著者
中野正博 松浦弘幸 玉川雅章 行正 徹 石川耕介 山中 真
出版者
バイオメディカル・ファジィ・システム学会
雑誌
バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌 (ISSN:13451537)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.87-99, 2017-12-28 (Released:2021-03-15)

転倒などで生じる複数の損傷が及ぼす深刻度を示すための総合評価指数を提案し,その指数を用いて転倒の保護防具の有効性を示す.転倒実験は,衝突試験用人体模型(人体ダミー)を用いて,日本自動車研究所(JARI)において行った.人体ダミーは,頭部,胸部,腰部に加速度センサが,首部には,力とモーメントの計測センサが設置されており,転倒時に計測された物理量のデータに基づいて分析を行う.これらの物理量のデータは連続量であり,これをもとに,連続量の身体各部の損傷の程度(AIS)を連続関数として定義し,それらを総合する評価指数としての生存確率Ps をより精密な指標として系統的に計算できるように拡張した.生存確率Ps を各種のヘルメットやジャケットなどの保護防具を着て転倒した場合で計算し,保護防具の有効性を示した.
著者
木下 博義 山中 真悟 中山 貴司
出版者
一般社団法人 日本理科教育学会
雑誌
理科教育学研究 (ISSN:13452614)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.181-188, 2013-11-27 (Released:2013-12-12)
参考文献数
13
被引用文献数
5 2

本研究では,理科における小学生の批判的思考に焦点を当て,その実態を明らかにすることを第一の目的とした。さらに,小学生の批判的思考に影響を及ぼす要因構造を分析し,指導法考案へ向けての示唆を導出することを第二の目的とした。これらの目的を達成するため,小学校5,6 年生429 名を対象に,35 項目からなる質問紙調査を実施した。その結果,一つ目の目的に対して,児童の探究的・合理的な思考に比べて,反省的な思考や根拠を重視しようとする意識が低いことが明らかになった。また,二つ目の目的に対して,探究的・合理的に思考している児童ほど,反省的に思考したり,意見の根拠を重視したりしていることが明らかになった。これらの結果を踏まえ,児童の反省的な思考や根拠を重視しようとする意識を高めるためには,探究的・合理的な思考を培うような指導をすべきであるという示唆を得た。
著者
山中 真人
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

素粒子物理・宇宙物理には説明困難な問題が残されており、それに伴い標準模型を超える模型が多数提唱されてきた。本研究の目的として、【標準模型を超える新模型の特定】、並びに、【その新模型が持つパラメーター値の決定】の2点を掲げる。本研究では、目的達成に向け、宇宙論的観測量と理論予測の整合性を課すことで直接的に、また、レプトンフレーバー数非保存過程に関する実験結果と理論予測の整合性の観点から間接的に攻めてきた。さらに、LHCにおける各模型の特徴的信号についても議論してきた。こういった統合的かっ相補的アプローチにより、異なる模型がもたらす同一実験結果が招く混乱等を回避し、新模型のパラメーター値の決定や、模型の確立を進めた。2009年度に行なった研究は、大きく分けて2つである。1つ目は、昨年末、CDMS実験により報告された暗黒物質の直接検出と思われるシグナルに応じた研究である。研究を通じ、CDMS実験の結果が超対称性模型、及び、模型における暗黒物質の性質にもたらす示唆を明らかにした。2つ目は、荷電レプトンフレーバー数非保存過程を通じた、標準模型を超える模型の探索である。我々は、荷電レプトンフレーバー数非保存を伴い、かつ、将来実験で十分な精度をもたらすことができる新たな反応【ミューオニック原子中におけるmu^-e^-->e^-e^-】を提案した。本反応の探索実験の実現化へ向け、今後も研究を進めていく予定である。