著者
江原 宏幸 押切 正浩 山梨 智史 森井 利幸 佐藤 薫 吉田 幸司
出版者
一般社団法人日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.196-207, 2008-04-01
参考文献数
28

変換予測符号化に基づく32kbit/sのスケーラブル符号化方式を開発した。本方式では,広帯域(0.05〜7kHz)の入力信号の線形予測分析・符号化を行い,変形離散余弦変換を用いて予測残差信号の符号化を行う。高品質な電話帯域(0.3〜3.4kHz)の音声符号化方式に1,2kbit/sの帯域拡張と4kbit/s刻みの変換符号化を組み合わせた。電話帯域の音声符号化は6.8kbit/sの符号励振線形予測符号化で行い,G.729 Annex E(11.8kbit/s)相当の品質を達成した。更に,8kbit/sでG.722,2(8.85kbit/s)相当の広帯域品質を達成し,音楽信号に対してはG.729.1を上回ることを確認した。
著者
最上(重本) 由香里 佐藤 薫
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.140, no.5, pp.216-220, 2012 (Released:2012-11-09)
参考文献数
55
被引用文献数
2

正常な脳内で静止型として存在するミクログリアは,病態時に活性型となり細胞特性を激変させ,病変部に集積,増殖し,損傷した神経細胞を貪食して排除する一方,生理活性物質を産生放出して神経細胞の修復を行っている.これまでミクログリア研究は,この病態時の活性型ミクログリアが主な研究対象として進められてきた.しかし,近年の研究により,脳内マクロファージと見なされてきたミクログリアがモノサイトやマクロファージとは起源の異なる細胞であり,中枢神経系独自の性質を有する細胞である可能性が高まってきた.そして,正常脳の静止型ミクログリアが活性型の準備段階ではなく,脳内環境の監視,神経回路網再構成,神経活動の制御など,中枢神経系の生理機能維持に積極的に関与していることが明らかになってきた.我々は特に,神経発達におけるミクログリアの重要性に関する新知見を得ている.このように,ミクログリアの多彩な生理的機能が日々明らかとなっている.
著者
岡村 建 佐藤 薫 藤島 正敏
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.86, no.7, pp.1175-1179, 1997-07-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
5

自己免疫性甲状腺疾患の素因をもつ症例は,インターフェロンα投与により橋本病の分娩後甲状腺機能異常に類似した病態を高頻度に示す.これは複雑な免疫修飾作用によるものと考えられる.抗TSH受容体抗体も一過性に検出され,バセドウ病や橋本病などの臨床像の発現が,サイトカインによって影響されることが示唆される.
著者
鈴木 岳之 郭 伸 佐藤 薫
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

神経炎症を惹起する細胞として、ミクログリアに焦点を当てた。In vitro条件下でミクログリアを活性化処理し、そこから放出される内因性因子を解析した。その結果、活性化ミクログリアよりグルタミン酸が放出され、神経毒性を示すことを明らかにし、この過程にATPが関与することも示した。このグルタミン酸の放出作用はグルタミン酸トランスポーター機能変動を介する作用であることを明らかにした。また、疾病治療にリンクする知見として、抗うつ薬であるパロキセチンがミクログリアの活性化を抑制する知見を得た。これは、神経疾患に対する新たな治療アプローチを示すもので、今後の薬物治療戦略の確立に貢献できる研究成果である。
著者
立岡 浩 林 紘一郎 山崎 茂雄 高 榮洙 梅村 修 福冨 忠和 牛木 理一 大角 玉樹 佐藤 薫 岩瀬 真央美 雑賀 忠宏 杉田 このみ 上田 学 家島 明彦 山口 芳香
出版者
花園大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究は、映像コンテンツ産業におけるNPO(非営利組織)と、NPO・行政・企業・住民の複数利害関係者の参加によるPPP(公民協働事業体)及びその支援機関にかかる、権利・契約管理及び関連する振興政策と協働経営、そしてこれらの評価システムについて、産業ビジネス観・文化芸術観・社会エンパワメント観という3つの世界観及びそれらの調和バランスとを関係づけながら、理論と実証の両面から総合的多角的に解明する国際比較研究として行ったものである。
著者
甲斐 倫明 遠藤 章 高橋 史明 佐藤 薫 伴 信彦
出版者
大分県立看護科学大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

