著者
田中 知恵
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.1-16, 2004

The effect of affective states which stem directly from an advertisement (relevant affect) on elaboration of the same ad was investigated. It was predicted that a positive relevant affect would lead a continued processing strategy motivated by affect maintenance, whereas negative relevant affect would lead a stop-processing strategy motivated by affect improvement. Thus, positive rather than negative affect would enhance elaboration of ad messages. In Experiments 1 and 2, positive or negative affective states were induced through print-media advertisement. Following this, the extent of the message elaboration of the same ad was measured by a recall task. In Experiment 3, positive or negative affective states of participants were manipulated by an ad identical to or different from the target messages (relevant or irrelevant affect). The three experiments consistently demonstrated that positive relevant affect enhanced elaboration more in comparison to the negative relevant affect. These results were clearly different from the findings of research using irrelevant affect. The different processing strategies induced by relevant affect or irrelevant affect were discussed.
著者
宗方 淳 田中 知世
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会環境系論文集 (ISSN:13480685)
巻号頁・発行日
vol.79, no.695, pp.19-25, 2014-01-30 (Released:2014-07-10)
参考文献数
26
被引用文献数
5 5

A questionnaire survey was conducted in order to study the environmental and social factors which effect office workers' motivation as well as other comprehensive evaluation that are also supposed to influence workers' workplace productivity. As a result, places and behaviors which maintain and/or improve workers' motivation were extracted and compared with the factors of other comprehensive evaluations. It can be explained with larger coefficient of determination that motivation is one of the causal factors of the satisfaction of office environment. It was also found that some environmental factors influenced workers' motivation with the same weight as social factors. Finally the influence of difference of type of the worker was also studied.
著者
西貝 正彦 田中 知己 加茂前 秀夫
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.64, no.9, pp.712-714, 2011-09-20 (Released:2017-05-26)
参考文献数
11
被引用文献数
1 1

GnRH投与が凍結胚移植の受胎率に及ぼす効果を明らかにする目的で黒毛和種受胚牛80頭を無作為にA,B群に区分し,発情後6日にGnRH群40頭にはGnRH類似体(酢酸フェルチレリン)100μg,対照群40頭には生理食塩液2ml を筋肉内に注射し,発情後7日に胚移植を行った.発情後14日に両群の各10頭について卵巣の状態と血液中プロジェステロン(P4)濃度を調べた.胚移植後40~50日に妊娠診断を行った.その結果,誘起黄体の形成がGnRH群の90%(9/10頭)にみられたが,対照群ではまったくみられなかった.血中P4濃度の平均±標準偏差はGnRH群が4.57 ±1.55,対照群が3.72±2.39ng/ml,受胎率はGnRH群が50.0%,対照群が40.0%であり,有意差は認められなかった.これらのことから,凍結胚移植前日にGnRH類似体を投与することにより新たに黄体が形成されることが認められたが,血中P4 濃度上昇効果及び受胎率向上効果はみられなかった.
著者
斉藤 咲弥香 永井 淸亮 黒岩 武信 遠藤 なつ美 田中 知己 加茂前 秀夫
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.75, no.8, pp.e165-e173, 2022 (Released:2022-08-18)
参考文献数
30

牛の発情・排卵同期化に複数のホルモン剤を用いる方法は経費と労力を要する.プロジェステロン(P4)1.55gを含有するP4単味腟内徐放剤(PRID−E)をホルスタイン種経産乳牛3頭に排卵後2日(D2群:排卵日を0日),別の3頭に排卵後15日(D15群)からそれぞれ20日間処置し,発情・排卵の同期化について検討した.その結果,排卵が両群の全頭において抜去後3~4日に起こった.卵胞発育波数はD2群が2~3波,D15群が3~4波であった.排卵卵胞の優位日数は両群各2頭では7日,残る両群各1頭では13~14日,最大直径は5頭では14.1~17.9mm,残るD2群の1頭では20.5mmであった.発情徴候は全頭において抜去翌日に最も明瞭となった.排卵後2日及び15日からPRID−Eの20日間処置を行うと当該徐放剤抜去後3〜4日に排卵を同期化できることが明らかになった.
著者
田中 知音 渡部 圭一 Chion TANAKA Keiichi WATANABE
雑誌
人間文化研究 = Journal of Human Cultural Studies
巻号頁・発行日
vol.50, pp.73-108, 2023-03-31

