著者
曽宮 正晴 岡田 玲緒奈 木下 喬弘 安川 康介 曽宮 正晴 岡田 玲緒奈 木下 喬弘 安川 康介 曽宮 正晴 岡田 玲緒奈 木下 喬弘 安川 康介
出版者
北海道大学 高等教育推進機構 オープンエデュケーションセンター 科学技術コミュニケーション教育研究部門(CoSTEP)
雑誌
科学技術コミュニケーション (ISSN:18818390)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.29-38, 2022-09

2019 年に発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は,人類に甚大な影響を与えた未曾有のパンデミックであり,COVID-19 に対する最も有効な対策としてワクチンが注目された.新型コロナウイルスに対するワクチン(以下,新型コロナワクチン)の開発は,mRNA ワクチンやベクターワクチンという新しい技術を基にしたものが先行した.このことも影響し,国内承認を目前にメディアやSocial Networking Service(SNS)では連日,不安を煽る不正確な情報が氾濫する状況にあった.パンデミックの収束の大きな鍵となるワクチンの接種率を高めるためには,こうしたワクチン忌避を解消する取り組みが喫緊の課題であった.「こびナビ」は,日米の医師を中心とした新型コロナワクチン啓発プロジェクトであり,新型コロナワクチン及び新型コロナウイルス感染症に関する正確な情報を発信する目的で,2021年2月に設立した.特徴は専門家集団が議論を通じて科学的根拠に基づく情報を提供したことであり,発足当初より様々なSNS を活用して,より多くの人に正確な情報を発信する活動を行なってきた.本報告では特に,Clubhouse やTwitter,Instagram 等のSNS を利用した,科学的根拠に基づいたタイムリーな科学・医療コミュニケーションの実践について述べる.本活動の実践の記録が,今後の科学・医療コミュニケーションの一助になるものと期待する.
著者
日野 もえ子 石和田 稔彦 青木 孝浩 岡田 玲緒奈 奥主 朋子 大楠 美佐子 渡邉 哲 亀井 克彦 下条 直樹
出版者
日本小児血液・がん学会
雑誌
日本小児血液・がん学会雑誌 (ISSN:2187011X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.171-176, 2018

<p>小児がん患者では,真菌感染症が疑われる場合でも,真菌の分離同定はしばしば困難であり臨床経過により診断治療が行われることが多い.2004年1月から2014年12月までに当科で治療を受けた小児血液がん患者6人より分離同定された糸状菌2株,酵母5株に関し,薬剤感受性試験を行い,分離同定することの意義について後方視的に検討した.糸状菌はいずれも耳漏より検出された.1例では好中球抑制期間に外耳炎を繰り返し,<i>Aspergillus terreus</i>が同定された.薬剤感受性試験の結果よりミカファンギン(MCFG),ボリコナゾール(VRCZ)を併用し造血幹細胞移植を行った.酵母はすべてカンジダで,血液より分離同定された.<i>Candida tropicalis</i>分離例は治療開始後にβ-Dグルカンの上昇,脾膿瘍の悪化を認めたが感受性試験にてMCFG感受性良好であることを確認し治療遂行できた.<i>C. parapsilosis</i>,<i>C. glabrata</i>分離例はいずれもMCFG投与下のブレイクスルー感染であった.MCFG感受性良好として知られている<i>C. glabrata</i>に関しては薬剤感受性試験の結果,キャンディン系薬剤に対するMICの上昇が確認された.近年米国でもキャンディン系耐性カンジダが問題となっており,今後小児がん患者においても,治療効果が思わしくない際には薬剤感受試験を行うことが必要だろう.</p>