著者
宋 俊煥 山崎 嵩拓 泉山 塁威
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.1289-1296, 2018-10-25 (Released:2018-10-25)
参考文献数
17
被引用文献数
5 1

全国の都市公園が更新期を迎える中、人口減少等に伴う自治体の財政難が深刻化している。そのため、コストを抑えながら再整備・維持管理に取組むことが重要であり、近年では民間事業者の参入が積極的に進められている。特に2011年の都市再生特別措置法改正による「都市利便増進協定」、2017年の都市公園法改正による「公募設置管理制度(Park-PFI制度)」を通じ、民間事業者が収益施設の設置管理を通じてパークマネジメントに関与する事例の増加が想定される。そこで本研究では、「設置管理許可制度」を用いた都市公園内収益施設を対象とし、パークマネジメントにおける設置管理事業者の関与実態を明らかにすることを目的としている。各自治体へのアンケート・インタビュー調査を基に設置管理事業者の導入による公園維持管理負担の低減効果を整理した上で、公園のマネジメント体制を主体間所有関係(4パターン)、維持管理体制(7パターン)、利活用体制(7パターン)に整理した。更に指定管理者と連携団体の有無に応じて調査対象施設を分析した結果、4つの分類別にマネジメント体制が異なり、それにより求められる設置管理事業者の役割が変化することを明らかにした。
著者
山崎 嵩拓 宋 俊煥 泉山 塁威 横張 真
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.136-143, 2019-10-25 (Released:2019-10-28)
参考文献数
20
被引用文献数
3 2

2017年の都市公園法改正により、民間活力の導入を目的に公募設置管理制度(Park-PFI)が施行された。そのため今後は、全国各地で自治体主催の公募を通じ、飲食店等の収益施設を、都市公園内に設置・管理する事業者の選定が展開される見込みを持つ。ここで事業者は、自ら施設を整備し、公園使用料を支払うことで収益事業の実施が認められる。つまり、一般の商業施設と同様に立地条件の影響を受ける事が推察される。そこで本研究は、都市公園における公募を通じ設置された収益施設の実態が、立地条件から受ける影響を明らかにすることで、Park-PFIの普及時における留意点を考察する事を目的とした。研究対象は19都市公園に設置された25の収益施設である。研究の結果、固定資産税路線価や駅からの距離等を立地条件の指標とした場合に、立地条件の良し悪しに応じて、収益施設の業種や施設計画、事業者の応募数の傾向が変化することが明らかになった。
著者
村松 賢 別所 あかね 山崎 嵩拓 飯田 晶子 横張 真
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.721-728, 2020-10-25 (Released:2020-10-25)
参考文献数
17

今日の日本社会では、河川敷で行われる不法耕作は否定的に捉えられるのが一般的である。その一方で、不法耕作に対する海外における類似事象というべきゲリラ・ガーデニングについては、その公益性が認知され、肯定的に取り扱われている状況がある。この研究ではまず、中立的な観点にもとづく調査と検討を行うため、不法耕作に対し勝手耕作という術語を与える。この研究の目的は、先行研究によって示唆された、勝手耕作が備える福祉的機能を明らかにすることである。研究は、千葉市を流れる花見川の河川敷における事例を対象とした。その結果、勝手耕作が社会的弱者の生活の質を向上させる福祉的機能を持っていることと、活動の周囲に活動を許容している人が一定数存在していることが明らかになった。こうした事実にもとづいて、この研究ではまとめとして、勝手耕作が日本社会に存在することの意義と、今後その受容のために、都市計画が果たしうる役割を提示した。
著者
飯田 晶子 山崎 嵩拓 樋野 公宏 横張 真
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画報告集 (ISSN:24364460)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.468-473, 2023-12-11 (Released:2023-12-11)
参考文献数
11

本研究は、COVID-19パンデミック蔓延下に、誰が都市緑地を利用し、それが都市住民の健康と幸福にどのように関連したかを明らかにすることを目的とする。東京都在住の成人4,126人の横断データを用いて、二項ロジスティック回帰分析を行った。その結果、都市緑地を利用した人は利用しなかった人に比べ、主観的ウェルビーイングと身体活動量が向上していた。また同時に、利用者の属性によって利用する都市緑地の種類が異なっていたこと、及び都市緑地の種類によって主観的ウェルビーイングと身体活動量との関係の度合いが異なっていたことが分かった。様々な人々が都市緑地にアクセスできるよう、多様な都市緑地が混在する住環境づくりが重要である。
著者
ウォンダラ ハルシット 鈴木 茜 竹中 大貴 磯部 裕汰 岡本 亮太 松坂 大和 真野 知也 三木 裕子 山崎 嵩拓 泉山 塁威 小泉 秀樹
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画報告集 (ISSN:24364460)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.318-323, 2020-12-04 (Released:2022-06-08)
参考文献数
6
被引用文献数
1

2020年、COVID-19流行時に生活行動が制限されている中、都市公園は運動や休息する場所として利用することができた。しかし、一部の公園では、密集状態を避けるために遊具などのパークコンテンツを封鎖する対応がとられていた。感染症蔓延の状況下において公園利用を継続するためには、公園内の密集防止措置を講じる必要がある。本研究は東京都内の7か所の公園を対象に、パークコンテンツに着目して利用実態及び密集状況を把握した。その結果として、遊具および観覧を伴う広場では密集度が高い傾向が示された。それを踏まえた密集を防ぎながら公園利用を可能とする方策を考察した。