we observed 4 human behaviors: smiling, touching, talking, and watching (kawaii toys or people) - during conversations when they see animal toys. Participants were divided into two groups. One (kawaii group) selected the animal toys that they felt had the most kawaii, and another (non-kawaii group) selected the animal toys that they felt had the least kawaii. Time to behavior was measured by annotation software, analyzed by analysis of variance. Comparison of groups showed that kawaii group was smiling, talking, and watching people for a longer time. Conversely, non-kawaii group was watching animal toys for a longer time. These results deepened our understanding of human behavior caused by kawaii emotion.
著者
小高 直樹
出版者
日本図学会
雑誌
図学研究 (ISSN:03875512)
巻号頁・発行日
vol.31, no.Supplement, pp.1a-6, 1997 (Released:2010-08-25)
参考文献数
5

本稿ではまず最初に, F1 (t) , F2 (t) をtの周期関数とするとき, tを媒介変数としたx=F1 (t) , y=F2 (t) が描く図形を汎ロコイドと定義する。基円に沿って円が転がるとき, 転円に固定された点の軌跡は, 転円が滑る場合も含めてすべてこの汎トロコイドに含まれる。また, 基円の半径が無限大になれば, x=F1 (t) またはy=F2 (t) はtの一次式を含む形式に導かれ, 図形は直線上を転がりながら直進する。ここで, われわれは, 直進する汎トロコイドを直進形汎トロコイドと呼び, これを幾何学模様生成のための基本形とする。この直進形汎トロコイドには, 微視的な汎トロコイドが大局的に直進する場合も含まれる。次に, この直進形汎トロコイドを回転変換する。この段階においては, 回転変換を複数回繰り返したり, あるいは途中のプロセスにおいて射影変換や球面写像を組み込むことにより, ユニークな幾何学造形が可能になる。本稿では, この直進形汎トロコイドを利用した幾何学模様生成のアルゴリズム, すなわち, 直進形汎トロコイドの設定とその変換方法 (回転変換, 螺旋変換, アフィン変換, 射影変換, 複合的変換など) のアルゴリズムを, それらの変換によって生成される具体的な幾何学模様とその特徴を通じて論じながら, 平面デザインや装飾, またアートとしての, ユニークでかつ調和性のある幾何学模様を迅速に作り出す基本的な方法論を提供する。
著者
柴 眞理子 小高 直樹 宇津木 成介 魚住 和晃 萱 のり子 米谷 淳 菊池 雅春
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

本研究の目的は、舞踊,音楽(ピアノ),書という異なる芸術分野に共通する基本的感情検証と、日・韓・中の異文化間比較によりその基本的感情が文化を超えて共通であることを確かめ,それと同時に,それぞれの芸術や文化に固有な感情表現についても明らかにすることであった。そのために、3つの評価実験を行い、その結果、次のような知見を得た。舞踊・音楽・書(漢字・かな)の3つの分野に共通する感情は「美しい」「きれい」「なめらか」「力強い(強い)」のみであった。3つの分野のうち,舞踊と音楽間では,例えば「楽しい」「悲しい」「こわい」など多くの感情が共通しているのに対し,書は他の2分野と共通する感情が少なく、いわゆる「快・不快」の感情を表現(伝達)しにくい。しかし、かなの書では「悲しみ」の感情は表現(伝達)されており,かなの表現性(表現力)が漢字とは異なる点があることも示唆された。異文化間比較では、各舞踊刺激、音楽刺激を視聴させ、その感情にふさわしい書をマッピングさせるという方法をもちいた。その結果、舞踊の場合のほうが音楽に比べ,「異文化的」な評価が少ない傾向がみられた。また,漢字とかなについては、漢字の方が,「文化差が小さい」ように見える。この点については、かなが我が国に固有の表現媒体であること,したがって舞踊なり音楽なりの感性的印象を評価する場合,漢字を用いるほうが「文化的共通性」を生み出しやすいことが推察される。以上のような知見と同時に、本研究を通して「感性評価の異文化間比較」は,単に,学術的な研究の対象となるばかりではないことを再認した。たとえば日本の芸術作品の海外における評価が日本的な感性による評価と一致するものかどうか,換言すれば,日本において高く評価される芸術的表現が他文化において同一基準で評価されるかどうかという,実際的な場面にも応用が可能であろうと思われる。