CT診断からの臓器線量計算を行うWebシステムWAZA-ARIにおいて、年齢と体型の個人差を考慮できるシステムに拡張したWAZA-ARI 2を開発した。未成年はフロリダ大学で開発した年齢別ファントムを用いた。成人体型の違いを計算するために、日本人の標準体型からBMIで2倍の標準偏差だけ外れるやせ型、2倍と5倍の標準偏差だけ外れる肥満型のファントムを皮下軟組織のみを変形することでファントムを構築した。また、実際の臨床で得られたCT画像をもとにボクセルファントムを構築し、臓器線量の個人差を実際の体型ごとに計算し、体型と臓器線量の関係を導いた。有効直径が体格の指数として利用できることがわかった。
著者
斎藤 公明 木名瀬 栄 藤崎 達也 平岡 武 齋藤 秀敏 津田 修一 佐藤 薫 高島 房生
出版者
Japan Health Physics Society
雑誌
保健物理 (ISSN:03676110)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.158-168, 2006 (Released:2010-08-05)
参考文献数
46

The expert committee on development and utilization of phantoms had activities from April, 2004 to March, 2006 sponsored by the Japan Health Physics Society. The purpose of the committee was to accumulate and share the latest information concerning phantoms and related technical issues, and to discuss how and for what phantoms should be utilized in future. The committee had twelve meetings and one symposium. Many people took part in the activity including the committee members, observers and other participants; we had a certain number of lectures covering versatile topics and chances to discuss essential problems including sophistication and standardization of phantoms. Some parts of the information we obtained in this activity will be presented in the articles in series.
著者
佐藤 薫
出版者
関西法政治学研究会
雑誌
憲法論叢 (ISSN:24330795)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.45-63, 1995-10-16 (Released:2018-01-10)

Il y a un cas d'utiliser une autre oeuvre par modification pour qu'on exprime sa idee. Particulierement c'est notable dans la parodie. Dans le cas, la derogation produit entre la liberte d'expression et le droit d'auteur, le droit au respect de l'oeuvre. Mais la liberte d'expression doit justifier une telle initiative sous condition. Si ce genre est exonere de droit d'auteur et droit au respect de l'oeuvre. c'est a la condition qu'il y ait necessite de l'utilisation, qu'il n'y ait aucune confusion possible entre l'oeuvre originale et l'oeuvre parodiee.
著者
佐藤 薫
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.152, no.6, pp.287-294, 2018 (Released:2018-12-08)
参考文献数
177
被引用文献数
1 3

中枢神経系(central nervous system:CNS)の血管は血液と脳実質間の物質交換を血液脳関門(blood brain barrier:BBB)により制限している.現状,新薬候補化合物の脳内移行性を検討するための信頼性の高いin vitro BBBモデルは存在せず,中枢神経医薬品上市の低確率,中枢性副作用予測の困難さの一要因となっている.本レビューでは,まずBBBの構造と機能,汎用されるBBB機能定量パラメーターについて概説する.そして,新薬開発過程でこれまで使われてきたin vitro BBBモデルの歴史を紐解き,非細胞系モデルPAMPAから初代培養齧歯類細胞,畜産動物細胞,株化細胞,等の細胞系モデルへの推移を紹介する.また,ヒト予測性を向上させるためのヒト細胞適用の試みや,マイクロ流体モデルに代表される工学的アプローチなど,in vitro BBBモデルの最新開発動向についても紹介する.脳の恒常性維持に欠かせない強固なBBBをin vitroで再現することは,BBB形成メカニズムを解明することでもある.これらの新知見,それに基づいて開発される新しいin vitro BBBモデルは,中枢神経系の薬物動態予測,ドラッグデザイン,さらには,毒性・安全性評価を大きく進展させ,新薬成功確立の向上に貢献することが期待される.
著者
中村 道子 佐藤 薫 小泉 詔一 河内 公恵 西谷 紹明 中島 一郎
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.1-6, 1995-01-15 (Released:2009-05-26)
参考文献数
13
被引用文献数
8 12

