- 著者
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三澤 浩昭
森岡 昭
岡野 章一
土屋 史紀
- 出版者
- 東北大学
- 雑誌
- 基盤研究(B)
- 巻号頁・発行日
- 2003
1.外圏大気観測用2次元分光イメージング装置の開発先ず、惑星・衛星外圏大気観測用の2次元分光イメージング装置の開発を行った。本装置は、1)2次元入射光を分光用の1次元出射光に変換するバンドルファイバー製の次元変換光学系と、2)既存の入射/出射光学系と接続するための開口値変換光学系から成る。バンドルファイバーは入射系12×12、出射系144の配列からなる。装置は光学ベンチに組上げ、東北大の60cm望遠鏡(入射系)と高分散分光計(出射系)に接続した。分光データは液体窒素冷却CCDカメラで取得し、PC上でイメージに変換する構成とした。2.水星とイオ衛星の外圏大気の観測1の装置を用いて、イオと水星の大気観測を実施した(継続中)。イオについては、従来、大気放出量にイオの木星に対する視位置依存性が示唆されてきた。その存在の確認と放出様相の確認を目標として観測を行い、様々な視位置について有意なデータを得た。一方、水星については、水星が太陽から大きく離れる観測適期に集中観測を実施したが、天候に恵まれず現時点では大気放出過程導出に重要なデータが十分には得られていない。このため、次の観測適期となる平成18年6月に再観測を行う予定である。3.数値計算による外圏大気放出過程の究明当ループが開発した希薄大気の生成・消失に関するモンテカルロコードを用い、大気放出過程の数値実験を進めた。結果として、水星については、太陽風による水星表面粒子の叩出しが、従来の想定以上に効果的に働いている可能性が示された。一方、イオについては、磁気圏イオンによる大気粒子の叩出し/引剥がしと太陽光による脱離が相作用して放出量を制御している可能性が示された。