和文要約 白鬚神社(滋賀県高島市鵜川)の沖合に立つ鳥居(湖中大鳥居)は,もともと伝説的な存在であったものが昭和12年(1937)に建造され,現在では琵琶湖を代表する観光スポットとして注目を集めている。しかしながら,これまでの琵琶湖観光の歴史的研究では,この湖中大鳥居が何のために建造されたかについて論じられてこなかった。 本論文では,観光客の土産物として大量に制作された絵はがきに基づき,湖中大鳥居の建設の意義を明らかにすることを目的とする。まず白鬚神社を含む絵はがきセットの内容構成の類型とその歴史的背景を検討し,つぎに白鬚神社において被写体として選ばれる光景の特徴,およびそこでの湖中大鳥居の位置付けを分析した。 その結果,白鬚神社をめぐる⽛まなざし⽜に幾度かの変転があったことが明らかになった。白鬚神社は近世から広域の信仰圏を有する著名な神社であったが,近代になると,大正年間に琵琶湖を汽船で周遊する湖上遊覧が活発化したことで,神社の沖を通過する観光船から眺める神社というまったく新しい属性が生み出されたことが,湖中大鳥居を出現させた動機であった。 湖中大鳥居は,当初から⽛沖からの眺め⽜の一部であり,沖の観光船に対して見せるものとして造られたものであったと考えられる。言い換えると,湖中大鳥居が⽛沖からの眺め⽜というまなざしを生み出したというより,船上からのまなざしのなかに湖中大鳥居の美しい朱の彩りが埋め込まれたのである。
著者
遠藤 なつ美 田中 知己
出版者
日本家畜管理学会
雑誌
日本家畜管理学会誌・応用動物行動学会誌 (ISSN:18802133)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.163-170, 2016

<p>本研究では、加速度センサーによって測定した行動量の増加を指標とした発情発見補助装置の有用性を検討するため、国内で最近開発された発情発見補助装置(ハツハツ)を用いて以下の試験を実施した。実験1において、ホルスタイン種搾乳牛10頭の頚部に加速度センサーのタグを装着し、発情周期における行動量の変化を解析した結果、発情日においては1時間当たりの行動量が、黄体期の平均行動量に比べて9.2 ± 3.3(5.2〜11.0)倍に増加するピークが認められた。さらに、日内の行動量がピークとなる時刻は、その殆どが日中の作業時間帯に生じており、発情周期における観察日間(黄体期、発情日前日、発情日、排卵日)での有意な差は認められなかった。実験2において、搾乳牛14頭の合計27発情周期について発情行動の観察と排卵の確認を行い、ハツハツによる発情検知率との比較を行った。その結果、目視観察による発情検知率は14/27周期(51.6%)であったのに対し、ハツハツによる発情検知率は23/27周期(85.2%)と目視観察よりも有意に高かった(<i>P</i> < 0.05)。ハツハツにより黄体期に発情が誤検知された周期は8/27周期(29.6%)だった。以上の結果から、加速度センサーによる発情検知システムは、飼養頭数の少ない小規模な牛群においても目視観察による発情発見の補助手段として十分活用できることが示された。</p>
著者
田中 知
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌ATOMOΣ (ISSN:18822606)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.152-160, 2013 (Released:2019-10-31)