WPI溶液を予め加熱処理し,室温で塩化ナトリウムを添加することによりゲル化する現象について検討し,以下のことが明らかとなった.(1) 80℃ 30分加熱処理した10% (w/w) WPI溶液に塩化ナトリウムを0.3-1.2% (w/w)添加すると,20℃において溶液は粘度の上昇をともないながら徐々にゲル化した.塩化ナトリウムの濃度が高くなるにしたがい粘度上昇は速く進み,ゲル化時間は短くなる傾向を示した.さらに,WPI溶液の加熱処理温度,塩化ナトリウムの濃度が高くなるにしたがい,ゲル強度は高くなることがわかった.(2) 電子顕微鏡観察の結果,WPI溶液を加熱処理することによりやや太く短い線状の可溶性凝集体が形成されることを確認した.さらに塩化ナトリウムの添加により,可溶性凝集体同士の会合が始まり,高分子化してゲルに至ることがわかった.塩化ナトリウム添加により得られたゲルは,GDL添加による酸性ゲルとよく似た網目状構造を呈していることがわかった.また,ゲルの網目状構造を形成している凝集体の太さは,塩化ナトリウム添加により得られたゲルの方がGDL添加による酸性ゲルよりもややランダムな構造をとることがわかった.
著者
真辺 健太郎 佐藤 薫 遠藤 章
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会 年会・大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2012, 2012

身長、体重、臓器質量について成人日本人男性の平均的値に調整されたファントムJM-103に基づく比吸収割合を用いて臓器線量及び実効線量に相当する量を計算するとともに、ICRPの成人男性リファレンスファントムICRP-AMに基づく線量と比較した。Cs-137の経口摂取では、ICRP-AMに対し、JM-103に基づく線量が10%大きいなど、核種によっては体格や臓器質量の違いが線量に影響を及ぼすことが明らかとなった。
著者
西島 千陽 佐藤 薫 千葉 剛
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.20-27, 2021-02-25 (Released:2021-03-04)
参考文献数
7

消費者がセルフケアの一環として機能性表示食品を適切に利用するには専門家のサポートが必要であり,管理栄養士・栄養士の役割が重要である.そこで,管理栄養士・栄養士を対象に制度施行1年後と4年後に機能性表示食品の理解と利用状況,指導時の対応についてインターネット調査した.その結果,制度施行4年後において機能性表示食品の利用経験は56.4%であったが,正しく理解していたのは41.7%にとどまった.機能性表示食品の利用相談を受けた者は22.2%あり,その対応は管理栄養士・栄養士自身の利用経験により異なっていた.機能性表示食品の利用を含めた消費者のセルフケアへの支援には,管理栄養士・栄養士が機能性表示食品の特徴を正しく理解し,適切な指導につなげるための教育の場が必要と考えられた.
著者
丸山 拓朗 竹内 大樹 阿久澤 弘 佐藤 薫子 中村 崇
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2015, 2016

