著者
佐藤 丈寛
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2019-04-01

東アジアとシベリアの境界領域の東端にあたる北海道北部とサハリンでは、日本列島に由来する縄文系の文化が栄えた時期、東シベリアに起源をもつとされるオホーツク文化が栄えた 時期、そしてそれらの文化が混交した時期があることが考古学的研究により示唆されている。本研究では、古人骨のゲノム解析によって当該領域における人類集団の 変遷を解明することを目的とする。特に、シベリアに起源をもつと考えられるオホーツク文化人が在来の縄文系集団と混血していった過程をゲノムデータから明らかにするとともに、これまで一括りにされてきた「オホーツク文化人」が単一の起源をもつ集団なのかについて検証する。
著者
篠田 謙一 佐藤 丈寛 安達 登 角田 恒雄 神澤 秀明
出版者
独立行政法人国立科学博物館
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2018-06-29

昨年度行った縄文人のゲノム解析の成果の一部を本年に論文発表した。また同時に、得られたSNPデータからこの人物の形質の特徴を抽出して復顔像を作成し、プレス発表を行った。このニュースは多くのマスコミの取り上げられ、大きな反響があった。北部九州と南西諸島の縄文時代相当期の人骨の持つミトコンドリアDNAの分析を進め,両者が1万年ほど前に分離した集団である可能性があることを明らかにし、沖縄で行われた学会で発表を行った。更に、初年度の分析で縄文人のゲノム解析に関してある程度の成果を得たので,本年は日本人の成立を考える上で重要な,弥生時代人骨を中心にゲノム解析を進めた。縄文人の末裔と考えられている西北九州の弥生人のゲノム解析によって,彼らが既に渡来系集団と混血した集団であることを明らかにし,論文発表した。また,渡来系集団の起源地と考えられる韓国の6千年前の貝塚人骨である加徳島の新石器時代の遺跡から出土人骨のゲノム解析を行い,彼らが現代の韓国人よりも縄文的な要素を多く持っていることを見いだし報告した。更に渡来人の遺伝的な特徴を更に詳しく知るために,弥生相当期に当たる韓国の人骨の分析を進めている。日本国内でも渡来系とされる弥生人集団のゲノム解析を進めた。特に大量の人骨が出土した弥生時代後期の鳥取県青谷上寺地遺跡から出土した人骨について,網羅的な解析を行った。その結果,彼らの遺伝的な特徴は現代日本人の範疇に入るものの,多様性は大きいことが判明した。このほか,全国の大学研究機関や埋蔵文化財センターに所蔵されている縄文~古墳時代人骨を収集し,ミトコンドリアDNAの分析を進めた。更にその中でDNAの保存状態の良い個体については核ゲノムの解析も実施している。
著者
佐藤 丈
出版者
埼玉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

余剰次元として商空間の構造を持つ理論を考え、素粒子標準理論を超える理論の構築を試みた。より具体的には二つの方法を用いた。一つ目は、商空間次元降下の方法で、標準理論に直結しうる商空間とその理論での物質の同定を行った。二つ目は商空間として最も単純なS2上で模型の構築をいくつか行った。一つは大統一理論的な方法でゲージ群としてSO(12)を考え、標準理論が出うることを示した。もう一つは普遍高次元理論の枠内で、余剰次元をS2とする標準理論の拡張を行い、十分生きている模型であることを示した。
著者
佐藤 丈晴 荒川 雅生 中山 弘隆 鉄賀 博己 古川 浩平
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.707, pp.153-163, 2002

降雨によるがけ崩れ発生予測としてがけ崩れ発生限界雨量線 (CL) の設定手法が提案されている. しかしながら, 従来のがけ崩れ発生限界雨量線はほとんどが線形で示されており複雑な自然現象を再現しているとは言い難い. またその的中精度が低い問題がある. そこで本研究では, 従来のがけ崩れ発生限界雨量線の問題を解決するために, 包絡分析法 (DEA) を応用して警戒避難基準雨量の設定を試みた. 本手法では降雨データの分布のみから, 最適な警戒避難基準雨量の設定ができる. そして, がけ崩れの予測に関する検討を行い従来のがけ崩れ発生限界雨量線と比較して精度の向上を確認した. さらに警戒基準雨量, 避難基準雨量の設定を試み, 従来手法との比較を行いその有用性を検証した.
著者
安田 修 佐藤 丈
出版者
首都大学東京
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2013-06-28

将来の長基線実験計画のHKとDUNEを組み合わせた場合の測定精度を議論し、階層性縮退とoctant縮退が解決できることを示した。非標準相互作用に関して、HK・DUNE・T2HKKの各計画の感度とその感度の系統誤差への依存性・T2HKKのoff-axis角度の最適化について考察することにより将来計画への指針の一助を与えた。軽いステライルニュートリノの新たなCP位相による新しい種類の縮退を発見した。IceCube Gapとμ粒子の異常磁気能率を説明する模型を提唱してその現象論を議論し、Belle-II実験・COMET実験・LHC実験・ILC実験でのレプトンフレーバーの破れの可能性を議論した。
著者
佐藤 丈博 樋口 雄紀 竹下 秀俊 岡本 聡 山中 直明 大木 英司
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J97-B, no.7, pp.474-485, 2014-07-01

インターネットやモバイルネットワークにおけるトラヒック量は近年急激な増加を見せており,伝送容量拡大によるネットワーク機器の消費電力増大が問題となっている.そこで,複数のネットワークサービスを単一物理網上で提供し,トラヒック収容効率の向上及び省電力化を実現する次世代光メトロ・アクセス融合型ネットワーク「エラスティック光アグリゲーションネットワーク(EλAN)」が提案されている.EλANでは局側装置であるOLTがプログラマビリティをもち,論理OLTを異なる物理OLT間や局舎間で自由にマイグレーションすることが可能になる.本論文では,EλANの省電力化を目的とした論理OLTのマイグレーション手法を提案する.具体的には,稼働する物理OLT数が最小となる論理OLTの配置,及びその配置に至るマイグレーション手順を得ることを目的とした最適化問題を線形計画問題としてモデル化し,物理OLTのスリープ率及びマイグレーションの実行回数について性能評価を行った結果を述べる.また,EλANのプロトタイプシステム上で行った論理OLTのマイグレーションの基本動作の確認について報告する.