本稿は,平成24年7月24日に開催された日本学術会議シンポジウム「巨大災害から生命と国土を護る―24学会からの発信」の第6回「原発事故からエネルギー政策をどう立て直すか」における講演をもとに書き下ろした。講演から半年以上経過しているが,現在においても有用な議論の材料となりえる内容であると思う。 まず,我が国のエネルギー政策が掲げていた基本的視点および原子力エネルギーの位置付けについて述べる。次に,事故によって顕在化された原子力エネルギー利用のリスクを5つの視点から提示し,原子力災害リスクを低減するためになすべきことについて提言する。最後に,講演当時におけるエネルギー政策の方向性について確認し,原子力エネルギーを利用する本来的な意味についてまとめる。 原子力発電所の事故におけるリスクをどのように低減することができるか,エネルギーの安定供給性に係るリスクをどのように考えればよいのか,など,多角的な視点からエネルギーを考える一助となれば幸いである。
著者
田中 知恵 沼崎 誠
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.79, no.2, pp.107-115, 2008 (Released:2011-04-20)
参考文献数
37
被引用文献数
4 2

The role of expectancies regarding negative mood regulation in improving the mood states of undergraduate students when they experience both negative and positive life events was investigated. In Study 1, a Japanese language scale for measuring expectancies for negative mood regulation (NMR scale) was developed. In Study 2, undergraduates (n=95) completed the NMR scale twice within an interval of five-weeks. They also completed a self-rating depression scale and a scale of life events in interpersonal and achievement domains. The results indicated that participants with high NMR scores did not experience depression when they faced negative events, if they concurrently experienced positive life events. These results suggest that expectancies for negative mood regulation alleviate the negative mood states by using a mood regulation strategy moderated by positive life events, and predict the level of depression.
著者
平田 孝治 岡嶋 一郎 福元 裕二 辻 裕一 和田 佳奈美 松田 佐智子 モハメッド ノル・ アンワー 尾道 香奈恵 津上 佳奈美 春原 淑雄 赤坂 久子 高元 宗一郎 溝田 今日子 小川 智子 立川 かおり 占部 尊士 西田 明史 川邊 浩史 吉村 浩美 馬場 由美子 武富 和美 田中 知恵 西岡 征子 野口 美乃里 牛丸 和人 米倉 慶子 桑原 雅臣
出版者
西九州大学短期大学部
雑誌
永原学園西九州大学短期大学部紀要 = Journal of Nisikyusyu university junior college (ISSN:24347833)
巻号頁・発行日
vol.49, pp.15-28, 2019-03-18

In the learning outcomes, the relationship between objective and subjective measures is an issue of educational measurement. In this paper, we clarified the correlation derived from the semester-linkage of academic achievements and self-evaluations based on the competency model in NUJC. In the principal component analysis, it was suggested that the self-evaluations include roughly two directions of general ability and professional ability, and that the academic achievements depend on the curriculum and the methods of learning and evaluation, basically. The interpenetration of academic achievements and self-evaluations depend on intermediate factors that rule their linkage. The factors are supposed to be formed by two components: the faculties’ factors such as curriculum, methods of learning and evaluation including cognitive learning and the environment of “learning- background” (e.g., Hidden curriculum and Student support); the student's factors such as acquired abilities including motivation, personality and self-consciousness.
著者
甘佐 京子 比嘉 勇人 長江 美代子 牧野 耕次 田中 知佳 松本 行弘
出版者
滋賀県立大学人間看護学部
雑誌
人間看護学研究 (ISSN:13492721)
巻号頁・発行日
no.7, pp.73-79, 2009-03