【はじめに,目的】近年,職員研修制度の報告ではOff-the-Job TrainingだけでなくOn-the-Job Trainingの有効性が数多くされている。当法人でも,新人理学療法士(以下,新人PT)に対する臨床指導の効率を向上させる目的で,臨床指導を行うOn-the-Job Trainingと講義やcase studyを中心としたOff-the-Job Trainingを相互にリンクさせる新人教育システムを今年度より新たに取り入れた。本調査の目的は,アンケートによる意識調査を行い,今後の新人教育システム運用へ向けた改善策の参考にすることである。【方法】対象は当法人全6施設リハビリテーション科に所属する新人PT18名とした。アンケート回収率は100%で有効回答率も100%であった。質問内容は,学習意欲項目:2問,理学療法評価項目:6問,治療項目:3問,保険制度項目:2問,コミュニケーション項目:2問,リスク管理項目:4問,合計19問のアンケートとした。回答は,1:思わない,2:少し思う,3:思う,4:強く思う,の4段階を選択形式とした。アンケートは,新人教育システムが実施される前(以下,実施前群)と新人教育システム実施6ヶ月経過時点(以下,経過群)の2回行い,各質問項目における2群間の変化を比較検討した。統計解析は,SPSSを使用しWilcoxonの符号付順位和検定にて有意確率は5%とした。【結果】全19問のうち,14問で2群間に有意な差が認められた。有意差が認められなかった質問は,学習意欲項目の「臨床で生じた疑問を解決しようと行動しているか否か」,理学療法評価項目の「問題点の抽出が出来るか否か」,リスク管理項目の「転倒予防」「内部疾患のリスク管理」「感染対策」に関する質問の以上5問であった。【結論】有意差が得られなかった5問のうち,学習意欲項目の「臨床で生じた疑問を解決しようと行動しているか否か」の質問は両群ともに中央値が3.00を示した。これは,新人教育システム実施に関わらず新人PTは臨床で生じた疑問に対する解決意欲を持っていると考えられる。また,理学療法評価項目において「問題点の抽出が出来るか否か」の質問においては,6ヶ月経過後も問題点抽出に対して苦手意識を抱いている新人PTが多い。問題点抽出は,case studyの際に多くの新人PTが指摘される部分であり,新人PT自身が課題として捉えていることが示唆された。今後は,検査測定や理学療法評価の指導だけでなく,問題点抽出からその順位付けの捉え方に至るまでアドバイスを実施していく必要がある。リスク管理項目は,転倒予防,内部障害のリスク管理,感染対策ともに2群間に有意な変化がなく,これらの項目に対して新人PTは知識の不足を感じていることが分かった。よって,今後,新人PTのレベルに合わせた講義内容や実際を想定した研修内容にするといった工夫が必要になると考える。
著者
谷本 守正 佐藤 薫
出版者
日本酪農科学会
雑誌
ミルクサイエンス (ISSN:13430289)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.100-105, 2019

<p> 食用きのこであるヤマブシタケ凝乳粗酵素を用いたモッツァレラチーズのレオロジー特性をキモシンと比較した。pH 5.50からpH 5.10としたカードを混練し,モッツァレラチーズを調製した。ヤマブシタケ凝乳粗酵素で得られたモッツァレラチーズは,カードpHが5.50ですでにカルシウムおよびリン含量が減少しており,さらにSDS電気泳動分析からカゼインの部分分解が認められた。動的粘弾性の温度依存性から,カードpH 5.50で混練したヤマブシタケ凝乳粗酵素処理モッツァレラチーズは,キモシン処理よりも柔らかく,高い展延性を有していることが示された。これはヤマブシタケ凝乳粗酵素を使用したモッツァレラチーズの製品特性において優位性を示唆している。</p>

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著者
武田 洋幸 五所 恵実子 鹿野 悠 曇 由紀子 久保 健雄 横山 広美 蓮尾 一郎 佐藤 薫
出版者
東京大学大学院理学系研究科・理学部
雑誌
東京大学理学系研究科・理学部ニュース
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.3-7, 2013-05

第12回理学系研究科諮問会/第6回理学部学生選抜国際派遣プログラム/プログラムに参加して/留学生・外国人研究員・理学部教職員の懇談会/祝2012年度学修奨励賞・研究奨励賞・総長賞受賞/高校生のための春休み講座2013/第23回理学部公開講演会開催される/理学部・理学系研究科女子学生の声