著者
鎌田 晶子
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.78-89, 2007 (Released:2007-09-05)
参考文献数
20
被引用文献数
4 3

「透明性の錯覚」(Gilovich, Savitsky, & Medvec, 1998)とは,自分の内的状態が他者に実際以上に明らかになっていると過大評価する傾向である。本研究では,行為者がひとつだけ味の異なる飲み物を観察者に言い当てられないように飲むというGilovich et al.(1998; Study 2)の手続きに基づいて3つの実験を行った。研究1a(n=45)では,Gilovichらの追試を行い,日本の大学生においても行為者の透明性の錯覚が同様に認められることを確認した。研究1b(n=46)では,同様の課題で1対1の対面条件を設定し実験を行ったが,透明性の錯覚は消滅せず,研究1aの結果が実験上のアーチファクトではないことを明らかにした。研究2(n=116)では,係留点が透明性の錯覚に与える影響について検討するため,行為者の主観的な衝撃度を操作した。その結果,衝撃の強さが行為者の透明性の錯覚量に影響を与える傾向が示された。これは,透明性の錯覚の発生メカニズムとして係留・調整効果を支持するものであった。行為者―観察者の対人相互作用における主観性や認知的バイアスについて考察した。
著者
山根 逸郎 鎌田 晶子 杉浦 勝明 濱岡 隆文 村上 洋介 白井 淳資 難波 功一
出版者
日本獸医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 = Journal of the Japan Veterinary Medical Association (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.50, no.10, pp.583-588, 1997-10-20
参考文献数
11
被引用文献数
1

1997年3月台湾で発生した口蹄疫に関連して, わが国における防疫上の留意点を検討するため, 台湾での口蹄疫の拡散状況を地理情報システムを利用して分析した.有病率, 農家有病率の増加は直線的で, 5月8日にはそれぞれ60%および20%を越え, 台湾本島の全県に侵入し, 発生全期の致死率は約20%であった. 今回の発生は, 北部と南部の2ヵ所でほぼ同時に報告され, その後中部, 東部へと拡大したが, 豚の密度が伝播に重要な役割を果たしており, 密度の高い地域において有病率および新規発症率が高かった. 初期に殺処分率が高かった県ではその後の新規発症率および有病率が低く, 早期の殺処分, 速やかな情報伝達と感染動物の移動制限などが蔓延防止に重要な役割を果たすと考えられる.
著者
鎌田 晶子
出版者
The Japanese Group Dynamics Association
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.78-89, 2007
被引用文献数
3

「透明性の錯覚」(Gilovich, Savitsky, & Medvec, 1998)とは,自分の内的状態が他者に実際以上に明らかになっていると過大評価する傾向である。本研究では,行為者がひとつだけ味の異なる飲み物を観察者に言い当てられないように飲むというGilovich et al.(1998; Study 2)の手続きに基づいて3つの実験を行った。研究1a(<i>n</i>=45)では,Gilovichらの追試を行い,日本の大学生においても行為者の透明性の錯覚が同様に認められることを確認した。研究1b(<i>n</i>=46)では,同様の課題で1対1の対面条件を設定し実験を行ったが,透明性の錯覚は消滅せず,研究1aの結果が実験上のアーチファクトではないことを明らかにした。研究2(<i>n</i>=116)では,係留点が透明性の錯覚に与える影響について検討するため,行為者の主観的な衝撃度を操作した。その結果,衝撃の強さが行為者の透明性の錯覚量に影響を与える傾向が示された。これは,透明性の錯覚の発生メカニズムとして係留・調整効果を支持するものであった。行為者―観察者の対人相互作用における主観性や認知的バイアスについて考察した。<br>
著者
鎌田 晶子 臼井 信男 吉野 大輔
出版者
文教大学
雑誌
人間科学研究 = Bulletin of Human Science (ISSN:03882152)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.153-160, 2010-03-01

The mere exposure effect for merchandise was examined experimentally using two-alternative forced choice tasks (N = 88). Relations between the features of merchandise and the mere exposure effect were examined with impression tests for each item of merchandise (N = 67). The results showed that repeated exposure increased preference for everyday products (i.e., toilet paper, scissors, pencils), but not for adornments (such as bouquets) which were more likely to evoke aesthetic emotions. Discussion focuses on the relations between mere exposure and affective evaluations of different products.商品に対する単純接触効果について、二肢強制選択法を用いて実験的に検討した(N = 88)。商品ごとに印象評定を行い(N = 67)、商品の特徴と単純接触効果の関係について検討した。その結果、はさみ、シャープペンシル、トイレットペーパーのような実用品については単純接触効果が認められ、花束のような美的印象や感情が喚起されやすい装飾品には単純接触効果が認められなかった。感情的評価と単純接触効果の生起の関係について考察した。
著者
鎌田 晶子 臼井 信男 吉野 大輔
出版者
文教大学
雑誌
人間科学研究 (ISSN:03882152)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.153-160, 2010-03-01

商品に対する単純接触効果について、二肢強制選択法を用いて実験的に検討した(N = 88)。商品ごとに印象評定を行い(N = 67)、商品の特徴と単純接触効果の関係について検討した。その結果、はさみ、シャープペンシル、トイレットペーパーのような実用品については単純接触効果が認められ、花束のような美的印象や感情が喚起されやすい装飾品には単純接触効果が認められなかった。感情的評価と単純接触効果の生起の関係について考察した。