背景 精神疾患の多くは、思春期から青年期に発症するといわれている。精神障害に罹患した場合、早期受診・早期治療が重要であり、統合失調症においては精神病未治療期間 (duration of untreated psychosis) が予後を左右するとの報告もある。しかし、国内では、好発年齢にある時期の子ども達に向けての、啓蒙活動の実施やその成果についての報告は見られず、中学校の保健体育などでも精神障害についてはほとんど触れられていないのが現状である。 目的 中学生を対象にしたメンタルヘルス教育プログラムを構築するにあたり、中学生の精神障害に対する認識を明らかにすることを目的とする。方法 研究デザインは量的記述的研究であり、A市内の公立中学校(6校)の三年生714名を対象にアンケート調査を実施した。調査内容は、精神障害に対する知識の情報源となる媒体や疾患に対する具体的な認識および、「こころの病気」という語彙に対するイメージである。分析にはSPSS15.0J for windowsを使用し記述的統計を行った。なお、本研究は滋賀県立大学研究倫理審査委員会の承認を得た(07年11月第51号)。 結果 回答者は653名(男子316名、女子337名)。精神疾患について他者から聞いたことがあるかという問いでは、68%の生徒があると回答した。聞いた相手として中学校教諭28.9%と最も多く、次いで小学生教諭20.4%であった。具体的な疾患名として、うつ病は約90%の生徒が認知しているのに対して、強迫性障害や統合失調症については病名の認知が5%に満たなかった。これらの知識の情報源となった媒体は、おもにテレビ(68.9%)であり、教科書(5.4%)や授業(9.2%)は、10%に満たなかった。さらに、精神疾患のイメージは否定的な項目に偏る傾向が認められたが、「こわい」「嫌い」等の嫌悪を示すものより「辛い」「寂しい」といった悲哀を示すイメージの方が強かった。 結論 中学生の多くは、精神疾患に対して何らかの情報を持っているが、その多くはテレビ等のマスメディアによるものであり、正しい知識を得ているとは考えづらい。また、うつ病等メディアに取り上げられるものについては、少なからず認識しているが、思春期に発症しやすい統合失調症や強迫性障害などの認識は低く、当然自己との関連が深い疾患だととらえてはいないと推測できる。Background Most mental illnesses are thought to develop during puberty and young adulthood. Early diagnosis and early treatment are important for cases of mental disorders, and the duration of untreated psychosis can influence the prognosis of schizophrenia. In Japan, very few mental illness awareness programs are targeted at children of susceptible ages, and reports of these programs are also lacking. In addition, very little is taught about mental disorders in middle school health and physical education curr icula. Objective In order to create a mental health education curriculum for middle school students, we aimed to understand the awareness of mental disorders in these students. Methodology We employed a quantitative and descriptive study design, and surveyed 714 ninth graders from 6 public schools in city A by questionnaire. We surveyed their knowledge of specific conditions, their sources for information regarding mental disorders, and their image of the phrase "mental illness ." Descriptive statistical analysis was performed using SPSS15.0J for Windows. Our study was approved by the University of Shiga Prefecture Research Ethics Review Committee (November, 2007, No.51). Results Of the 653 respondents, 316 were male and 337 were female. Sixty-eight percent of the students had heard of mental illnesses , most often from middle school teachers (28.9%) followed by elementary school teachers (20.4%). In contrast to the 90% who knew depression as the name of a specific disorder, less than 5% knew the names of disorders such as obsessivecompulsive disorder and schizophrenia. Television was the cited source of this information for 68.9%, while less than 10% identified text books (5.4%) and classroom education (9.2%) as the source. Although the image of mental illness was usually negative, the respondents tended to characterize mental illness with terms expressing sorrow, such as "struggle" and "lonely" rather than those expressing aversion, such as "scary" and "dislike." Conclusion The majority of middle school students have some knowledge of mental illness, but most of it is obtained from mass media, such as television. As such, it is unlikely that their obtained knowledge is accurate. Although they are relatively aware of conditions such as depression which are dealt with by the media, they are much less aware of conditions such as schizophrenia and obsessive-compulsive disorder, which easily develop during puberty. We surmise, therefore, that the students do not consider these conditions to be highly relevant to them.
著者
窪田 公一 田中 知博 纐纈 真一郎
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.71, no.6, pp.1462-1466, 2010 (Released:2010-12-25)
参考文献数
9
被引用文献数
1

