著者
吉岡 基 幸島 司郎 天野 雅男 天野 雅男 荒井 一利 内田 詮三 大谷 誠司 小木 万布 酒井 麻衣 白木原 美紀 関口 雄祐 早野 あづさ 森 恭一 森阪 匡通
出版者
三重大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

ミナミハンドウイルカの保全のために必要な基礎情報を得るため,分布や移動経路の把握,地域個体群間の関係に関する検討,行動解析,繁殖生理値の収集を行った.その結果,(1)伊豆鳥島周辺に本種が分布し,その個体群は小笠原や御蔵島の個体群との間に関係を有すること,(2)奄美大島での調査により,本種が同島周辺を生活圏とすること,(3)御蔵島個体群の社会行動の分析から,その頻度が性や成長段階によって異なること,(4)飼育個体の性ホルモン分析から,オスの精子形成は春~秋により活発になることなどが明らかになった.
著者
吉岡 基 鳥羽山 照夫
出版者
三重大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

実験対象予定個体の飼育事情により,研究内容を変更して行い,以下の成果を得た.まず,シャチの精液採取訓練については用手法による精液採取を可能とするための訓練を続けたが,最終的に安定した精液採取には至らなかった.カマイルカ精子のストロー法による凍結保存を新たに試みたところ,従来のペレット法と同様な成果があげられることが明らかになった.シャチを含む10種の鯨類精子の外部形態を比較したところ,精子サイズには種間差が認められ,シャチの精子は平均頭幅が最も広く,かつ頭部は団扇型をしており,他鯨種とは大きく異なった形態をしていることが判明した.バンドイルカとカマイルカのペレット法による凍結融解精子を用いて,4℃と36℃で精子運動率,精子速度,精子直線性,精子頭部振幅を解凍直後から48時間後まで精液自動解析装置を用いて測定したところ,それらの値は新鮮精子を用いたヒト,ウサギ等の結果とよく一致していることがわかった.また,雌雄それぞれについて超音波画像診断装置を用いた生殖腺の観察を実施したところ,バンドウイルカ,カマイルカについて,黄白体や胎児の存在が確認できた他,季節による精巣の発達度合いの違いをみることができた.さらに,イルカ類における妊娠関連ホルモンに関し,黄体と胎盤がともに妊娠期間中のプロゲステロンの分泌源となり得ることが示唆された.また妊娠診断指標としての利用の可能性を探ることをふまえ,妊娠特異タンパクの存在を調べたところ,対象鯨種(パンドウイルカ他2種)の血中および胎盤組織中にはその存在を確認することはできなかった.また妊娠診断,胎盤機能の指標となり得るエストロンサルフェートについて調べたところ,妊娠イルカの血中にこのホルモンが検出され,妊娠期間中の,種による異なる変動パターンの存在が示唆された.