著者
星野 翔一 青木 健一 福住 紀明 山口 正二
出版者
日本カウンセリング学会
雑誌
カウンセリング研究 (ISSN:09148337)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.127-135, 2011 (Released:2016-03-12)
参考文献数
13

本研究では,きょうだい構成と性格特性・シャイネス特性・心理的距離との関連性を検討することを主たる目的とした。性格特性を測定するため,柳井・国生(1987)が作成した新性格検査を用いて,共感性・自己顕示性・持久性を測定した。次に,シャイネス特性を測定するため,鈴木ら(1997)が作成した早稲田シャイネス尺度を用いて,行動(消極性)・感情(緊張・過敏さ)・認知(自信のなさ)を測定した。最後に,心理的距離を測定するため,山口ら(1989)が作成した心理的距離測定用スケールを用いて,被験者と家族・教員・ペット間の心理的距離を測定した。その結果,きょうだい構成と性格特性・シャイネス特性・心理的距離が,おおいに関係していることが明らかにされた。性格特性・シャイネス特性・心理的距離において,きょうだい構成は重要な要因であることが示唆された。
著者
生月 誠 原野 広太郎 山口 正二
出版者
日本バイオフィードバック学会
雑誌
バイオフィードバック研究 (ISSN:03861856)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.1-4, 1987-06-14 (Released:2017-05-23)

安静時のSCLの値および弛緩訓練を負荷したSCLのバイオフィードバック訓練におけるSCLの変化過程が,被験者の神経症的な傾向をどの程度反映するのかを検証しようとした。その結果,神経症者で不安,恐怖を生訴とする群(B群)は,健常群(A群)および神経症者で強迫観念,強迫行為,心気症状を主訴とする群(C群)と比べて,SCLの値が高く,また弛緩訓練を負荷したバイオフィードバック訓練において,B群はA群およびC群よりもSCLが下降傾向を示した。
著者
山口 正二 原野 広太郎 沢崎 達夫
出版者
一般社団法人日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.2-10, 1982-09-30

本研究は,自己強化基準や報酬量の自己決定を基礎とするいわゆる自己強化理論をさらに一歩進めて,誘因としてのゲーム行動を自ら行なうと,その行動自体がある行動試行期には強化因となって,次の行動を駆動する働きをするようになるという内発的強化説を検証することを目的とした。そこで,幼児のゲーム行動において,(1)被験児の行動をすべて子どもに委ねる内発的強化群,(2)被験児の行動に応じて予め外的に決定した基準に基づいて物質的報酬を与える外発的強化群,(3)統制群の3群を設定し,これらの条件下における幼児の自由なゲーム行動にどのような差異が見られるか検討した。最初に,各群においてスマートボール遊びに対する幼児の興味がオペラントレベルとして測定され,これを第1セッションとした。内発的強化群は第2セッションとして,1時間の制限時間丙でスマートボールのある部屋で自由に遊ぶように教示され,外発的強化群には第2セッションで強化が付与された。第3セッションは各群とも第1セッションと同じ教示と手続きで行なわれた。その結果,各群ともセッションを重ねるにつれてゲーム行動時間および試行数の増加がみられ,第3セッションにおいて,内発的強化群と外発的強化群のゲーム行動時間はほぼ等しかった。また,ゲーム行動の結果および成績が次のゲーム行動の駆動力となっているという結果は得られちかった。以上の結果より,たとえ外的強化が欠如しても,試行を重ねればゲーム行動が漸次増加することが明らかとなった。本実験で用いたスマートボールが,幼児にとって初めて経験したゲーム行動であることを考慮すれば,これはゲーム行動そのものに内在する内発的動機づけあるいは内発的強化になるものと考えられる。