- 著者
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石和田 稔彦
- 出版者
- 日本口腔・咽頭科学会
- 雑誌
- 口腔・咽頭科 (ISSN:09175105)
- 巻号頁・発行日
- vol.20, no.2, pp.191-195, 2008-03-31 (Released:2010-06-28)
- 参考文献数
- 16
- 被引用文献数
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溶連菌による扁桃炎治療として, ペニシリン系薬の10日間投与が標準的治療として行われてきた. しかし, 最近海外で, これまでの臨床試験のメタ解析から, 短期療法も含めセフェム系薬の方がペニシリン系薬よりも臨床効果がすぐれるという報告がなされ, ペニシリン主体の治療方針を見直す必要が生じてきた. そこで, 本邦における現況を中心に解析したところ, ペニシリン系抗菌薬の除菌率は, 85%程度であるが, 臨床的再燃率はセフェム系短期療法と同等であり, 感受性の低下も認められていなかった. また, リウマチ熱の出現は極めて低く, 溶連菌による扁桃炎抗菌薬治療後の腎炎発症も少なかった. 以上の状況を考えると, ペニシリン系薬は, 溶連菌による扁桃炎の治療薬として現在でも有効であると考えられた. ただし, 溶連菌による扁桃炎再燃の原因として, 服薬コンプライアンスの低下, 抗菌薬の作用から逃れる溶連菌の存在 (細胞内侵入菌, バイオフィルム産生菌) などが考えられており, 症例に合わせて, セフェム系抗菌薬やマクロライド系抗菌薬 (耐性菌が増加しており使用にあたっては注意が必要) を上手に選択して使用していくことも大切である.