著者
小山 照幸
出版者
学校法人 聖マリアンナ医科大学医学会
雑誌
聖マリアンナ医科大学雑誌 (ISSN:03872289)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.33-45, 2022 (Released:2022-09-28)
参考文献数
12

目的:リハビリテーション治療は近年,急速に普及が進んできているが,令和元年末から流行し始めた新型コロナウイルス感染症への対応により,通常の診療に影響が出ている。今回,保険診療の面からリハビリテーション治療のこれまでの経過と現状を調査した。調査方法:厚生労働省が公表している社会医療診療行為別統計の平成27年から令和2年までの「心大血管疾患リハビリテーション料,脳血管疾患等リハビリテーション料,廃用症候群リハビリテーション料,運動器リハビリテーション料,呼吸器リハビリテーション料,がん患者リハビリテーション料と回復期リハビリテーション病棟入院料」の算定回数,点数の年次変化を調べた。また各疾患別リハビリテーション料算定回数の年齢階級別年次変化,令和元年と2年の入院外・入院別年齢階級別年次変化を検討した。結果:リハビリテーション料算定回数は平成30年まで増加していたが,令和元年から減少していた。算定点数は令和2年まで増加していた。令和2年の心大血管疾患リハビリテーション料算定回数は17.7%,運動器リハビリテーション料は8.1%,廃用症候群リハビリテーション料は4.9%それぞれ前年に比べ減少していた。結論:リハビリテーション治療は,平成30年までは普及が進んでいたが,その後令和2年に著しく減少しており,これは新型コロナウイルス感染症の流行が影響していると考えられた。
著者
小山 照幸 笠井 督雄 吉田 和彦 武田 聡 小川 武希
出版者
日本蘇生学会
雑誌
蘇生: 日本蘇生学会雑誌
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.33-37, 2010

2007年3月と2008年3月に同じ中学校で,3年生を対象に心肺蘇生法とAEDの講習を行い,同時に講習前にアンケート調査を行った。<br> 心肺蘇生法の講習経験のある生徒は約6割で,ひとりで心肺蘇生ができると答えた生徒は約3割と,2年間で変化はなかった。2007年秋にこの中学校にAEDが設置されたが,2008年のアンケートで,AEDの設置を知っている生徒は約8割,AEDの使用法を知っている生徒は4分の1で,2年間で変化がなかった。AEDを設置する際には,同時にその施設の関係者への教育が必須と思われた。中学生への心肺蘇生教育は救命率向上につながる可能性が高く,本人達の意欲も高いので積極的に進めるべきであると思われる。
著者
小山 照幸
出版者
学校法人 聖マリアンナ医科大学医学会
雑誌
聖マリアンナ医科大学雑誌 (ISSN:03872289)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.151-161, 2023 (Released:2023-05-16)
参考文献数
31

目的:心臓リハビリテーション(以下,心リハ)は近年,急速に普及が進んでいるが,最近,流行している新型コロナウイルス感染症により,通常の診療に影響が出ている。今回,保険診療の面から心リハ治療のこれまでの経過と現状を調査した。調査方法:厚生労働省が公表している社会医療診療行為別統計の,平成21年から令和3年までの「心大血管疾患リハ料」の算定回数,点数を調べ,年次変化および年齢階級別割合・年次変化,令和元年から令和3年の入院外・入院別年次変化を検討した。結果:算定回数は,平成21年99,865回,令和元年791,226回で,10年間で約8倍になった。しかし令和2年は前年より18%減少したが,令和3年は令和元年の95.7%まで回復していた。算定点数は,平成21年21,210,079点,令和元年186,409,625点で,10年間で約9倍に増加していたが,令和2年は前年より16%減少していた。令和3年は令和元年の97.2%まで回復していた。年齢階級別では,70歳以上が78%,85歳以上が32%を占めており,80歳代前半の増加率が最も多かった。令和2年には主に入院外の45歳から89歳にかけて減少しており,中でも70歳代後半の減少が著しかった。結論:保険診療上,心大血管疾患リハ料算定回数,点数は,令和元年までは増加していたが,令和2年に減少しており,新型コロナウイルス感染症の流行が影響したと考えられた。
著者
小山 照幸
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
pp.21063, (Released:2022-08-17)
参考文献数
11

目的:わが国は世界に先駆けて高齢者人口が増加している.それに伴い高齢患者も増加しており,リハビリテーション治療は重要である.リハビリテーション関連医療費も増加しているが,どのような年齢層にリハビリテーション治療が実施されているかについては知られていない.そこで今回,保険診療におけるリハビリテーション治療患者の年齢分布を調査したので報告する.調査方法:厚生労働省が公表しているNDBオープンデータから,各疾患別リハビリテーション料の「性年齢別算定単位数」について2014(平成26)~2019(平成31)年度の6年間の年次推移を検討した.結果:心大血管疾患リハビリテーション料は80歳代前半にピークがあり,それまでは男性が約2倍多かった.脳血管疾患等リハビリテーション料は80歳代前半にピークがあり,男性のピークは70歳代後半でそれ以下の年代では男性のほうが多かった.廃用症候群リハビリテーション料は80歳代後半にピークがあり,女性のほうが多かった.運動器リハビリテーション料の算定単位数が最も多く,80歳代前半にピークがあり,女性は男性の2.5倍実施されていた.呼吸器リハビリテーション料は80歳代後半にピークがあり,男性のほうが多かった.がん患者リハビリテーション料は70歳代後半にピークがあり,男性が女性の約2倍であった.結論:リハビリテーション治療実施患者の年齢のピークは80歳代であり,年々増加していた.
著者
渡邉 陽介 横山 仁志 笠原 酉介 堅田 紘頌 八木 麻衣子 小山 照幸
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.385-390, 2010 (Released:2010-07-28)
参考文献数
24
被引用文献数
2

〔目的〕本研究では,肺切除術における術後呼吸器合併症の併発率や,合併症併発の予測因子について明らかにすることを目的に検討した。〔方法〕肺切除術を施行した全146例を対象とし,呼吸器合併症の有無を診療録より後方視的に調査し,呼吸器合併症の併発率,併発日を算出した。そして,術後呼吸器合併症の予測因子について,ロジスティック回帰分析を用いて検討した。〔結果〕術後呼吸器合併症の併発率は4.1%(146例中6例)と極めて低値を示し,併発日は2.2±2.2日であった。また,術前屋外自立歩行の可否(オッズ比15.2),慢性呼吸器疾患合併の有無(オッズ比9.9)が,呼吸器合併症の併発に独立して影響を与えていた。〔結語〕従来の報告に比較し,術後呼吸器合併症の併発率は低下傾向にあり,その予測因子も変化していることが推察された。