著者
門倉 光隆 野中 誠 山本 滋 片岡 大輔 伊谷野 克佳 柴田 雅彦 谷尾 昇 川田 忠典 高場 利博
出版者
特定非営利活動法人日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.14, no.7, pp.785-790, 2000-11-15
被引用文献数
2

術後呼吸困難感の表現や程度は患者によって様々であり, 疼痛の有無など不確定要素が含まれるため定量的評価は困難とされている.そこで「度合いスケール」のうちvisual analog scale(VAS)を用いて開胸術前後における呼吸困難感の評価を行った.胸腔鏡下手術を除く肺部分切除23例, 肺葉切除27例の計50例を対象とし, 術前および術後120病日の間で定期的にVAS測定とHugh-Jones呼吸困難度分類(H-J)評価, 呼吸機能検査, 血液ガス分析を施行した.VASとH-J分類は良好な相関関係を示したが, VASと呼吸機能検査結果との間では, 術前FEV_<1.0>%, PFとの間, 術後は最大吸気量との間以外に相関関係は得られなかった.なお, 術後H-Jは速やかに術前の分布状態まで回復したのに対してVASでの回復は遅延し, さらにH-JI度に属する患者の中に僅かながらも呼吸努力感や不快感の存在が確認された.VAS測定は僅かな呼吸困難感の変化を連続的数値で定量評価する方法として妥当と考えられた.
著者
奥山 徹 高田 光正 柴田 承二 保尊 正幸 川田 忠典 正木 久朗 野口 輝彦
出版者
日本生薬学会
雑誌
生薬学雑誌 (ISSN:00374377)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.p147-152, 1987-06

Some Chinese herbal prescriptions employed for a syndrome expressed in oriental medical concept as chest paralysis (Kyohi) and heartache (Shintsu) are thought to be effective for angina pectoris. We investigated the effects of 5 Chinese medicinal prescriptions, Kuolon-Xiebai-Banxia Tang (Karo-gaihaku-hange-to), Guizhi-Shenjiang-Zhishi Tang (Keishi-shokyc-kijitsu-to), Jupi-Zhishi-Shenjiang Tang (Kippi-kijitsu-shokyo-to), Renshen Tang (Ninjin-to) and Guizhi-Renshen Tang (Keishi-ninjin-to) and 6 individual herbs contained in these prescriptions on a human platelet aggregation induced by 2 μM ADP. All the prescriptions mentioned above showed a strong inhibitory effect in the secondary wave aggregation, while Jupi-Zhishi-Shenjiang Tang and Guizhi-Renshen Tang gave less effect in the primary wave aggregation. Of these herbs, Shenjiang (Zingiberis Rhizoma), Ganjiang (Zingiberis Siccatum Rhizoma) and Renshen (Ginseng Radix) showed a strong inhibitory effect, while Jupi (Aurantii Nobilis Pericarpium) promoted the primary wave aggregation. Gancao (Glycyrrhizae Radix) and Baizhu (Atractyloides Rhizoma) showed no activity.
著者
川田 忠典 荒瀬 一己 舟木 成樹 正木 久朗 北川 博昭 平 泰彦 野口 輝彦
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科医学会雑誌 (ISSN:03869776)
巻号頁・発行日
vol.44, no.12, pp.1405-1409, 1983-12-25 (Released:2009-02-10)
参考文献数
9
被引用文献数
1

外傷性胸部大動脈断裂の急性期予後は不良であり,外科的治療が唯一の救命手段である.そのためには早期診断が必須であるが,多臓器損傷を伴うために確定診断は意外と困難である.我々は入院直後の胸部レ線像上,縦隔陰影拡大,気管右偏像,大動脈弓部不明瞭化の一つ以上の所見があれば,胸部CTスキャンを行い,縦隔内あるいは大血管周囲に血腫像を呈していれば血管撮影を行うという診断プログラムに基づき本症の早期診断に努めた. 1979年7月から1982年12月までに胸部外科医が関係した鈍的胸部外傷患者は21例で,そのうち胸部レ線像上診断基準陽性例は15例であった. 15例中13例は胸部CTスキャンが行われ,縦隔内血腫の見い出された7例は大動脈造影が行われた.残る2例はCTスキャンが省略され即大動脈造影が行われた.血管造影の行われた9例中では4例に胸部大動脈断裂が, 1例に左鎖骨下動脈断裂がみとめられ,全例緊急外科的治療にて救命された. 以上の結果より我々の診断プログラムは本症早期発見に有用であったと考えられた.特に胸部レ線像上診断の疑わしい例ではCTスキャンが補助診断的に有力で,血腫形成像があれば緊急血管造影の決断のよい指標となった.しかし,縦隔拡大が明瞭な例では切迫破裂の危険性が予測され,診断のために時間の浪費は避けるべきで,血管撮影を先行させることが肝要と考えられた.