著者
松村 年郎 井上 哲男 樋口 英二 山手 昇
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌
巻号頁・発行日
vol.1979, no.4, pp.540-545, 1979

著者らが開発したホルムアルデヒド自動計測器を東京都内の国設自動車解説ガス霞ケ関測定所に収納し,1968年から常時測定を実施している。本報は最近9年間(1968~1976)のホルムアルデヒド濃度の測定結果をまとめたもので,つぎのようなことがわかった。<BR>ホルムアルデヒド濃度の1時間値は1ppbから73ppb,日平均値は1ppbから27ppb,月平均値は3.1ppbから19.1ppb,年平均値は4.6ppbから10.5ppbであった。ホルムアルデヒド濃度の日平均値は対数正規分布を示すことが認められた。ホルムアルデヒド濃度の日平均値とその目の瞬間最高値との関係はおおよそ1:2である。ホルムアルデヒド濃度は正午頃がもっとも高く,季節的には6月から8月の夏季に濃度が高く,とくに高濃度ホルムアルデヒド(1時間値20ppb以上)の出現には光化学反応が関与していることが認められた。
著者
竹内 茂 長田 博昭 小島 宏司 島田 厚 栗栖 純穂 横手 薫美夫 山手 昇
出版者
The Japanese Association for Chest Surgery
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.10, no.4, pp.440-444, 1996-05-15 (Released:2009-11-11)
参考文献数
12
被引用文献数
1 1

自然気胸症例における術後再発防止の為, 当科では1978年以降, 開胸手術に際し, 壁側胸膜部分切除を併用してきた。1992年以降は自然気胸症例に対し胸腔鏡下手術を第一選択としているが, 胸腔鏡下でも従来の開胸手術と同様に壁側胸膜部分切除が肝要と考え, 全例にこれを併用している.胸腔鏡導入後38例40側の自然気胸症例に対して同手術をした.壁側胸膜部分切除の所要時間は平均で10分, 出血量は術中全体でも20ml以下であり, 術後合併症として特別なものはなかった.また, 再発は40側中1側2.5%に見られたのみであった.したがって, 自然気胸症例に対する胸腔鏡下壁側胸膜部分切除術は容易かつ有用な方法であると思われた.
著者
塚田 久嗣 長田 博昭 小島 宏司 竹内 茂 島田 厚 山手 昇
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.139-142, 1998
被引用文献数
2 1

症例は75歳男性。喀血を主訴に近医を受診した。胸部写真で右肺内異物を指摘され, 摘出目的で入院となった。異物は右B^2入口部に嵌頓した鉱物性異物で, 52年前に中国で被弾した手榴弾片であった。気管支動脈造影を施行したところ, その著明な増生とともに, それが肺動脈に交通している所見が認められた。気管支鏡下の異物摘出では出血の可能性が高い事, 気管支動脈塞栓術では再喀血の可能性がある事, 更に異物末梢側の肺に既に2次的変化が見られる事を考慮して肺葉切除術を施行した。気管支異物の除去方法として多くの場合, 気管支鏡が第1選択であるが, 気管支鏡下の操作が困難であったり, 出血が懸念される場合には外科的摘出を選択する方が良い。