- 著者
-
舛田 勇二
高橋 元次
佐藤 敦子
矢内 基弘
山下 豊信
飯倉 登美雄
落合 信彦
小川 克基
佐山 和彦
- 出版者
- The Society of Cosmetic Chemists of Japan
- 雑誌
- 日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
- 巻号頁・発行日
- vol.38, no.3, pp.202-210, 2004-09-20 (Released:2010-08-06)
- 参考文献数
- 3
- 被引用文献数
-
5
6
美容上問題となる「目の下のくま」の発生要因として, 一般的に血流の停滞が言われているが, 実際にくまと血流の関係について調査した報告は少なく, また, くまについて皮膚生理学的に論じた報告もほとんどない。そこで本研究では, 非侵襲的な方法を用いくまを皮膚科学的に解析し, その要因を明らかにするとともに, その対応を考え, 「目の下のくま」改善効果の高い商品の開発を行った。くまの発生要因を明らかにするために, くまのある女性とない女性を対象に, 眼下部の皮膚メラニン量, ヘモグロビン量およびヘモグロビン酸素飽和度, 血流速度の計測を実施した。くまのある女性の眼下部では, ヘモグロビン量の増加およびヘモグロビン酸素飽和度の減少が観察された。くま部位では頬と比較して血流速度の低下が見られたことから, 上記結果は血流の停滞により引き起こされたと考えられる。またメラニン量の増加も同時に観測され, その傾向は高年齢層でより顕著であった。以上の結果から, くま部位の明度低下は, 血流速度の低下による皮膚毛細血管内の還元ヘモグロビンの増加と, 皮膚メラニン量の増加によるものと考えられた。以上の検討をもとに, くま発生の主要因である「鬱血」および「色素沈着」, くまを目立たせる小じわ, キメの悪化の各々に対処した「血行促進剤」「美白剤」「保湿剤」配合プロトタイプ製剤を処方し, 3週間の連用効果試験を実施した。その結果, 美容技術者による目視評価, 被験者のアンケートにおいてプロトタイプ製剤の, 高いくま改善効果が確認された。また, 機器測定によってもヘモグロビン酸素飽和度の上昇とメラニン量の低下が確認され, 「くま」の改善に本処方は効果的であることが示された。