アナフィラクトイド紫斑は,IgA抗体優位の免疫複合体の沈着が小血管に証明される血管炎で,主に小児の疾患である.成人の発症は少ないがときに重篤な腎障害をきたす.症例は75歳の女性.食道癌術後に腸閉塞手術を経て創部MRSA感染症を合併し,2日後に腹痛,発熱が出現した.創部処置にて腹痛,発熱は治まったが下腿に紫斑が出現した.臨床所見と免疫血清検査によりアナフィラクトイド紫斑と診断した.安静と止血剤で紫斑は一時改善したが,その後,再燃して紫斑病性腎炎からネフローゼ症候群を呈した.ステロイドによるパルス療法と内服の後療法を行い病態は安定した.成人でのアナフィラクトイド紫斑の発症はdermadromeとしての報告は散見する.しかし術後発症の報告はあまりみかけず,自験例は興味深い症例と思われた.発症誘因は悪性疾患や手術侵襲を背景とした全身状態下における創部MRSA感染症と考えられた.
著者
和田 隆太郎 田中 知 長崎 晋也
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会和文論文誌 (ISSN:13472879)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.19-33, 2009 (Released:2012-02-22)
参考文献数
28
被引用文献数
4 4

Generally speaking, a vast, advanced and unfamiliar science and technology are unacceptable to the public for fear of their unknown nature. Here, the social acceptance process model was examined on the basis of the analysis of the cause phenomenon and numerical grounds, by referring to the problems on the application of literature documentation for location examination of a high-level radioactive waste disposal site in Toyo town in Kochi Pref. in April 2007. In analyzing the Toyo town case, we have found a possibility that the majority of local residents knew very little about the object opposed by the fringe route processing. To ensure a healthy decision making by the public, it is vital to convey fundamental information using sufficient wide-area PR media before the issue becomes actual. After the issue becomes actual, dialog with residents through a careful technology assessment is indispensable. The authors focus attention on the decision-making process of human beings from the social and psychological viewpoints, and point out that it is desirable for promoting social acceptance by adopting two approaches: a direct approach aiming at better intelligibility for the different resident layers and a deductive approach in technological essence.
著者
田中 知恵
出版者
明治学院大学心理学会
雑誌
明治学院大学心理学紀要 (ISSN:18802494)
巻号頁・発行日
no.22, pp.1-12, 2012-03

結果が不確実であった出来事に対する認知的再解釈と後知恵バイアスに関して実際の出来事を用いて検討した。オリンピック開催地決定前後に調査を実施し,当選都市ならびに落選都市に対する開催地としての望ましさと当選の可能性について調査参加者に回答を求めた。その結果,開催地としての望ましさにおいて当選都市は事前よりも事後に高く回答されたのに対し,落選都市は低く回答された。ただしこの効果はスポーツへの関与度によって調整され,スポーツへの関与の低い参加者は開催を望まなかった都市が落選した場合,すなわち肯定的な結果となった場合に,その都市の望ましさを低めた。また当選の可能性はスポーツへの関与度によって調整された。これらの結果は,関与が低く肯定的な結果となった場合の情報処理方略の観点より解釈された。認知的再評価ならびに後知恵バイアスの効果が出来事への関与度により調整される可能性について考察した。Effects of cognitive reconsrrual and hindsight bias for unconcerned events were investigated using a real event. Two waves of assessment were conducted before and after the venue of the Olympic Games was decided, inquiring the probability and the desirability of a city being selected as the host city. Results indicated that desirability rating of the selected city increased after the selection compared to before. Moreover, the desirability rating of the unselected city decreased after the decision, compared to before. However, this effect was moderated by the respondent's involvement with sports. Participants with low involvement lowered the desirability of the unselected city after the selection when they experienced positive results. The probabilities being selected were moderated by the respondent's involvement with sports. These findings were discussed in terms of information processing strategy of people with low involvement when they meet the positive results. The possibility that involvement in an event may moderate the effects of cognitive reconstrual and hindsight bias is discussed.論文