著者
高見 一利 渡邊 有希子 坪田 敏男 福井 大祐 大沼 学 山本 麻衣 村田 浩一
出版者
日本野生動物医学会
雑誌
日本野生動物医学会誌 (ISSN:13426133)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.33-42, 2012-06-29 (Released:2018-07-26)
被引用文献数
1

2010年度に,日本各地で野鳥から高病原性鳥インフルエンザウイルスが確認され大きな問題となるなか,発生地や調査研究機関など各所で体制作りが進められた。日本野生動物医学会も,野生のツルへの感染が確認された鹿児島県に専門家の派遣を行い現場作業に貢献した。これらの取り組みから一定の成果が得られ,情報収集や体制構築の検討も進んだ一方で,様々な課題や問題点も明らかとなった。一連の活動や検討を踏まえた結果,野生動物感染症対策を効果的に促進するためには,感染症の監視と制御に役立つ体制を構築することが必要であると考えられた。従って,本学会は体制整備として,以下の取り組みを進めることを提言する。1.野生動物感染症に関わる法律の整備2.野生動物感染症に関わる省庁間の連携3.野生動物感染症に関わる国立研究機関の設立4.野生動物感染症に関わる早期警報システムの構築5.野生動物感染症に関わる研究ネットワークの構築6.野生動物感染症に関わる教育環境の整備この提言は,本学会の野生動物感染症に対する方向性が,生態学的健康の維持にあることを示すものである。
著者
今井 伸也 山本 麻衣 山本 尚美 山本 和明 重松 忠
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2014, 2015

【はじめに,目的】近年,がん患者に対するリハビリテーション(以下,リハ)の重要性が注目されている。当院は,急性期病院であるが,「がん診療連携拠点病院」の基準に準じた,滋賀県独自の「地域がん診療連携支援病院」の指定を受けている。平成25年より,がん患者リハビリテーション(以下,がんリハ)を実施している。終末期を迎えたがん患者が,残された人生を本人らしく,尊厳を保ちQOLの高い生活を送れるように身体的,精神的,社会的にも支援することは,緩和的リハの重要な目的である。今回,入院中の終末期がん患者の外出について調査し,理学療法士の役割について検討したので報告する。【方法】平成25年4月から平成26年3月に,入院中にリハを実施したがん患者294例の中で死亡退院した36例(男性21例,女性15例,平均年齢66.1±13.0歳)を対象とした。外出された患者をA群,外出されなかった患者をB群とした。それぞれ,性別,年齢,入院日数,入院からリハ開始までの日数,リハから死亡退院までの日数,リハ実施日数,外出から死亡退院までの日数,リハ介入時のFIM(運動項目),リハ介入時のFIM(認知項目),外出手段,外出理由と感想,未外出理由を,後方視的にカルテから抽出し調査した。数値は平均値±標準偏差で表記した。【結果】性別はA群が男性1例,女性5例,B群が男性20例,女性10例。平均年齢はA群が59.5±12.5歳,B群が67.4±12.9歳。入院日数はA群56.2±28.6日,B群が38.3±46.7日。入院からリハ開始までの日数はA群14.5±20.5日,B群9.2±15.7日。リハ開始から死亡退院までの日数はA群56.2±28.6日,B群29.3±44.3日。リハ実施日数はA群20.3±12.9日,B群12.0±21.2日。外出から死亡退院までの日数は10.5±6.8日。リハ介入時のFIM(運動項目)はA群53.0±31.8点,B群40.4±28.8点。リハ介入時のFIM(認知項目)はA群28.0±5.6点,B群21.4±13.6点。外出手段は歩行1例,車椅子3例,ストレッチャー2例。外出理由は,「墓参りやお世話になった開業医や近所の人に会いたい」,「家で過ごしたい」などの理由であった。外出した全症例は,本人と家族ともに外出を希望された。外出後の感想は,全症例が「外出してよかった」,「希望をかなえさせてあげられてよかった」と肯定的であった。未外出理由は,全身状態が不安定で主治医の許可が出ない,提案したが「家族に迷惑をかける」・「病院の方が安心できる」・「家でやりたいこともない」,家族が「メリットが分からない」,外出希望が無く提案する機会も無かった,などの理由であった。【考察】今回の調査の中でA群は6例と少数であったが,全例が肯定的な感想を述べていた。A群は入院日数およびリハ開始から死亡退院までの日数,リハ実施日数が長いことから,理学療法士と関わる期間は長く本人・家族との関係が構築されており,身体機能の評価やニーズの把握が容易であった。リハ介入時のFIM(運動項目)を比較してもA群の方が高く,理学療法士の介入により身体機能やADLが維持され,希望に応じた外出の提案につながったと考える。また,年齢をみるとA群の方がやや若年であり,リハ介入時のFIM(認知項目)も高い。外出に対する意欲の維持や思いの表出,家族との話し合いが可能であったため,外出に対する家族側の受け入れも良好であったのではないかと考える。外出方法については歩行,車椅子,ストレッチャーとばらつきはあったが,安楽な手段を提案することでADLの状態に関係なく外出することができた。適切な身体機能評価および指導を行い,疲労や不安を感じることなく外出できるよう援助することが重要と考える。一方,B群について,外出しなかった理由において,家族の負担を考え拒否したり,本人や家族からの希望がなく関わるスタッフからも積極的な提案を行えていないケースを認めた。リハ介入時のFIM(認知項目)が低く,本人の意志が明確でない患者に対しては,本人や家族の思いを確認するような働きかけも重要であると考える。がん終末期患者は状態が変化しやすく,理学療法士は適切な介入が要求される。その中で入院中の外出は患者の残された時間,限られた能力の中でニーズを叶え,多職種の関わりにより多くの患者が実現可能な活動であるといえる。理学療法士として,身体機能やADL評価と合わせ,本人の思いを引きだし家族の十分な理解のもと環境整備を行った上で,最良の時期を見極められるような関わりが重要である。【理学療法学研究としての意義】入院中のがん終末期患者の外出は多職種連携が重要であり,理学療法士もチームの一人として積極的な関わりが必要である。
著者
山本 麻衣子
出版者
The Philosophy of Science Society, Japan
雑誌
科学哲学 (ISSN:02893428)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.1_45-1_57, 2008 (Released:2009-07-31)
参考文献数
8
被引用文献数
1

It is known that Aristotle tackled the problems concerning akrasia. But how he solved them has not been made clear. I propose an interpretation of his idea.    Aristotle presents two types of arguments. One is the 'grammatical' argument, where he shows that in some sense of 'know', acting against one's knowledge is possible. The other is the 'factual' argument, where he shows that an akrates does not need to have inconsistent judgments.    Some scholars say that Aristotle does not refute Socrates' thesis that akrasia is impossible. But I argue that they are wrong, and that Aristotle succeeds in solving the problems concerning akrasia.