著者
富田 眞治 山口 和紀 岡本 敏雄 美濃 導彦 中西 通雄 永野 和男 今井 慈郎 岡部 成玄 三尾 忠男
出版者
京都大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2000

高等教育機関は独立行政法人化を含めた大学改革の中に在り、「教育」「研究」「社会貢献」の3つの課題に対し、鋭意検討中である。大学教育・研究の高度化・個性化と共に組織の活性化の中で、IT革命への積極的な対応を求められている。これはマルチメディア環境を多用することを念頭に置いており、目指す方向は、我々の研究領域と合致する。本研究組織も現状と今後を眺望し、(1)情報リテラシ教育、(2)専門課程教育、(3)教員養成向け教育、(4)新教育方法、の4つのグルーブを編成し、以下の多くの成果を得た。(1)は工学的な技術論理、情報倫理の基本理念の提言、情報リテラシ教育授業の研究、情報処理教育用適応型教材に関する研究、PC教育教材のDVD試作およびWebベースで行うe-Learningのコース設計・開発・管理を行う統合ソフトに関する研究などの成果を得た。(2)については、学部向け情報リテラシ教育の最適化の研究、学部に適合した高度情報リテラシ教育教材の開発、専門科目の高度教材開発研究をマルチメディア環境の基で行って成果を得た。なお、これらの研究は実践教育の評価を踏まえた統合的な研究である。(3)の分野では、高校の情報教育の目標、担当教師の職能、教師向けの情報教育素材の開発・研究、情報科教員を目指す受講学生の知識と情報教育内容を連携させる知識ベースシステムの開発など、マルチメディア環境を活用した研究成果を得た。(4)の新しい教育方法では、情報教育に止まらず、大学教育全般を対象とした遠隔教育についての研究を推進し、受講対象を大学以外に拡げ、Web環境を活用した講義・個別・探求型・グループなどの学習に適したe-Learning環境の開発、同一大学内におけるWeb環境下での遠隔教育実践に対する評価、他教育機関と連携した所謂バーチャルユニバーシティにおける遠隔連携ゼミでの相互の学生の意識解析。さらにマルチメディア環境を活用した国際的な遠隔双方向講義の実施結果から、受講学生の意識調査に基づく遠隔講義システムの研究・評価などの成果を得た。なお、本研究の一環として、一般情報教育の高度化を目指したテキストを現在作成中である。
著者
布施 泉 岡部 成玄
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.287-298, 2010-01-20 (Released:2016-08-06)
参考文献数
8
被引用文献数
2

学習者間の相互評価を多段階に行う「多段階相互評価法」を用いた学習を100人以上の多人数一斉授業の授業時間外課題として,ICTを用いて実践し,学習効果を調査した.多段階相互評価の学習は,通常の課題提出を行う第一段階,その提出内容を学習者相互で評価し合う第二段階,第二段階での評価の妥当性を吟味する第三段階から成る.著者らは,このような独自の多段階相互評価機能を所属大学の教育学習支援システムの中に実装し,(1)知識定着,(2)意見の明確化,(3)提出内容の質的向上,の3つの目的で用い,その効果を調査した.いずれも効果的な学習がなされ,多段階相互評価の有用性が示された.多段階相互評価学習は,他者の評価や意見交換等の学習者間の相互作用を考慮しているにも関わらず,個別学習と同等の形式で時間外学習として行える自由度を持つ.大学における学習の質的向上に資するものと考えられる.
著者
布施 泉 岡部 成玄 中西 通雄
出版者
北海道大学高等教育推進機構
雑誌
高等教育ジャーナル : 高等教育と生涯学習 (ISSN:13419374)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.97-105, 2017-03

In a general information education class for freshmen of Hokkaido University, we used a CPU simulator in order to help students understand the calculation procedure on the CPU. The analysis of the results of a questionnaire concerning the course showed that understanding, interest and motivation with regard to the basic principles of computers were improved by solving exercises using the simulator in addition to textbook learning. As a result of the exercises, it was found that the material was useful not only to understand the principles of the CPU but to promote better understanding of “computational thinking.”